第40話 林間学校1日目③

 午後11時になり、キャンプ場に移動した俺たちはカレーライス作りを始めた。

 『風紋温泉旅館』は少し特殊で山奥にあるということもあってか、近くにキャンプ場も設置されていた。そこで、キャンプをして温泉に入る人もいるという。

 

 早速、かれーらいす作りに取り掛かるのだが、まずは誰に何をやってもらうのかを決めることにした。


「この中でカレーライスを作ったことがある人は?」


 俺がそう聞くと、俺を含めた男女8人のうち数人が手を挙げた。


「じゃあ、作ったことをある人中心で作ろっか」


 手を挙げた数人に材料を切るをのお願いした。

 残りの人たちにはピーラーを使って野菜の皮剥きをお願いした。 

 これなら、響もできるだろう。


「宗一。俺は何をすればいい?」

「渉は何もしなくていいかな。危なっかしいし」

「え〜。つまんない〜」

「なら、野菜くらい炒めるか?」

「やりたい!」

「焦がすなよ?」

「大丈夫だって!」


 渉が自信満々に言うので野菜を炒めることを任せることにした。

 まぁ、俺がしっかりと見ていれば焦がすことはなだろう。

 それぞれに役割を振り分けるとカレーライス作りを本格的に始めた。

 作ったことがある人をちゅうしんに作っていったので、それほど苦労することなくカレーライス作りは順調に進んでいった。


「宗一、こんな感じでいいか?」

「うん、いい感じだな」


 渉が炒めていた野菜もいい感じに仕上がっていた。後は鍋に入れるだけ。

 鍋に水とカレールー、それに炒めた野菜とお肉を入れて煮詰める。

 最後の仕上げは俺が担当することになった。


「柏君、どんな感じ?」

 

 野菜の皮を剥いてもらった後、お皿などを並べてくれていた響がそばにやってきた。


「うん。もう少しでできるよ」

「本当に!楽しみだな〜!」

「きっと美味しいものになってると思うよ」

「そりゃあ、みんなで頑張って作ったからね!」

「そうだね」


 それから数十分後、カレーライスは完成した。

 8人分のカレーライスを準備して席についた。

 声を合わせ「いただきます」をしてカレーライスを食べ始めた。


「ん〜。美味しい〜!」


 予想通りみんなで力を合わせたカレーライスは美味しかった。

 響はおかわりをして大満足な顔をしていた。そのほかのクラスメイトたちも楽しそうに、美味しそうにカレーライスを食べていた。

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