第10話 JK×魔法×勝利
10話到達ということで近況ノートに雪奈のイメージ画を載せてみました!
興味のある方は是非ご覧くださいな♪
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この世界にはレベルという概念が存在する。ゲーム等で使われているアレである。
レベルが上がる毎にステータスが上昇しどんどん強くなる事が出来るのはこの世界もゲームも同様のようだがゲーム程、レベルの差が顕著ではないらしい。
それでもレベルは目安にはなる。
特にこの世界はレベルの上昇が極めて遅いらしい。
目の前で仕留めた兎に群がる黒肌の魔物はレベル48。レベル1の雪奈では逆立ちしても敵わない存在であろう。
【名 称】無し
【種 族】黒ゴブリン
【L v】48
【生命力】2390/2600
【魔 力】10/10
【物 理】132
【魔 法】7
【防 御】121
【俊 敏】72
【特 性】器用、集団行動
(え? レベル高くない?)
雪奈の疑問はもっともだ。
ゴブリンといえばゲームなどでは最序盤に出てくる雑魚魔物の定番である。
レベル、ステータス共に低い代わりに高い繁殖力を持っており、基本的には数匹の群れで襲ってくる。
(ゴブリンがレベル48って……せいぜいレベル5とかなんじゃないの??)
この世界の最大レベルは100だとマリィに聞いていた雪奈はある程度、魔物のレベルの予測立てていたがそれがハズレた形である。
「黒ゴブリンはこの辺りで最弱の魔物です。数も多いのでよく見かけるのです」
「え、最弱なの? レベル48だよ?」
「? はいです。黒ゴブリンはこの森に住む大型の魔物達の主食なのです」
この森においてレベル48あっても食物連鎖の最下部と聞いてげんなりしていると、マリィのエルフ耳がピクリと反応し黒ゴブリン達の奥を見据える。
「セツナさま、耳を塞いでください!」
「耳??」
『ピギャアァァァァァァァァ!!』
森の奥からけたたましい鳴き声が鳴り響く。
食べる事に夢中だったゴブリン達は恐慌状態に陥るが、雪奈は額から汗が玉のように吹き出し驚く程度で済んでいる。
称号【異世界人】の『精神耐性』の効果だ。
「な、なに今の!?」
「ロクロック鳥です! セツナさまはマリィの後ろに!」
マリィが喋り終えると同時に巨大な鳥が木々を押し広げるながら現れた。その姿は日本の妖怪ろくろっ首の様に首が長いダチョウだ。
ゴブリン達もロクロック鳥が現れた事に気付いたようだが行動を開始するよりも早く、体長よりも長い首が一瞬で伸びてゴブリンに齧り付く。
『ギギィ、ギャッギャッ!!』
必死に抵抗する黒ゴブリンだがノコギリの様に生えた歯が完全に食い込んでおり逃げ出す事が出来ず咀嚼されて飲み込まれて行く。
逃げ遅れたゴブリンもどんどんと巨大な鳥に食われていく。
目の前で起こるグロテスクな風景を見せられ嘔吐したり恐慌状態に陥らないのは称号【異世界人】の付与効果【精神耐性】のお陰なのだろう。それでも気持ち悪いものは気持ち悪く、顔を青くする雪奈。
レベル48もあった黒ゴブリン達を容易く蹂躙する鳥の魔物。雪奈は意を決して鑑定を行う。
【名 称】無し
【種 族】ロクロック鳥
【L v】62
【生命力】8200/8200
【魔 力】184/220
【物 理】305
【魔 法】107
【防 御】264
【俊 敏】326
【特 性】しなやか、脚力強化、威嚇咆哮
「ろくじゅうっ……!?」
『ピギョッ!?』
ロクロック鳥のステータスの高さに声を出してしまい慌てて口を手で覆うも、ロクロック鳥に気付かれてしまう。
『ピギャアァァァァァ!!』
再び鳴き声をあげる。長いが首木に絡まらないよう器用にすり抜けながら雪奈達のいる方駆け出す。
「ご、ゴメン、マリィ!」
「大丈夫です、お任せください!」
マリィは装備していた【見習い賢者の杖】を前方へ掲げ魔法を唱える。
「『氷盾』!」
雪奈達と魔物の間に巨大な氷の盾が生まれ、ロクロック鳥の受け止める。
突進を止められたロクロック鳥は長い首をもたげて『氷盾』に打ち付けてくるがビクともしない。
「セツナさまを怖がらせた罪は重いのです! 『槍雷』!!」
【見習い賢者の杖】を上に向けると魔物の上空に魔法陣を生み出す。
ズガァァーーーーーーン!!
周囲が光に包まれると同時に魔法陣から極大の雷がロクロック鳥に落ちる。
『ギギュアァァァァ!!』
雷に打たれ断末魔を叫びをあげる。
数秒後、その場には灰になって消えて行くロクロック鳥と魔石のみが残されていた。
「……マジで?」
呆然とその光景を見ていた雪奈はその一言だけ呟いた。
レベル的にはマリィの方が高いことはわかっていたが、ロクロック鳥のHPと防御力的に一撃では倒せないのでは雪奈は思っていたのだが結果はご覧の通りだ。
「もう安心なのですよセツナさま!」
【探知】で周囲の確認を終えると雪奈に振り返るマリィ。その耳はピコピコと動いている。
マリィのピコピコは嬉しい時や何か期待している時になると雪奈は気づいている。きっと今回は褒めて欲しいのだろう。
「ありがとう、マリィ。凄ったよ」
「えへへ〜」
マリィの頭を撫でながら褒める。
マリィは気持ち良さそうに目を細めているが撫でている雪奈もサラサラの髪は手触りがよくとても心地よく、緊張して固まっていた自分の表情も柔らかくなっていくのを雪奈は実感していた。
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