Episode 68「ダンジョン」
「初めまして、マスター。私はダンジョンのサポートを務めさせていただく、ツキナと申します」
「ど、どうも」
受け付けの女性に種を渡して、ダンジョンのことを少しだけ教えてもらって。
その後、視界に『ダンジョン』のボタンが現れたから、受け付けさんに説明された通りにそれを押すと、いつの間にかここに転移させられて、目の前には女性がいて――それで今に至る。
銀髪碧眼で、表情は大人しさが勝る可愛らしい、私と同い年くらいの少女は、自分のことをツキナと言った。
ツキナちゃんは、私のダンジョンのサポートをしてくれるNPCらしい。
「では早速、ダンジョンについてご説明します」
「お、お願いします」
本当に早速すぎる……。
私、まだ自己紹介もしてないんだけど……AIだからもう既に理解していて、必要ないってことかな……?
まあ、ダンジョンの説明が終わってからでも良っか。
◇
ツキナちゃんに、ダンジョンについてしっかりと叩き込まれた。
そう、叩き込まれた。
ツキナちゃんの教え方は上手だったけど、厳しめだったんだよね……。
大人しそうな顔をして、大分スパルタだった。
まあ、それくらいの方が覚えも良いから、私的にはありがたいんだけど。
これ、レイミー辺りだったら、途中でログアウトするのが目に見えてるよ……。
って、それくらい厳しめだった。
他のダンジョンのサポートさんも、これくらい厳しいのかな?なんて考えながら、私はチュートリアルを終えた。
――【ダンジョンについて】――
・ダンジョンのレベル+20以上のレベルのプレイヤーは、ダンジョンに挑戦できない
・プレイヤーダンジョンには層がある
・条件ごとに指定されたお金・種・アイテム・専用のポイント等を消費することによって、ダンジョンの強化、または改造ができる、アップグレード機能がある
・ダンジョンマスターであるプレイヤーは基本、最上層にあるボス部屋で、ボスとして挑戦者を返り討ちにする(ボス部屋以外に行くことも可能)
・ダンジョンマスターがダンジョンに居ないときは、ダンジョンマスターの分身体が代わりに戦闘を行う
・分身体の戦い方を、設定によっていじったりすることは可能。だけど、その通りにしか行動できないから注意が必要
・ダンジョンには従魔も配置できる
・ダンジョンには、他プレイヤーを防衛に配置することもできる。当然、マスターと他プレイヤーが望んだ場合に限る
・ダンジョン内で敵プレイヤーを倒した場合、ダンジョンそのものに経験値が付与される
・ダンジョン内で敵プレイヤーを倒した場合、ダンジョンそのものにダンジョンポイントが付与される
・ダンジョンポイントは、主にダンジョンのアップグレードやアイテムを購入するのに使える
・ダンジョンが攻略されると、ダンジョンポイントを一定数失うのに加えて、ダンジョン内の施設などののレベルが下がる場合がある
・ダンジョン攻略時のダンジョンポイント減少値は、攻略したプレイヤーの強さによって異なる。攻略したプレイヤーがダンジョンよりも強かった場合、ダンジョンの被害は小さい。反対に、ダンジョンよりも弱いプレイヤーが攻略した場合、被害は大きくなる
・ダンジョンには、層の
・層の数分の宝箱は中身がランダムになるが、それ以上の宝箱を設定する場合、中身はダンジョンマスターが消費しないといけない
・ダンジョンマスターは自分のダンジョンの宝箱を開けることができない
・毎週日曜0:00から土曜23:59までの成績で争うダンジョン用のランキングがあり、ランキングの結果によって報酬が貰える
――――――――
こんなところかな。
ダンジョン自体、今の時点で経営(?)されているものが数十単位と少なく、今後ダンジョン経営者(?)がもっと増えれば、ダンジョン関連のイベントや新機能も増えるとかなんとか。
なので、それに貢献してくださいというド直球なお願いを、どこかの社長さんからされてたりする。
とまあどうでも良い情報を含めて、私はダンジョンについて賢くなれた。
先生であるツキナちゃんは、そんな私に試練を出した。
「では最後に。――攻めてくる攻略者を返り討ちにしてみせてください!」
――『QUEST:ダンジョンを守れ』――
・クリア条件:攻略者を全滅させろ
――――――――
――『攻略者出現』――
・プレイヤー:3
――――――――
初めてのクエストが発生して、初めての攻略者が出現した。
クエストやダンジョンの防衛ってこんな感じなんだなぁと感じつつ、私は戦闘準備を整える。
とは言え、こういうチュートリアルはほぼ確実に勝てる戦いになってるらしいから(レイミー情報)、私はのんびりとボス部屋で待たせてもらうんだけどね。
◇
私のダンジョンには、まだ罠も、仲間もいない弱い状態。
当然、プレイヤー兼NPCの三人は、HPを減らすことなく私のいるボス部屋まで来た。
それを、『エクスプロージョン』を使って一瞬で消滅させた私は、晴れてダンジョンマスターになれたのだった。
「お見事です、マスター。では、このダンジョンの名前を決めてください」
名前……。
『ツユのダンジョン』とかでも良いんだけど、ギルド『不死竜』みたく、ちょっとだけかっこよくしたいっていう気持ちも、実はあったりする。
レイミーの影響を受けちゃってるのかな……。
そんなどうしようもない不安を抱えつつ、現れたパネルに文字を入力し、そして完了ボタンに触れる。
「かしこまりました。では――」
ダンジョンをサポートする彼女はマスターである私に、高々と宣言する。
「ダンジョン『竜の巣』、ここに創設致します!」
初めて、笑みを溢しながら。
《称号『ダンジョンマスター』を獲得しました》
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