第19話 ゲームセンター後

 結論から言うと、俺が考えていたようなラブコメ展開にはならなかった。

 それもそのはず、俺たちが言ったゲームセンターは割と雰囲気も良くて、そういう奴らの溜まり場みたいな感じではなかった。

 あの後、いろんなクレーゲームに挑戦したり、メダルゲームをしてゲームセンターを満喫した。

 ゲームセンターを出ると外はすっかりとオレンジ色になっていた。


「あ〜楽しかった〜!」

「そりゃあ、よかったな」


 響は俺の取ったフィギュアを大事そうに両手で抱えていた。

 結局、いろんなクレーンゲームに響は挑戦していたが、やはり初心者には難しかったらしく、なに一つ成果を残すことはできなかった。


「景品が一つも取れなかったのは悔しいけどね!」

「まぁ、ああいうのは経験だからな。回数を重ねていけばいつかは取れるようになるって」

「絶対にリベンジする!」

「リベンジはいいけど、一人では行くなよ?」

「え、なんで?私、一人で行くき満々だったんだけど」

「なんでって・・・・・・危ないからに決まってるだろ」


 渚の件もあるし、響は恋人ではないとはいえ、流石に危ない目に遭われるのは心が痛む。


「もしかして、心配してくれてるの?」

「かもな」

「かもなって、もぅ〜素直じゃないんだから!」


 そう言って響は俺を肘で小突いてきた。


「しょうがないな〜。柏君がそこまで言うなら一人では行かない。その代わり柏君一緒に来てね?」

「な、なんで俺が・・・・・・友達誘って行けばいいだろ」

「だったら私はひとりで行くから!私のことが心配なんだったら一緒に行こうね?」


 笑顔の圧力。

 どうやら俺が頷くまで笑顔で圧力をかけてくる気らしい。


「行こうね?」

「俺に拒否権は?」

「い、こ、う、ね?」


 さらに、一文字ずつ区切ってさらに圧力をかけてくる。

 その姿はまるで何かを真似ているような・・・・・・。


「って、それさっきのラブコメの映画に出てきたそのキャラの真似だろ!?」


 俺は響の抱き抱えているフィギュアを指さして言った。


すると響は「あ、気付かれた?」と舌をペロッと出した。

 さっき見た映画にもこんなシチュエーションがあったことを思い出した。

 ヒロインが主人公と夏祭りに行く約束をする場面だった。

 

「せっかくだし、やろうっと思って!」

「まったく、どこまで脳みそラブコメなんだよ」

「半分かな?もう半分は柏君のこと」


 さも当然と言うふうに言った響に俺はため息をついて言う。


「はぁ〜。もう分かったよ。一緒に行けばいいんだろ」


 どうせここで断ったところで、しつこいくらいに誘ってくるのは目に見えていた。


「大丈夫そんなに頻繁には行かないから」

「そうかよ」

「まぁ、週に三回くらいかな」

「いや、結構行くな!」

 

 俺がツッコむと響は楽しそうに笑っていた。

 こうして、響との二回目のデートは幕を閉じた。


☆☆☆

 

 

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