かくれんぼが終わるまで

るてるて布

見つけてね!!

「ただいまー!」

そう言うとお母さんは笑顔で

「おかえりなさい」

と返してくれる。

今日も皆で大きな公園で遊ぶから帰ってすぐに家を出た。

「行ってきます!」

「行ってらっしゃい。気を付けてね。」


いつも通り友達が集まる。

あれ、いつも学校に来てなかった子がいる。

「ねぇ、今日は何するの?」

「今日はかくれんぼしようぜ。」

「じゃあ、今日はお前が鬼ね!10秒数えて!」

「おっけー。いーち、、にーい、、、」

あ、来てない子…いた!

「ねぇ、今日誘われて来てたの?」

「え、、あ、うん…」

少しびっくりした顔したけど、すぐどっか向いちゃった

「ねね、一緒に隠れよ!ほら、あそこに隠れよ!」

「あ、うん…」


…遅いなぁ…もう10分くらい立ってるのに全然見つかんない。

「み、見つかんないね…ちょっと出でみようよ…」

「それじゃ見つかっちゃうじゃん!大っきい公園だし、探すの大変なんだよ!」

「そ、そっか…」


「わっ、あれ、こんな暗い…?」

気づいたら、かなり暗くなってた。来てない子も居ない。

急いで皆がいたとこに戻ったけど皆帰ってるみたい…ひどいなぁ、明日言ってやろ!

どんどん暗くなってく道を走って、いつもみたいに家に帰る。


「ただいま!」

そう言ってもいつもの「おかえりなさい」が聞こえない。家に誰もいないのかな…

明るいのに誰もいない。変なの…リビングで待ってよ!

10分、20分、30分、、もう1時間たつのに帰って来ない。遅いな…なんかあったらどうしよう…


ガチャッ

あ、帰ってきた!私は寂しかった気持ちと一緒に「おかえり」を言おうとした

言おうとした。

けど、言えなかった。

お父さんとお母さんは泣いていたから。

お父さんとお母さんは私に気づいていない。

ねぇ、「ただいま」って言ってよ。私を見てよ!!

嫌になって走って家を出てしまった。


走って、走って、あの公園まで走ってた。

公園…? 土やベンチには赤い何かがべっとりついている。

公園にいた来てない子が話す。

「あ、あのね、君は死んでるんだよ。」

「僕のお父さんが来たんだよ。君や遊んでた子が皆居なくなっちゃった…」

「一緒にかくれんぼしてた子たちは、君を探して公園を出たから無事だったんだ。」

「あ、あと、僕のお父さんは連れてかれたよ。」

私はもう生きてない。

そんなはずないのに、ここに居るのに、受け入れてしまう。

「…あ、あんたも一緒にやられたの?あんたのお父さんが来たって…」

「ぼ、僕は少し前からもう居ないの。」

「僕のお父さんがね、僕を叱ってたの。いつもより激しくて気づいたら死んでたんだ。君が僕のこと見えたのびっくりしたよ。」

もう逃げられなかった。現実を見てしまった。

お父さんもお母さんも友達も皆、置いてきてしまった。

「これから、僕は空に行くけど君はどうする?」

もう誰にも見つけて貰えない。


なら、

「私も行く。」

いつか見つかるまで、かくれんぼが終わるまで、

皆を見ていよう。

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かくれんぼが終わるまで るてるて布 @ruterute_nuno

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