Episode 40「作戦」
私は目を覚まし、改めて話を始めた。
「戦争……それってまずいんじゃ……」
「まずいでは済まされないと思うわね」
「だな」
「うぅ、ごめんなさい……」
「あぁいえ、違うのよ。ツユちゃんは何も悪くないわ」
「そうだぜ。非があるのは相手の方だ」
「そうだよ! ツユは何も悪くない!」
だけど、ミズキは私をカジノに誘った一人でもあるよね?
気持ちは嬉しいんだけどね。
「でもねぇ、これからどうしようかしら……」
「もういっそのこと、戦争を力ずくで片付けちまうか? ツユなら簡単には死なねえだろ。――それに、プレイヤーって経験値がおいしいらしいぜ」
「確かに、それ良いかもですね!」
「えぇ!? で、でも、流石にそんなことしたら……」
「いや、それが良いわね! クロちゃんも居るし、割とあっさり決着がつくかもしれないわよ? それに、最初に文句を言ってきたのは向こうだし、戦争って言うのはねぇ、白黒ハッキリさせる為にあるのよ!」
「た、確かに……。それなら、やるだけやってみるのも……」
「よしッ、そうと決まれば、早速行くか」
「ですね」
「それじゃあ、アリスを叩きのめすわよぉ!」
「おっしゃあっ!」
「おぉー!」
「お、おぉー……」
この人たち、荒事となればやけにテンションが高くなるなぁ……。
心配だよ……。
◇
「ツユちゃん、ちょっと待ってくれる?」
私がギルドハウスを出ようとした時、フレアさんに声を掛けられて、足を止めた。
「どうしたんですか?」
「これ、レイミーちゃんと一緒に入手したスキルよ」
そう言って渡されたのは、スキル巻物。
「これは?」
巻物に目線を合わせて、アイテム名を確認する。
『(UR)スキル巻物〈誘爆〉』
「習得してみて」
促されるまま、アイテムを使用する。
そして、習得済みのスキル一覧から、『誘爆』を選択して効果を調べる。
「こ、これ……、めっちゃ強いですよ!? も、貰っちゃって良かったんですか……?」
「いつもの恩返しよ。それでも足りないけどね」
微笑みながら、自身の装備を叩くフレアさん。
その装備は、いつも着ているローブではなくて、私がこの前渡した黒竜シリーズの装備。
「あ、ありがとうございます……大切に使います!」
「うん、そうしてちょうだい。何せ、爆破技を使う三層のボスを何十回も周回したんだから」
もしかして、最近二人だけで行動していたのって、これの為?
「ちょ、それは。お、お金を払いますから!」
「いいわよ。私も、レイミーちゃんも、ツユちゃんに喜んでほしくて頑張ったんだから」
や、優しい……けど! いつまでも甘えていたら良くないと思うの。
「お願いです、払わさせてください! URは絶対にタダで渡したらダメって言ったの、フレアさんですよね?」
「あら? この黒竜のペンダント、URよ? 誰から貰ったのかしら。ツユちゃんは覚えてる?」
「うっ……」
「ふふ、わかったわ。そこまで言うのなら、払ってもらおうかしら。でもそれ、市場には出回っていない代物だから、30ゴールドはするかしらねぇ」
30ゴールド……。
確か、カジノポイントが100ポイントで1カッパーに換金できたはずだから……となると……
1千ポイント=10カッパー
1万ポイント=1シルバー
10万ポイント=10シルバー
100万ポイント=1ゴールド
1千万ポイント=10ゴールド
4千万ポイントを持ってるから……40ゴールド!
「払います!」
「そうよね、払えないわよね。だから体で……え?」
「え?」
今、体でって言いました?
危ないのは嫌ですよ?
「そうよね、払えないわよね」
「え、あ、あの、払えますよ?」
固まったフレアさん。
これ、払えないと思ってらしい。
もう、なめないでくださいよ。
「ち、因みに、今の所持金は……?」
「えっと……10ゴールドくらいです。でも、カジノのポイントが4千万あるので――」
「よんッ!? せんッ!? まんッ!?」
「はい、なので――って、フレアさん!? 大丈夫ですか!?」
「ぁ……そんな……」
良かった、気絶はしてないみたい。
「お金は後で換金してくるので、この戦争が終わってからで良いですか?」
「ぇ? ぁ、ぅん」
なんか大丈夫そうじゃないんだけど……HPは減ってないし、問題無いよね?
そんなことよりも、ヘッドさんとミズキを待たせてるから、急がないと!
「クロ、出てきて!」
運営さんから貰った指輪の効果で、クロを出現させる。
「みんなを乗せて、広場まで連れて行ってほしんだけど。大丈夫?」
「グォオッ!」
どうやら大丈夫そう。
準備が整った私は、ギルドハウスの前で待っている二人に声を掛ける。
「ヘッドさん、ミズキ、クロに乗って! フレアさんも!」
ミズキはクロに驚き、フレアさんは力を失いつつもよじ登る。
「じゃぁ、行きます」
「っしゃ、頼むぜ」
「クロちゃん、よろしくね!」
「ガォオオッ!」
「そ、そうよね、今は戦いに集中よねっ!」
黒い鎧を身に着けた三人と、黒い竜。ヘッドさんは……黒竜の装備を渡してないんだよね。
違うんです、これは6人分しかなかったんです。これでも『ラッキーダイス』では最高の6を出して、それでも、私、レイミー、フレアさん、スノウちゃん、ミズキ、ミレイに上げちゃってて。本当にごめんなさい、今度、周回してちゃんと集めてきますから!
って言ったら、許してもらえたけど。未だに罪悪感が抜けない……。
うーん、これが終わったら、カジノに行って換金して、二層のダンジョンもまた攻略しないとだね。
まぁその前に、今から戦争なんだけど。
……怖いなぁ。
それと、本当にごめんなさい。
――【ツユ】――
・LV「26」
▷MONEY「980,380」
▷CASINO「40,000,000」
――【STATUS】――
・POINT「15」
・HP「260/260」
・MP「260/260」
・SP「260/260」(100)
(全ステータス20%上昇)
▷STR「312」(200)
▷VIT「312」(740)
▷INT「312」(20)
▷DEX「312」(20)
▷AGI「374」(520)
▷LUK「11790」(50)
――――――――
――【クロ】――
・個体名「ブラックアーマードラゴン」
・LV「21」
――【STATUS】――
・HP「1050/1050」
・MP「1050/1050」
・SP「1050/1050」
・STR「1867」
・VIT「1867」
・INT「1867」
・DEX「1867」
・AGI「1867」
・LUK「1867」
――――――――
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