101

阿部2

101

Q. 100回同じことを聞かれても100回笑顔で答えるパソコン教室、101回同じ質問をしたらどうなる?


101.

「すみません。なんか文字が全部大文字になっちゃうんですけど」「喜べ。これがちょうど101回目だ」男は撃鉄を起こした。物語はこうしてはじまる。あるいは終わる。


100.

魔法が解けて王子様に戻る


99.

それはもはやプロポーズだ


98.

そもそもなんで同じ質問を101回するの? と逆に質問される


97.

サイコパスの答え:同じ笑顔が101回見たかったから


96.

グルーヴが生まれる


95.

警察に通報されるが、少なくとも質問してる間だけは死体を弄べたのでよしとする


94.

家に帰ってしまう(もう死んでるのに)


93.

すべてが夢だったことに気づく


92.

パソコンのほうが気をつかってちょっと調子悪そうなふりをする


91.

看板のキャッチコピーが「姥捨山」に変わる


90.

授業が体育に変更される


89.

理由はともかく、そういう決まりなので駅ビルのオーナーになる


88.

「論より証拠。やってみましょう」そう言って先生はマウスの上の私の手を握る


87.

息づかいが荒くなる


86.

汗の匂いがばれた気がする


85.

無造作にネクタイを緩める


84.

発話が音速を越えはじめる


83.

そのころには地球も太陽に飲み込まれるだろう


82.

どうなるもなにも、まったく同じ張り付いたような笑顔だ


81.

糸電話とかが整備されて、質問しやすくなる


80.

オーディエンスが合いの手を入れはじめる


79.

escape key に血が滲む


78.

壁画になる


77.

神話になる


76.

窓から星が見える


75.

核戦争なんてなかったみたいに感じられてくる


74.

反復こそが差異となる


73.

「よし。やっとおれのターンだ」と言われる


72.

下腹部に質問回数分の正の字が刻まれる


71.

時空なんてとっくにねじれている


70.

30回目ぐらいからもう「どうせなら100は超えてくれよ」と思ってたので安心する


69.

二進法だった


68.

気分による


67.

ビンゴだ


66.

神は述語論理でもサイコロを振るのではないか? その疑念が確信に変わる


65.

水分補給が許可される


64.

googleの存在を伝えられる


63.

パソコンより大切なものを手に入れる


62.

因果関係は不明だが肩に薔薇の花弁が落ちてくる


61.

新たな再生可能エネルギーとしての利用が真剣に検討されはじめる


60.

四隅に盛り塩をされる


59.

トンネルの向こうに消えていったあの娘にもう二度と会えなくなる


58.

講師が残像になる


57.

さすがに本当に101回聞いてくる人はいなかったので、びっくりしてしゃっくりが止まる


56.

シンプルに気が狂う


55.

トイレ休憩をはさむ


54.

そういえばタバコ全然吸いたくならないな


53.

リップグロスはまだ落ちない


52.

子どもができる


51.

たぶんなにかの法に触れる


50.

答えが投げやりになる


49.

それでも続ける


48.

気分を変えるためだと思うが、腹話術で答えるようになる


47.

ブレスの位置とかで体調がわかるようになる


46.

ひそかに「ループステーション」というあだ名がつけられる


45.

逆に実在を疑われる


44.

骨格が最適化されてくる


43.

テトリスとかで遊びながら片手間で答えてるので、平気だ


42.

それぞれが二体に分裂するが質問も回答も変わらない


41.

一目置かれる


40.

たぬきになっちゃう


39.

孫の代になる


38.

実質ボイパになる


37.

やっとえくぼが目にとまる


36.

ミスが増える


35.

「アルプスの少女ハイジか」とつっこまれる(アルプスの少女ハイジでないことは明らかなのに)


34.

「おれも若い頃はそうだった」と言われる


33.

そういう民族集団に分類される


32.

質問力がつく


31.

帰納とか演繹とかの問題じゃなくなる


30.

while文を教えてくれる


29.

お泊まりになる


28.

ブレイクビーツのルーツになる


27.

終わりの始まりになる


26.

鼻で笑われる


25.

それ以降、「本当に100回聞いてもいいんだろうなあ?」みたいなつまんねー質問をしてくるやつは全員地下室でその時のやりとりを録音したテープを最後まで聞かされることになる


24.

そこからは、自分との闘いになる


23.

その間に第三次世界大戦が勃発するが、それよりパソコン教室の先生がどう対応するのかにみんなが釘付けになる


22.

この夏はきっと終わらないって、なんとなくそう思う


21.

シニフィアンだけが暴走し、シニフィエが抑圧された現代シミュラクラ社会への一つの問題提起となる


20.

論破される


19.

押し入れにしまわれる


18.

メモ帳を渡される


17.

ふと、灯が消える


16.

ちょうどそのタイミングで刑期が終わる


15.

次からシード枠になる


14.

信号が銀色になる


13.

まだまだ美しくなるし、ずっと見ていたくなる


12.

西入


11.

嘘をつくのをやめてくれる


10.

前髪が軽くなったとか爪の色が鮮やかだとか、少しの変化にも敏感になる


9.

津軽弁がうつる


8.

疲労骨折


7.

背が伸びる


6.

そんな等身大の自分をありのまま受け止めてくれたことに、安心する


5.

スムーズなフローでデリバリーされるようになる


4.

ちょっと濡れる


3.

神棚に祀られる


2.

昔からパソコン教室の先生になるのが夢だったし、なんの後悔もないし、情熱は永遠に色褪せない


1.

「おつかれ様でした」と言われる


0.

「まだいけるか?」と君が問う。ぼくの答えは決まっている「まだいけるぜ」


-1.

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101 阿部2 @abetwo

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