Episode 17「竜」

【FLO第一回イベント掲示板 5】


253:底辺の冒険者さん

『てえへんだ! てえへんだ!』


254:斧使いの冒険者さん

『もしかして……』


255:杖使いの冒険者さん

『まさか……』


256:名無しの冒険者さん

『そのまさか……』


257:剣使いの冒険者さん

『え、何?』


258:魔法少女ロッドちゃんの冒険者さん

『最初のスレ見てくるといいよぉ~』


259:魔法少女ロッドちゃんの下部の冒険者さん

『ですね』


260:斧使いの冒険者さん

『単刀直入に訊くが、それって天使に関係するか?』


261:底辺の冒険者さん

『残念ながら関係しない。と思う』


262:剣士の冒険者さん

『と思う?』


263:盾で無双したいの冒険者さん

『曖昧だな』


264:弓道部の冒険者さん

『何があったの?』


265:底辺の冒険者さん

『簡単に説明すると、黒竜が空を飛んでた』


266:斧使いの冒険者さん

『それって、FLOのパッケージの真ん中らへんにいるやつか?』


267:剣士の冒険者さん

『そういやそんなのいたな』


268:底辺の冒険者さん

『そうそう、そんな感じだった。そして、上空を飛び回りながら、プレイヤーにブレス放ちまくってた』


269:弓道部の冒険者さん

『フィールドボス……じゃないよね。イベント限定ボスとか?』


270:杖使いの冒険者さん

『上空からブレス……やばい、なんか想像できちゃう』


271:名無しの冒険者さん

『でも、それがツユさんとなんの関係があるんだ?』


272:底辺の冒険者さん

『黒竜が飛び回ってた場所、ツユとその他大勢のプレイヤーが戦った森や洞窟に近いんだよ』


273:剣士の冒険者さん

『まあ、それは考え過ぎだと思うぞ』


274:盾で無双したいの冒険者さん

『そうだな。不死身、状態異常、腐食、それに加えてドラゴン。流石にここまでいかんだろう』


275:杖使いの冒険者さん

『いや、俺はツユちゃんならやるとみてる』


276:名無しの冒険者さん

『そもそも、竜ってどうやって入手すんの?』


277:魔法少女ロッドちゃんの冒険者さん

『召喚石じゃないかしらぁ? 別の方法もあるみたいだけどぉ、これは定かじゃないわねぇ』


278:魔法少女ロッドちゃんの下部の冒険者さん

『ですね』


279:斧使いの冒険者さん

『召喚石……そういやそんなもんもあるって話だったな』


280:弓道部の冒険者さん

『でも、まだひとつも見つかってないんでしょ? そんな物まで手に入れているとなると、チートの可能性が高い……』


281:底辺の冒険者さん

『それは無いと思う。あの戦闘に参加していたプレイヤーの殆どは、運営コールしてたから。ていうか、叫んでた』


282:剣士の冒険者さん

『叫んでた?』


283:杖使いの冒険者さん

『うーんーえい! うーんーえい! ってか?ww』


284:名無しの冒険者さん

『ちょ、想像しただけで腹がww』


285:底辺の冒険者さん

『そう、そんな感じで』


286:杖使いの冒険者さん

『えっ』


287:斧使いの冒険者さん

『マ、ジ、か』


288:弓道部の冒険者さん

『それでもバンされていないってことは、システムに引っ掛かってないってこと?』


289:剣士の冒険者さん

『それなら、ドラゴン所持の可能性は低いな』


290:杖使いの冒険者さん

『俺。ツユちゃんを運営コールしたやつら、ちょっくらしばきまわしてくるわ』


291:名無しの冒険者さん

『俺はもう脱落したから、後はお前に頼んだ!』


292:魔法少女ロッドちゃんの冒険者さん

『私もちょっと見てみたいなぁ~。そのドラゴンと、ツユって人ぉ』


293:魔法少女ロッドちゃんの下部の冒険者さん

『ですね』


294:盾で無双したいの冒険者さん

『何か追加情報あったら教えてくれ』


295:杖使いの冒険者さん

『了解(''◇'')ゞ』




◇ ◇ ◇




「すっごおぉぉおい!」

「これは凄い景色ね。現実でも中々味わえないわよ」

「本当ですねー!」



 クロの背に乗った私たちは、空を飛び回っている。


 下を見れば、プレイヤーたちは私たちを見上げて、「ボスだ!」「モンスターは居ないはずじゃ!」と叫んでいる。


 そして次の瞬間、クロのブレスによって焼かれる。


 痛々しいけど、清々しくもある。


 でも、ずっと飛んでいられるわけじゃないみたい。


 飛行の間はSPを、ブレスはMPとSPを消費するから、1レベルでまだ50しかないクロのSPじゃ、本当はすぐに休憩をしないといけない。


 でも、クロが生まれた時に入手していたスキル、『可愛がり』で、従魔に触れている間はHP・MP・SPが少しずつ回復する。勿論、ナイフの効果も含まれるから、数十秒で全回復だけどね。


 これなら、ブレスを連発しまくらない限り、墜落することもないし、SP不足でクロが疲れることもない。


 空の旅を味わいながら、ポイントも溜まる、一石二鳥。


 因みに、そろそろ二日目の終わりの今現在のポイントは、442ポイント。


 ――あ、447ポイントに増えた、


 この数は、イベント参加者の約12分の1。


 単純計算だけど、この数を超えられるのは多くて約十一人。


 つまり、50位以内は確定している。


 もっと言ってしまえば、10位ランクインはまず間違いない、と二人は言っている。


 報酬が高いのは嬉しいから、別に良いんだけどね。


 後で、クロを沢山褒めてあげよう。




◇ ◇ ◇




「ちょっとちょっと、なんでこんな、運営に連絡がくるんだよ!」


「そんなの知らないよ……」


「もう、うるさいわねぇ! ツユってプレイヤーが暴れてるのよ!」


「はあ? ツユ……? そいつって、以前にも報告されて、結局システムにはじかれなかったプレイヤーか?」


「そうよ。そのプレイヤー、LUK極振りでレアアイテム入手しまくり。挙句の果てには『竜の卵』までゲットしているわ」


「マジかぁ……あれ、レア度SRだけど、生まれてくる竜によっては、LR級のもいるからなぁ」


「そのLR級の、『ブラックレッサードラゴン』がさっき孵化したわ」


「へぇ~、ブラックレッサードラ――――え゛ッ!?」


「ちょ、マジで!?」


「えぇ。とっくに進化して、『ブラックアーマードラゴン』になったわ」


「進化先もレア過ぎだけど、進化って、確かSRアイテムを持ってなきゃいけないよな?」


「それなんだけど、どうやら、彼女がSR以上のアイテムを持ち過ぎているせいで、チート感知システムが過剰に反応してバグを起こしてしまったらしいの。そのせいで、孵化する為に必要なアイテムを、卵に勝手に吸わせてしまった。しかも、余分にね。――――よって、本人は何もしていないのに卵が孵化した挙句、蓄積された分で一瞬にして進化可能になった。って言ったらわかるかしら?」


「ま、まあ、わかるっちゃわかるが……」


「はぁ~。だからシステムが一部エラーを起こしていたんだ……。これは、イベントが終了しても帰れなさそうだなぁ……」


「だなぁ……」

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