第27話 テスト前日

 テスト前日。 

 修也と一緒に図書室で最後の追い込みをしていた。

 

「うん。全問正解だな」

「本当か?」

「ああ、よく頑張ったな。これなら、俺といい勝負ができるんじゃないか?」


 俺は修也の作ってくれた予想問題を解いていた。

 そして、今、解答用紙が返されたのだが、修也の言った通り全てに丸がつけられていた。

 俺はそれを見て、よくここまで頑張ったものがと自分を褒めてやりたくなった。


「さすがにそれは無理だろ」

「どうだかな。案外、宗一が一位を取るかもな」

「まぁ、九条さんに勝つためには一位を取らないといけないわけなんだけどな」

「違いない・・・・・・な」

 

 ん?

 なんだ? 

 修也が俺の後ろ見て固まっている。

 なんか、この展開よくあるよな・・・・・・。

 俺はなんとなく後ろに立っている人物に心当たりがついた。


「じゃあ、俺は帰るわ。あとは、その問題を何度も解け!健闘を祈る」


 修也はそう言い残して帰っていった。

 さて・・・・・・振り向くか。

 俺は「やぁ、九条さん」と言ってから振り返った。


「あら、私がいるって分かってたみたいだね!」

「そりゃあな。この展開何度目だよって感じだよ」

「そんなにやったっけ?」

「似たようなやつをな。で、どうしたの?」

「ん?一応、ライバルの様子を見ようと思ってね〜」

「ライバルね。俺では役不足じゃないか?」

「そうかな?この結果を見る限りだといい勝負ができそうな気がするけど?ゴホッ」


 そう言って、響はテーブルの上に置かれていた全問正解の解答用紙を見て言った。

 そして、その顔は嬉しそうである。


「まぁ、役不足でも俺は勝たないといけないんだけどな」

「どうして?」

「九条さんに何されるか分かんないからだよ!」

「別に変なことことはしないよ〜」


 響は唇に人差し指をあってて言う。


「してもらうとしても、キス、くらいかな?ゴホッ。ゴホッ」

「誰がするか!」


 キス、と言う言葉に場所を忘れて大きな声出してしまった。

 そんな俺の唇に、さっきまで響の唇についていた人差し指を当てられた。


「ここは、図書室だよ。柏君。静かにしなきゃダメだよ?」


 ダメだよ?じゃなくてだな。

 キスをする方がダメだと思うんですけど!?

 そこんとこはどう思ってるんですかね!? 

 まぁ、そんなことを聞けるわけもなく・・・・・・。 


「ごめん」

「うん。分かればよろしい。いつか、図書館でデートとかしようね!」


 なんか、さりげなくデートの提案をしてきたんだけど・・・・・・。


「行かないからね?」

「えー!なんで!行こうよ!」


 今度は俺が響の唇に人差し指を当ててやった。

 さっきの仕返しだ。


「ここは図書室だからな」

「んんっ!」


 響は目を見開いて驚いた表情のまま固まっていた。

 そんな響の頬を赤くなっていた。


☆☆☆

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