Episode 92「怪しげ」
フレアさんに、DEXに特化した装備の作製をメッセージで依頼しておく。
できるのは早くても今日遅くになるか、明日まで掛かるかもしれないって言っていたから、今日はゆっくりと買い物を楽しむとする。
材料費と手数料は払うから、とりあえず足りなくなったらギルドの貯金を使ってくださいとは言ってあるんだけど……流石に、今の私の残高で払えないってことはないよね?
いや、怖いから、この買い物が終わったらカジノに行って稼いでこよう。
◇
◇トレイル王国・商店街◇
やって来たのは第二層にある国の、商店街。
流石、国の規模なだけあってか、商店街には様々お店が並んでいる。
武器防具、アクセサリー、本屋、スキル、スイーツ、などなど。
そして、いつ来ても賑わっている。
私が用があるのは、木製の武器や道具、家具などを売っているお店、もしくは木製類専用の工房。
二層に来たのは、一層よりも質の良いものやレア度の高いものが多いから。
それと、木工の工房っていうのが、一層にはほとんど無かった。
鍛冶師や裁縫師は沢山いたのに。
ジニさんによると、どうやら木工っていうのはあんまり人気が無いらしい。
男性なら鍛冶、女性なら裁縫が多いんだとか。
そして錬金術系はもっと少ない。
私はジニさんがくれたアドバイスに従い、二層までやって来たという経緯。
そして、質やレア度を求めるなら、お店で売られているのを買うよりも、工房に売られているのを買う方が良いらしい。
その分、お値段は高いみたいだけど。
そして、色んな工房の中でも、ジニさんが特にオススメしたのが、『トット工房』。
なんでも、木工系の生産職プレイヤーは、トットさんという人が一番なんだとか。
んーでも、少し気がかりでもあるんだよね……。
それだけの理由じゃなさそう、っていうか……。
だって、ジニさんがここを紹介してくれた時、誰がどう見ても明らかに、笑いを噛み殺そうとしちゃってたもん。まぁ、大分、笑みがこぼれちゃってたけどね。
あのジニさんがあそこまで笑ったってことは。
しかもそれを隠そうとしてるってことは。
……な、何か嫌な予感がする!
とはいえ、釣り竿が手に入れば私はそれで充分。
さっさと購入してさっさと帰れば問題ないでしょう、という結論に達した。
なので、今から向かう先はトット工房。
ジニさんの企みになんて私は屈しない!
◇
◇トット工房◇
と、言ったものの、入店して3秒で、私は既視感を覚えた。
店内に武器を飾る人影、その姿に、私はどうにも以前に見た気がしてならない。
ごめんください、と声を掛けて店内に入り込む。
私の声に反応して、トットさんと思わしき人物が振り返る。
「いらしゃい……ま……」
あ、これ既視感じゃない。
私はその姿に、確かに見覚えがあった。
私を見て、目を見開くトット(仮)さん。
私を見たプレイヤーは、大多数が一瞥をくれ、内、少人数が声を掛けてくる。
その中でも極、極々稀にいるのが。
目をクワッと見開いて、急にキリッとした出で立ちになって、そして――
「ツユ様、ご来店ありがとうございますッッ!」
私をツユ様と呼び、人目なんて気にせず大胆に慕う。
そう、まさにこの人みたいな変人さんと、千人に一人くらいの割合で出会ってしまう。
そしてこの人、どこかで見たことあると思ったら、いつしかカジノで騒ぎになった時に、その騒ぎを沈めた(むしろ酷くさせた?)中心にいたプレイヤー。
ジニさん、あなたやってくれましたね。
――【ツユ】――
・個体名「竜人・ポイズンドラゴン」
・LV「28」☆
▷MONEY「25,156,380」
▷CASINO「0」
――【STATUS】――
・HP「3900/3900」
・MP「3900/3900」
・SP「3900/3900」
・STR「2340」(660)
・VIT「2340」(1160)
・INT「2340」(160)
・DEX「2340」(350)
・AGI「2340」(470)
・LUK「2340」(50)
――【WEAPON】――
▷両手「白龍鱗のショットガン」
▷右手「道化師のナイフ」(納刀中)
▷左手「道化師のナイフ」(納刀中)
――【ARMOR】――
▷頭「毒龍のヘルム」
▶手
▷右「毒龍のガントレット」
▷左「毒龍のガントレット」
▷胸「毒龍のアーマー」
▷腰「毒龍のスカート」
▷足「毒龍のブーツ」
▷その他
「毒龍のマント」
「毒龍の心臓」
――――――――
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