第9話 JK×マリィ×魔物

 危険人物化してしまうのを何とか踏みとどまった雪奈は、マリィに森に入りたいと伝えた。


 雪奈の考える力を手に入れるにはまず、敵になるであろう存在の事を知る必要があるからだ。


 最初マリィは難色を示したが雪奈の説明を聞き一緒に行く事を条件に承諾。


 雪奈的には自分に戦闘手段がないことから、元々一緒に来て欲しいと思っていたので逆にありがたい。



「セツナさまはマリィが守ります!」



 両手で握りこぶしを胸の前で作り意気込むマリィ。漫画であったならムフーという描き文字が描かれているだろう。



「そういえばマリィのステータスはお見せしていませんでしたね。どうぞ【賢者の叡智】で確認してください!」


「え、いいの? ステータスってあんまり人には見せない方がいいって思ってたけど」


「誰にでも見せるはよくないですが、セツナさまだから問題ないのです!」


「じ〜〜〜〜ん、ありがとう! それじゃあ【賢者の叡智】発動」




 【名 称】マリィ

 【年 齢】121

 【種 族】ハイエルフ

 【L v】73

 【職 業】見習い賢者


 【生命力】3430/3430

 【魔 力】8600/8600

 【物 理】79

 【魔 法】538

 【防 御】71

 【俊 敏】83

 【技 量】516

 【器 用】232


 【属 性】火、水、風、土、光、氷、雷

 【固 有】融合魔法


 【称 号】賢者の弟子


 【装 備】叡智のピアス




 【光属性】

 治癒や強化などを得意とする特殊属性。


 詳細:治癒や強化だけではなく攻撃魔法も強力。ゾンビなどの死霊魔物に対して効果が高く、光属性の魔法は雷属性以上に発動から着弾までが速い。




 【氷属性】

 氷や冷気を操る特殊属性。


 詳細:氷属性は氷で物理的な攻撃を行うだけではなく様々なものに凍結効果を付与することができ、魔法の発動や回復阻害などにも使用できる。




 【雷属性】

 雷を操る特殊属性。


 詳細:雷属性は全属性の中でも攻撃速度が速い。また自分に身体強化以上の強化を施すことができ、反応速度を上昇させる使い方も可能。




 【融合魔法】

 様々な魔法を組み合わさせことで新たな魔法を生み出す固有魔法。


 詳細:副次効果として多数の魔法を同時展開可能。




 【賢者の弟子】

 賢者の弟子に与えられる称号。


 詳細:魔法系統成長率上昇、消費魔力軽減、魔法攻撃力上昇、魔力操作補助を獲得。





「……すっご」


 流石は賢者の弟子といったステータスだ。魔法の値が高く雪奈程ではないが魔力が多く、属性適性も多い。


 この世界に来たばかりの雪奈やずっとこの森に住んでいるマリィは知らないことだが、一般的に属性は一人一属性なのが基本であり二属性持っているだけでエリートと言われているのだ。


 ステータスに関しても100を超えると十分高いとされ、装備品や魔法効果で高めていくのが普通なのだ。素で500以上の能力を持っているマリィは相当強い事になる。


 ちなみに【技量】は戦闘に関する技術力の数値で、【器用】はその他の生産等に関する器用さの数値である。



「あの、どうですかマリィのステータスは?」



 放心状態でマリィのステータスを見ていた雪奈に感想を求めるマリィ。



「その、ちーとですか?」


「あ、うん、マリィもかなりチートだね」


「ふわぁ〜〜! やりました! マリィもちーとですぅ!」



 恒例のパンチラ跳び──雪奈命名──で喜ぶマリィ。脳内フォルダに保存しながら雪奈が頭にはてなを浮かべている。


 強くて嬉しいのは勿論だろうが、それだけでここまで喜ぶものなだろうかと雪奈は考えている。



「そんなに嬉しいの?」


「はい! だってセツナさまとお揃いなのですから!」


「はぐぅ!」



 マリィの天使スマイルでまたもや暴走しかけるのを必死で抑え込み、マリィのステータス確認を終えた雪奈。








 その後、マリィは愛用の杖を装備し二人で森に入る。



 森の中はまばらにしか太陽の光が差し込まないほど鬱蒼と木々が生い茂っている。



 家の外の切り開かれた場所とは違いジメッとしていて長時間いたいとはまるで思えないような空間だ。

 それに加えて森は魔素と呼ばれる物がかなり濃いようで慣れてない雪奈は酩酊状態のようになりかけたがマリィの光属性魔法【状態異常耐性上昇】をかけて貰う事で耐える事が出来た。



 森に入る際にマリィは無属性魔法の【探知】を展開し索敵しながら先行する。

 迷わないのか心配になる雪奈であったが採取で何度も通る場所であり家の方向は分かっているとの事だ。


 数分ほど歩いた所でマリィが足を止め後方の雪奈に振り返る。

 マリィは口元に人差し指を一本立てて空いた方ので雪奈を手招きする。



「いました。魔物なのです」



 雪奈が近づくと声を抑えて報告しつつ前方の開けた場所を指差す。


 そこには子供程の身長で黒色の肌をした魔物が五匹、狩りで仕留めたであろう小動物を貪っていた。



「……ゴブリン」



 ファンタジー小説やゲームではスライムに並ぶ最弱の魔物としてよく登場する魔物である。


 前述の通り、子供程度の身長に黒色の肌。目がギョロっ大きく、犬歯が長く歯並びが悪い醜悪な顔をしている。

 雪奈の知るゴブリンとは肌の色が違うが生息地の違いだろうか?


 ゴブリンの傍らには狩りに使用したのか、血に染まった棍棒や刃こぼれした短剣が落ちている。


 異世界に召喚されて初めて見る魔物の姿に恐怖する雪奈だが、自分で望んで森に入ったのだ。雪奈の目的、魔物の強さを調査する為、食事に夢中なゴブリンに向け【賢者の叡智】を発動する。




 【名 称】無し

 【種 族】黒ゴブリン

 【L v】48

  ・

  ・

  ・




「……ん? レベル48?」




 目を擦り、もう一度鑑定結果を確認。


 そこには間違いなくレベル48と表示されている。




「……え、高くない?」

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