第18話 響とゲームセンター

 ファストフード店を後にした俺たちはラブコメデート定番コースのゲームセンターに行くことにした。


「柏君見て!さっきの映画のフィギアがあるよ!」

「ほんとだな!」

「ねぇ、挑戦しようよ!」

「こういうのってなかなか取れないんだよな」

「それはやってみないと分からないじゃない!」


 そう言って、響はクレーンゲーム機にお金を投入すると、真剣な目つきでクレーンゲームに挑戦し始めた。

 しかし、そう簡単には取れないようにできているクレーンゲームに苦戦中。

 響は悔しそうな顔をして「もぅ!なんで取れないのよ!」と嘆いていた。


「もしかして、九条さんてクレーンゲーム初めて?」

「ゲームセンターにくること自体が初めて」

「そっか。じゃあ、交代するか?これ以上、やっても取れないだろうし」


 俺はフィギアの位置を見て言った。

 この位置だと何回やっても取れることはないだろう。

 

「柏君はクレーゲーム得意なの?」

「まぁ、見てろて」


 俺は一旦、元の位置に戻してもらうために店員さんを呼んだ。

 そして、元の位置に戻ったフィギアに挑戦する。

 クレーゲームは得意というわけではないが、それなりにできる。


「え!凄い!本当に取れちゃった!」


 響が使ったお金の半分以下で俺はフィギアを取った。

 取り出し口からフィギアを取り出して、響に渡す。 


「ほらよ」

「私がもらっていいの?」

「うん」

「ありがとう!一生大事にするね!」

「大袈裟だな」

「だって、これが柏君からもらった初めてのプレゼントなんだよ!」


 飛びながら喜ぶ響を見て、本当に取れてホッとする俺。

 実は内心取れるのかどうかドキドキしていた。 

 俺はクレーンゲームの動画が好きでたまに見たりして、その動画の中にこの手の景品の取り方もあった。俺はそれを思い出しながら真似したにすぎなかった。

 だから、本当に取れて驚いてるし、ホッとしている。


「飾ったら写真送るね!」

「そんなに喜んでくれるなら取った甲斐があるよ」

「当たり前じゃん!好きな人からプレゼントもらって喜ばない人いる?いないよね?」

「そうだな。いないかもな」


 俺もあの二人からプレゼントもらった時は嬉しかったし、俺がプレゼントした時は喜んでくれてたな。


「ねぇ、他のやつも見ていこうよ!」


 そう言って響は他のクレーンゲームのところへと向かっていった。 

 そこで、ふとラブコメ展開が頭をよぎった。

 美少女と二人でゲームセンター。

 これって、あの展開なのでは?

 渚を助けた時のような・・・・・・。

 もし、そうなっても助ける自信はあるし、逃げ出したりはしないけど、本当にあの展開になったら少し面倒だな。

 あの展開って、後々仕返しとかついてくるんだよな。

 渚に付き纏っていたあいつは渉が釘を打ってくれたらしいからそんな展開には発展しなかったがな。

 そんなことを思いながら、俺は響の後を追った。


☆☆☆

ちょっとした小ネタを入れてます笑

だいぶセリフは違うけど笑

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