三章 ボスモンスターの荒狩り(日常編)

Episode 19「アリス・レイナ」

【FLO第一回イベント掲示板 14】


130:の冒険者さん

『お疲れー』


131:斧使いの冒険者さん

『お疲れ』


132:底辺の冒険者さん

『ていへんだていへんだー……』


133:杖使いの冒険者さん

『言いたいことはわかる』


134:名無しの冒険者さん

『あの広場にいたドラゴン……』


135:弓道部の冒険者さん

『広場にドラゴン?』


136:盾で無双したいの冒険者さん

『もしかして見てない系?』


137:魔法少女ロッドちゃんの冒険者さん

『流石に5000人以上いたからねぇ~。別鯖がいくつか作られてぇ、そっちに行かされたプレイヤーはドラゴンを知らないんじゃないのぉ~?』


138:魔法少女ロッドちゃんの下部の冒険者さん

『ですね』


139:底辺の冒険者さん

『そのドラゴン。なんスレか前に報告した、飛ぶ黒竜のこと』


140:剣士の冒険者さん

『で、その黒竜を撫でてたのが、ツユってわけ』


141:弓道部の冒険者さん

『本当!?』


142:杖使いの冒険者さん

『マジマジ』


143:名無しの冒険者さん

『俺は最初から、ツユさんならやるって信じてたけどな』


144:杖使いの冒険者さん

『だな!』


145:斧使いの冒険者さん

『お前ら、信者化してね?』


146:盾で無双したいの冒険者さん

『そういや、魔法少女ロッドちゃん、ソロで5位ランクインおめ。普通に鳥肌立ったわ』


147:剣士の冒険者さん

『それな。ポーション吹いちゃったじゃねえか』


148:底辺の冒険者さん

『というか、ソロだったんだな。てっきり、下部もいるのかと』


149:杖使いの冒険者さん

『それは思った』


150:魔法少女ロッドちゃんの冒険者さん

『ありがとぉ~。でも、下部は誘ったよぉ。そしたらぁ~、私の存在であなた様の価値を汚すことは許されません、とかなんとかぁ~』


151:魔法少女ロッドちゃんの下部の冒険者さん

『…………』


152:名無しの冒険者さん

『お前らの関係性がイマイチよくわからんのだが』


153:盾で無双したいの冒険者さん

『下部はイベントに参加したのか?』


154:魔法少女ロッドちゃんの下部の冒険者さん

『いえ、私の存在でロッド様の価値を汚すことは許されませんから』


155:魔法少女ロッドちゃんの冒険者さん

『ほらねぇ~?』


156:弓道部の冒険者さん

『w』


157:斧使いの冒険者さん

『でもさ、わざわざ誘ってもらってんのに断るのも、失礼なんじゃねえか?』


158:剣士の冒険者さん

『だな』


159:魔法少女ロッドちゃんの下部の冒険者さん

『それは……』


160:魔法少女ロッドちゃんの冒険者さん

『私は気にしてないよぉ~』


161:杖使いの冒険者さん

『さあ、今こそ素直になるんだ!』


162:底辺の冒険者さん

『これ、ゲームのスレだよな? 俺、心配になる』


163:魔法少女ロッドちゃんの下部の冒険者さん

『ロッド様。申し訳ありませんでした』


164:魔法少女ロッドちゃんの冒険者さん

『気にしてないってぇ~。でも、また誘ったらぁ、一緒にやりたいなぁ~』


165:魔法少女ロッドちゃんの下部の冒険者さん

『ありがたき幸せでございます』


166:剣士の冒険者さん

『底辺、気持ちはわかるぞ』


167:斧使いの冒険者さん

『俺たちは今、何を見せられているんだ……』


167:弓道部の冒険者さん

『泣ける』


168:盾で無双したいの冒険者さん

『泣けるか!?』


169:名無しの冒険者さん

『なあ、話変えてもいいか?』


170:剣士の冒険者さん

『ぜひそうしてくれ』


171:名無しの冒険者さん

『ロッドちゃんも凄いんだけど、もう一人桁違いに強いプレイヤーいたよな? あいつ何者? あ、勘違いすんなよ? 俺はツユちゃん一択だからな!』


172:弓道部の冒険者さん

『お巡りさん居ないの?』


173:犬のお巡りさんの冒険者さん

『居ますよ。逮捕ですね。逮捕しますね』


174:盾で無双したいの冒険者さん

『知らないのか? アリス・レイナ。ゲーム実況者だよ』


175:斧使いの冒険者さん

『あれだろ? Vとか3dの類だろ?』


176:底辺の冒険者さん

『俺も見てる。ゲームテクが神がかってんの』


177:杖使いの冒険者

『チャンネル登録してるぜ。おっと、俺もツユちゃん一択だから勘違いすんなよな!』


178:犬のお巡りさんの冒険者さん

『あ、落し物のお届けですか? ありがとうございます~! えっとですね、ここにサインを――』


179:弓道部の冒険者さん

『逃げたw』


180:剣士の冒険者さん

『草』


181:盾で無双したいの冒険者さん

『で、そのアリスなんだけど、FLOプレイしたらその神テクで、全ソロプレイヤーのトップに躍り出たってわけ』


182:杖使いの冒険者さん

『ソロで、ってとこが凄いよな。週間ランキングが発表されたら、彼女がダントツ1位。だけど配信者仲間との協力プレイも良いよなぁ。萌える』


183:名無しの冒険者さん

『お前、ツユさん一択じゃないだろ』


184:魔法少女ロッドちゃんの冒険者さん

『アリスさん、私も見てるよぉ~。プレイスタイル参考にしてるぅ~』


185:魔法少女ロッドちゃんの下部の冒険者さん

『ですね』


186:名無しの冒険者さん

『とりあえず、凄いっていうのはわかった。だがしかし! ツユ様が勝つる!』


187:弓道部の冒険者さん

『様になった』


188:斧使いの冒険者さん

『あの子の身の危険を察知。俺、心配になってきた』


189:剣士の冒険者さん

『俺も』


190:魔法少女ロッドちゃんの冒険者さん

『ごめんねぇ、なんか連絡きたから乙ぅ~』


191:魔法少女ロッドちゃんの下部の冒険者さん

『お疲れ様です。お体にお気をつけて』


192:底辺の冒険者さん

『俺も情報収集の為、乙るわ』


193:盾で無双したいの冒険者さん

『俺もそうすっかな。ランキング確認したいし、ここには変態が多いし』


194:剣士の冒険者さん

『乙んご』


195:斧使いの冒険者さん

『お疲れさん』


196:杖使いの冒険者さん

『おつー』


197:名無しの冒険者さん

『またいつか会おう……フッ』


198:弓道部の冒険者さん

『w』




◇ ◇ ◇




「ん~っ! 終わったあ~!」



 えっと、今は――――4時半かぁ、明日の学校の準備は終わってるし……何しよっかな。


 そう言えば美玲が、『アリス』さんの動画を見て通常のプレイスタイルを学べって言ってたなぁ。


 アリス・レイナさんは、人気配信者らしい。


 最近話題のVtubar? らしいけど、そもそも動画とかあんまり見ないからよくわからないんだよね。


 ゲームの実況をしてるみたいだから、そんな難しいものではないと思うけど。


 っと、これかな……?


 あ、今ちょうどライブ配信されてる。ラッキー。


 …………………。

 

 あれ? 再生ボタンを押しても動画が流れない。


 注意書きになんか書いてあるけど……。


 FLOのライブ配信はVR機でしか見れません――?


 あぁそっか、ゲームでは四倍速で動いてるんだよね。そりゃぁスマホだけでライブは見れないか……。


 でも、今ログアウトしたばっかりなのにまたヘルメットを被るのも嫌だなぁ。


 しょうがない、過去に配信された動画は正常に見れるようだし、そっちを見よっと。



『えっとー、これで大丈夫かな。大丈夫? ちゃんと動いてる? ――――みなさんこんにちは、Vtubarのアリス・レイナでーす』



 肩を左右に揺らすのは、金髪碧眼の美少女。


 美玲から聞かされてたけど、本当にキャラクターが配信してるんだぁ……凄いなぁ……。


 え? 配信時間20時間!?


 むこうの世界は加速されているにしろ、リアルの時間では約5時間プレイしてることになる。


 しかも、そんな配信をほぼ毎日。


 加えて、もっと長い日もあれば、一日に二回の配信をしてる日もある。


 Vtubarさんってみんなこうなの?


 あーでも、やってるのはゲームばかりみたいだし、良いっちゃ良いのかな?



――【コメント欄】――

『こん~』

『やっとレベル30越えたよ~』

『お疲れ様です』

『見に来ました』

『初見です』

『《500円》今日もガンバ!』

――――――――



 へぇ、リアルタイムでコメントもできるんだ。


 投げ銭をしている人もいる。


 なるほど、これでお金を稼いでいるのかぁ…………大変そう。



『スパチャありがとお~! 今日も頑張りま~す!』



 それから2時間程、私は母に晩御飯だと知らされるまで動画を見た。







「ふぅ~ん、そうなんだぁ。お姉ちゃんがゲームをねぇ」



 食卓に座るのは、私と、母と、妹の陽音あきね


 ひとつ下の妹とは、仲が良い方だと思う。


 喧嘩だって一度もしたことないし、よく喋ったりもする。


 

「陽音もFLOやってるの?」


「うん、夏奈なつなちゃんとやってるんだ!」



 夏奈ちゃん……以前、この家に泊まったこともある、陽音と同い年の女の子だ。とても素直だったのを覚えている。



「でね、今日のイベントも一緒にやったんだけど――――」



 そこまで言うと、母の優しい声で制される。



「陽音、露音、お喋りは食事が終わってからにしなさい」


「ごめんなさい」

「はぁ~い」



 一言謝って、食事に集中する。



 その後は、食器がカチャカチャと音を出す部屋で、妹のうきうきとした様子だけが終始浮いていた。


 何か良いことでもあったのかな?


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