第18話 俺の気持ち
寝ようとした時、シェルとリアが部屋に入ってきた。
「リアム、大丈夫?」
「大丈夫ですか?」
「あ、あぁ。大丈夫だよ」
でも、二人はなぜか心配そうに俺を見ていた。
「本当に大丈夫だって」
「でも、お兄さんと話している時、少し悲しそうだったよ?」
「そうですよ......」
「え?」
(俺が悲しそうな表情をしていた?)
二人が言った言葉を疑った。なんで悲しい表情なんだ? 怒っている表情とかならまだわかるけど。
「リアム、嘘はついちゃダメだよ?」
「え?」
「自分に嘘をついても、絶対にキャパオーバーしてしまう。だからきちんと本心を言って」
「本心と言っても......」
そう、ザイト兄さんたちに罰を与えたいというのが俺の本心だ。そうに決まっている。すると、二人は暖かい目で言った。
「本当はお兄さんを罰したくないんでしょ?」
「い、いや、そんなこと」
「なら、なんでお兄さんが目を覚ました時、楽な道を選ばせたの?」
「......」
言われてみればそうだ。あの時、俺はモンスターを倒した方がいいっと言った。それは、今思えばザイト兄さんの精神を安定させるためであったかもしれない。あの時、俺たちとついてこさせて、住民たちがどのような状況に陥っているかを見せるという選択肢もあった。
でもそれをしなかった。それは、俺がザイト兄さんを救いたいからなのかもしれない。
「俺は、ザイト兄さんを救いたいのかもしれない」
「うん。だったらできる限りのことはしてあげようよ」
「あぁ」
シェルやリアが言う通り、俺はザイト兄さんを救いたいのかもしれない。結果として、街を危険にさらしてしまったが、ザイト兄さんも父さんから追放された、俺と一緒の被害者だ。それにザイト兄さんは昔から民や街を第一に考えていた。そんな人が罰せられてこの場所から消え去るのはダメだ。
「じゃあ、明日から一緒に考えよ。まだ時間はあるし」
「そうですね」
「うん。二人ともありがとう」
すると、二人は笑顔になりながら俺に抱き着いてきた。
「いいんだよ。お互い困ったら助け合うのが仲間でしょ?」
「そうですよ!」
そして、二人と少し話して俺が寝ようとした時、なぜか部屋から出て行かなかった。
「え? 二人もここで寝るの?」
「ダメ? まだモンスターがいるかもしれないし」
「そ、そうですよ! それにまだリアムさんが疫病から治ったとは限りませんし」
「.......。じゃあ俺が床で寝るから二人はベットで寝て」
俺がそう言うと、二人はなぜか俺の腕をつかんでベットに連れ込んだ。
「一緒に寝るの」
「そうですよ。今日ぐらい、一緒に寝ましょう」
「......。はい」
「あ、エッチなことはまだダメだよ?」
シェルがそう言うと、リアが大いに頷いていた。
「わかっているよ」
そして、俺たちは就寝した。
★
(全然寝れなかった)
翌朝、二人の寝顔を見ながら、ベットから出て、ザイト兄さんの元へ向かった。
「リアムか......」
「兄さん。話があるんだ」
「あぁ。なんだ?」
「俺は、兄さんがこの街を大切に考えているのを知っている。だから兄さんにはこれからもこの街を守ってほしい」
すると、ザイト兄さんは驚いた顔でこちらを見てきた。
「え?」
「最初は、そう思わなかったよ。俺たちを殺そうとして、あまつさえ街を滅ぼそうとしたんだから」
「......」
「でも、それは俺の私情であり、兄さんの気持ちを考えていなかった。結局、兄さんも被害者なんだから」
そう、俺と兄さんは一緒の被害者。なら同士なんだから助けてあげたいに決まっている。
「でも......」
「すべてを許したわけじゃない。でも、兄さんには今回の件を償ってもらわなくちゃいけない。それがこの街でもう一回復旧する手伝いをすることだよ」
すると、ザイト兄さんは嗚咽を吐きながら頭を下げてきた。
「本当にありがとぅ」
「だからこれからアーデレスの精鋭部隊の人たちと話すと思うけど、俺たちの意志も伝えながら一緒に話そう」
「あぁ。本当にありがとう」
俺が、兄さんの部屋から出ると、なぜかシェルとリアが居て、嬉しそうな表情をしていた。
「じゃあ、今日から頑張ろうね!」
「あぁ。二人ともこれからも宜しくな」
「「うん!!」」
こうして、俺たちは街の復旧を手伝った。そして、ついにアーデレスの精鋭部隊の人たちと話す日が来た。
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