第24話 荻野修也

「で、俺のところに来たわけか」

「まぁ、そういうことだ」


 翌日の昼休憩。

 俺は荻野修也のいる教室を訪ねていた。

 修也は中学の時にいつも響と競っていた生徒だ。残念ながら、響には及ばず一位を取ることはなかったが、それでも数点のところで競っていたほど、頭が良い。

 眼鏡をかけていても分かるくらいのイケメンだ。

 修也は銀髪が特徴的な真面目で友情思いのやつだ。

 

「俺では力不足な気もするがな」

「お前以外に適任はいないだろ。いつも九条さんと競っていい勝負してたじゃないか」

「いつも二位だったけどね」


 自傷気味に笑う修也。

 しかし、その目には悔しさが見て取れた。

 なんだかんだ負けず嫌いなところもあるからな。修也は。

 

「まぁ、でも宗一の頼みじゃ断れないな。分かった。勉強教えてやるよ」

「ありがとな。ところで、修也。さっきから騒がしい気がするが気のせいか?」

「お前なぁ。自分の人気をもう少し自覚した方がいいと思うぞ」


 そう言って修也はため息をついた。

 

「まぁ、いいや。お前が鈍感なのは今に始まったことじゃないからな。で、いつから勉強をする?」

「なんだか、よく分からんがまあいいや。今日からでもいいか?」

「じゃあ、放課後に図書室に集合な」

「了解!このお礼はいつかするよ」

「そんなのいいって。俺はお前に助けられたんだから」

「あれは俺が勝手にやったことだろ」

「それでも、俺が助かったのは確かだからな。ほら、とっとと帰れって。他のクラスからも生徒が集まって来てるだろ」


 修也は手をひらひらと振って俺に帰るように促した。

 教室の出入り口に向かうと、確かに修也の言った通り他クラスの生徒まで集まって来ていた。

 俺が、入り口に立つとその集団は海を割くように左右に分かれていった。

 俺はその間をなんだこいつらと思いながら通り、自分の教室へと戻った。

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