第3話 JK×検証×超越
雪奈の全力サムズアップから暫く。
マリィは食事の準備をするとの事で雪奈は魔法の検証をする為に外に出ていた。
「……結構気持ちいいな」
森の中はジメジメしてるのかなと思っていたが肌に吹き付ける風は心地よく、木々の隙間から降り注ぐ陽の光は暖かで、雪奈は微睡んでしまいそうになるのを必死堪える。
「よし、まずは属性魔法から」
【属性魔法】には火、水、風、土の基本属性。光、闇、氷、雷の特殊属性。そして雪奈の持つ時空などのような適性を持ってること自体が稀な希少属性が存在する。
適性がない魔法はいくら訓練しようとも使えない。また、希少属性を持っていても使いこなせない者もいるそうだ。
ちなみに身体強化や探知などの魔法は無属性に分類され、無属性は適性の有無関係なく使用できる。
「……ってことだから私が使えるのは時空属性魔法と無属性魔法だけなんだよね」
借りてきた鑑定の魔道具に表示されている時空属性をタップ。
【時空属性】
時と空間を操る属性。希少属性の中でも極めて珍しく適正者は数世代一人と言われている。
最初から使えるのは転移、異空間倉庫、時間操作の三つだとマリィから聞いている。
「はいチート〜」
検証するまでもなくもなくチート認定。実際そうなのだから間違えてはいない。
【転移】……指定・既知の場所に一瞬で移動する。
【異空間倉庫】……異次元という名の倉庫に物を収納出来て一瞬で取り出す事の出来る。時間経過なし。
【時間操作】……時間経過速度を任意で操作することが出来る。
現状ではどれも最小の効果しかないが、使っていくうちに移動距離、収納量などが強化されていく仕組みになっているらしい。
【時間操作】は最終的に、ほぼ完全に時間を停止することが可能になるらしいが、今は人間一人分の範囲で普通より僅かにゆっくりに感じる程度の効果しかない。
この三つだけでも相当頭がおかしい事がわかる。ゲームなら緊急アップデート案件だろう。
勿論、それに見合う魔力消費量なのだが雪奈からすれば微々たる物だ。
「創造魔法っていうからには魔法を創れるんだと思ってたけど、私の知ってるラノベとは違うんだなぁ」
【創造魔法】
一定以上、具体的にイメージした物体を創造する魔法。創り出す物により魔力消費量は異なる。生命は創り出せない。
「ん〜……想像を現実に〜的な事か?」
試しにいくつか思い浮かべながら【創造魔法】を発動させると、想像した物が雪奈の前に創り出される。
雪奈がいつも鞄の入れていたコスメセット、愛用のシャーペンとノート。更には宝物の美少女剣士セーラーナイトのフィギュア(キャストオフ可能)を創り出す。
創造した道具を一つ一つ確認している中で具体的イメージの重要性を痛感した。
コスメセットの確認でお気に入りのリップを塗ってみると塗った感覚がまったくなかったのだ。シャーペンは書くことは出来るがキャップを外したりする事ができず、ノートに至っては一ページしか開けなかった。
おそらく創り出す際に『道具そのもの』ではなく、『道具を使っているシーン』をイメージしたからなのではないかと推測。
実際に宝物で思い入れのあるセーラーナイトフィギュア(キャストオフ可能)は隅々までイメージしながら創り出したからか、キャストオフ機能から胸の形状、パンツの皺まで完璧に再現されていた。
それを踏まえ改めてリップを創造しなおす。今度はリップの香りから塗った後の艶、回して中身が出てくる構造も含め、創造した物は本物と差の無い物が創り出された。
消費魔力も、ただコスメセットを創造した時以上の消費である事も確認出来た。
「ふむふむ。これは素晴らしい……」
雪奈の検証は次の段階に移っている。
ここまでは雪奈が実際に地球で持っていた物を創造していた。今度はそれを一部変更したり、機能を追加してみたみたらどうなるのか、という内容のようだ。
魔力消費は増えたが目論見は成功。
サイズを大きくした手鏡、香りの違うリップ、念じれば書いたものが消えるシャーペンにノート。そして極めつけがさらなるキャストオフ機能を備え、人間同様の質感、触れた場所により様々な反応を示す等身大セーラーナイトフィギュア(水着日焼け爆乳ver)である!
創造で創り出すのに形だけではなく、どのような機能なのか? それを使うとどうなるのか? それを使ったらどうなるのか? など一つ一つ組み上げる必要性があるようだ。
以上の推測をまとめながらも雪奈は創り出した等身大セーラーナイトフィギュア(水着日焼けver)を完全キャストオフして隅々まで眺めていた。
「ふ~……さて、本命の“あのスキル”の検証と行くかっ……!」
あのスキル……自身のみが確認出来る隠しステータスに表示されていたスキル。
自らの体を好きに作り変えることが可能となる禁断のスキルだ。
彼女は自らの性を超越する為、スキルを発動させる。
「セツナさま〜」
「ッッッ!!?!?!」
「あれ? 今誰かいたですか??」
「い、いや!? 私しかいないよ!?」
慌てて等身大セーラー(以下、略)を『異空庫』──異空間倉庫の略称──に収納しマリィに答える。
「そうなのですか? あ、ご飯の準備が出来たのでこちらへどうぞなのです!」
「わかった!」と返事をするとマリィは家の中に戻って行った。
「あ、危なかった……このスキルは完全に一人になれる時に試そう。うん」
雪奈は決して諦めない。
“あのスキル”……【肉体改変】には彼女の『夢』が詰まっているから……!
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