033.大きな桶と大きすぎる桃!?
冒険者ギルドの2階に泊まる事になった僕は、お腹が空いたので部屋を出た。
「マリア様~。ご飯に行きませんか~」
まずはパーティーのリーダーを呼びに行く。
だって、僕はまだお金を持っていないだよね。
「キャァーーールキ君……」
「あっ……」
僕は何も考えずに、ドアを開けてしまったのだけれど……
部屋の真ん中に大きな桶が置かれていて、その中に裸の王女様が入っていて。
その背中をサクラ師匠がタオルで洗っていた。
せめて鍵が掛かっていたなら……
「ルキフェル殿ーーー!!こればかりは見逃せませんぞーー!!」
「ひぃーーーゴ、ゴ、ゴメンなさぁ、さーーい!」
カキン
ギリギリのところで、僕は師匠の剣を受けとめる事に成功した。
自分でも、目に見えない速さの剣を防げたことは奇跡だと思う。
これもレベルアップのおかげだろうか?
「サクラ。何度言ったら分かるの!」
「はっ……も、申し訳ありません…………」
マリア王女様の厳しい声に、師匠がしょんぼりする。
でも、悪いのは僕だよね?
(ごめんささい。師匠。でも…その恰好は……)
僕はとても迷ったのだけれど、言わずにはいられなかった。
まだ剣を交えたままだし、動けないんだよね。
「あの……師匠……」
今のサクラ師匠は丈の短い白くて薄い浴衣のような服を着てるのだけれど……
足を大きく開いて、思いっきり剣を振り下ろしたせいで、太ももだけでなく、見てはいけないところが……
あと乱れた胸元も思いっきり開いてしまっているよ。
「キャーーーーーーどどどどっどど、何処を見てるんですかーーーー!!!!あわあわあわあわ……」
「いや……いきなり切りかかって来たのは師匠なのですけれど…………ごめんなさーーーーい」
そう師匠は下着を着けていなかった。
だから小さな胸の上にある物まで覗いてしまって……
因みに師匠が着ていた白い着物を、湯浴み着と言うらしい。
そういえば美月さんも、現れた時に似たような着物を着て水浴びをしていた。
薄い生地が濡れて肌に貼り付いて透けて……
僕は慌てて部屋から出たのだけれど、チラッと見えてしまった。
(えっ、でもどういう事なのだろう……)
なんと、なんと王女様のオッパイは、お母さまよりも大きかった!!!
普段の王女様は、もっと小さな普通の胸をしているのに……
もしかして、気痩せするのかな?
しかも大きくて柔らかそうな膨らみの上には、エメラルドグリーンを白くしたような色で、模様が描かれていた。
一瞬だったから形までは覚えていないけれど、何なの印だろう?
「もう、いいわよ~」
部屋の中から、いつもと変わらない王女様の声が聞こえて来た。
どうやら、怒ってないみたい。
「ごめんなさい。いきなり入ってしまって。次からはノックします……」
「ふふふ、もういいのよ。それよりも見たでしょ~?」
新しい服に着替えた王女様が、組んだ腕で胸を持ち上げている。
でも、さっき見た時より小さい……あれ~?
「えっ……はい。大きかったです……」
「ル、ルキフェル殿……貴様というやつは!!」
師匠がまた剣に手を掛けている。
この距離だと、今度は受けとめる事が難しいかも……
「サクラ」
「はっ、申し訳ありません……しかし秘密を見られては……」
「もういいのよ。そうよ。この小さな胸は偽装なの。どう?私に惚れ直しちゃったかな?」
「えっ、いや……とても綺麗でしたけれど……」
そう、王女様のオッパイは、マシュマロみたいに真っ白で柔らかそうだった……
(いや、ダメダメ。想像しちゃ絶対にダメ!)
偽装って事は……、あっ、そうか!王女様は家出中だったんだ!
でもピンク色の髪の毛と、綺麗な顔だけでバレてしまいそうなものだけれど……
あっ、でもあのチョビ髭の男爵も、気が付いていなかったみたいだし……
男の人って、ついつい大きな胸に目が行っちゃうからね。
きっとそうだ。
「ル、ルキフェル殿……その……私のは…………」
「えっ……とっても綺麗な形をしていましたけど……」
見えてしまったのだから仕方がない。
まるで下着売り場で見た、マネキンのように綺麗だった。
あれが美乳っていうのかな?
(はぁ~、またお母さまとお買い物に行きたいな~)
「キャーーーーーー。も、もうお嫁には行けません……」
「はぁ~、本当にサクラは
何故か師匠までが、正式に僕の婚約者になってしまったみたい。
「あの~お二人の関係って?」
今まで師匠は、王女様の護衛だと思っていたのだけれど、何となくもっと親しい関係に思えて来た。
「あ~、サクラは母を頼って海を渡って来たんだけど、年の離れた幼馴染みたいなものね」
「そんな、恐れ多い事を……」
サクラは10歳の時に、極東の国、ジンガから船に乗ってやって来た。
それから5年間、マリア王女の遊び相手として過ごしてきたのだった。
「それでルキ君はどうしたのかな?急いでたようだけど」
「あっ、はい。ご飯でもどうかな~と思いまして……。あとシャワーも」
「シャワー?」
あれ?この世界にはシャワーが無いのかな?
王女様の目が好奇心でキラキラと輝いている。
「えっ、はい。あの~上からお湯が出てきて、髪の毛とかを洗うのが楽なんです」
「まぁ~それは凄いわね。是非ともお願いしたいわ」
「ま、まさかルキフェル殿が一緒に……」
師匠が顔を真っ赤にしているよ。
「大丈夫ですよ。魔法を使ったら、僕は外に出ますから。何ならシャワーカーテンも出しますよ」
(あっ、それなら桶の周りにお湯が出なくていいかも)
僕はお母さまと一度だけ泊まったことが有る、小さなホテルのお風呂を思い出した。
浴槽とトイレが同じところにあって、変な感じだった。
「そ、それならいいのです……」
「別に私は一緒でも構わないのに~」
「じゃ~食事の後に出しますね」
アメリアさん達も呼んで、僕達は一階にある食堂で食事をすることに成った。
運よく丸いテーブルが二つ、隣り合わせで空いていて。
他のテーブルでは、ガヤガヤと冒険者の人達がお酒を飲んでいる。
「ルキ様は私の隣に座っていいわよ」
「あっ、はい……」
アメリアさんが僕の腕を掴んで来た。
このテーブルにはセレーネーさんこと美月さんと、魔法使いの帽子を脱いだメーテちゃんもいる。
「そちらのテーブルは4人で、こちらは2人ではバランスが悪いから。ルキ君はこっちよ」
今度は王女様が僕の腕に抱き付いて来た。
今は小さいけれど、ついあの大きな胸を思い出してしまう。
「えっ、は、はい。分りました……」
「ああーー、胸を押し付けるなんて反則ヨーー!!」
そして何時ものようにアメリアさんも僕に抱き付いて、抗議を始めるのだった。
「おいおい、随分と騒がしいな~~」
「げっ、ギルドマスター……」
急に静かになったアメリアさんが、何とも可愛らしい。
「ね、本当に仲良しでしょ?お兄ちゃん」
「だからギルマスと呼べと……」
大きな体をしたギルドマスターの後ろから、受付をしているメルさんが顔を出した。
サクランボの髪飾りで、サイドテールにしている。
「あっ、メルさん。色々とありがとうございました」
今回の冒険では、メルさんに色々と助けてもらった。
特に彼女が居なかったら、あの巨大落とし穴からは出られなかったかもしれない。
だって誰もロープを持っていなかったんだよ?
冒険者に成りたてだからと言って、僕達は余りにも準備不足だったと思う。
「いいの、いいの。それよりもお兄ちゃん。ほら報酬の話しをしてあげてよ」
「ちっ、そうだったな。まずオーク36匹の魔石の分だ」
ギルドマスターの無骨な手が、無造作に金貨を置いた。
500円玉よりも分厚い硬貨が18枚。
そして狼23匹の魔石が、オマケで金貨6枚。
さらに冒険者ギルドから、村を救った礼金として、一人につき金貨1枚が支給された。
合計で金貨30枚にもなった。
「凄い。初めての仕事で金貨を貰ってしまいました……」
まさに冒険者は、一攫千金を得る事が出来る仕事だった。
これなら、お母さまと二人で生活が出来るかもしれない。
「あら、一人に付き金貨1枚と言うのは、少し安くないかしら?」
さっきまでギルドマスターにビビっていたアメリアさんが、鋭く切り込む。
「はぁっ、まぁそう言うな。本来ならギルドから金が出せね~んだからよ。と言っても俺が行かせたんだからな。代わりにこれをやる」
ギルドマスターがテーブルに置いたのは、メルさんが付けていたのと同じネックレスだった。
小さな黒い宝石が特徴の鑑定阻害アイテムが7個。
「あっ、それのことを忘れてました……」
焚火の火にあたりながら、メルさんと話していたことを僕はすっかり忘れてしまっていた。
どうやらメルさんが、ギルドマスターに話してくれたみたい。
ウインクをしようとして、両方の目が閉じちゃってるよ……メルさん……
「あと、ゴールドとシルバーの分だが、額が額だからもう少し待ってくれ」
これで話は終わりだと言わんばかりに、ギルドマスターが立ち上がった。
「それは構わないけど、今度、一緒に行ってもらいたい所があるから。よろしくね。ギルドマスター」
これまで黙っていたマリア王女が、ギルドマスターを見ながら微笑んでいる。
ちょっと大人に見える。
「チッ、わ~たよ……」
「頑張ってね~お兄ちゃん。あっ、私も一緒に食べようかな~」
苦虫を嚙み潰したよう顔って、こういうのを言うんだろうな~と思う。
怖い顔をしたギルドマスターも、妹と王女様には敵わないみたい。
「あっ、メルさんには色々とお世話になりましたから、僕が奢りますよ」
金貨をリーダーのマリア王女が分けてくれたのだけれど、僕の取り分は金貨5枚だった。
初めてのお給料に、ちょっと大人に成った気分を味わっている。
因みに途中参加の美月さんには、本当なら金貨1枚だけなのだけれど、村人を治療した分として、王女様から金貨1枚を追加で渡されている。
(そうだ。美月さんに洋服をプレゼントしよう)
彼女を呼び寄せてしまったのは、僕なのだから。
僕もあまり変わらないけれど、彼女は湯浴み着しか持っていなかったからね。
そんな感じで、お金のことを気にしないで、にぎやかに食事をしていると、もう一人のお客さんがやって来た。
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