第11話 魔族と実家への絡み


 地下室へ着くと、そこには見たことも無い本がたくさん置いてあった。


(何だこれは?)


 すると、リアが一冊の本を手に取ってみると、驚いた表情でこちらに見せてきた。


「これ、魔族の文字ですよ」

「え?」


 魔族の文字で書かれた本がなんでこんな場所であるんだ......。俺は解読スキルを使い、本を読んで一部読んでみる。


【この世界は魔族に支配されるべき場所だ。劣等種である他種族と魔族が同列であっていいわけがない】


「これって......」

「魔族が支配しようとしている聖書みたいなものですね」

「それがなんでこんな場所に......」


 すると、リアは少し考えた表情を見せながら話し始めた。


「多分ですが、リックさんがおっしゃられていた通り、ロードリック家と魔族がつながっていて、橋渡しにされているのではないでしょうか?」

「なんでそんなことを」


 ロードリック家が橋渡しをするメリットが分からない。そんなことをしたら、人族及び他種族からも敵対視されるのは目に見えているし、メリットよりデメリットのようにしか考えられなかった。


 その後も、魔族の文字で書かれている本を少しずつ読んでいくが、どれもこれも他種族を支配するようなことを書かれているものしかなかった。


(父さんは魔族と繋がっていたのか......)


 いや、父さんよりもっと前の先祖の時代から魔族と繋がっていたとも考えられる。もし、そうであったら、これは......。


「ねぇ。さっきから話を聞いていたけど、リアムの実家は魔族とつながっていたってことでいいんだよね?」

「あぁ」

「でも、リアムのお父さんやお兄さんはこの場にいないってことはもしかして魔族がこの街に攻め込んでくるってこと?」

「......」


 シェルに言ったことに少し納得してしまった。もし、俺の家族がこの街から逃げきっていたら、もうこの街には用が無くなったってことだ。そして、用が無くなったということは、もしかしたらシェルの言う通り魔族が攻め込んでくる可能性がある。


「もし私の考えがあっていたら、やばくない?」

「あぁ。すぐに精鋭部隊に伝えなくちゃ」


 俺たちはすぐさまこの部屋から出ようとした時、部屋の隅に置かれている石板を目撃してしまった。


「なんでこんな場所に古代文字が書かれているのがあるんだ......」

「......。わからないけど、これがあるってことはリアムの実家は古代文字と接点があったってことだよね?」

「た、多分」


 そこで、サラマンダーが先程言っていたことを思い出す。封印されている魔族がここら辺にいたと。


{これだろうな}

{そうだよね}

{でも、封印は解かれている。だからリアム、気を付けろよ}

{......。わかった}


 封印が解かれているってことは、ここら辺にいる可能性があるってこと。そして、サラマンダーが魔素を感じ取れたのだから、まだ封印が解かれて時間がさほど経っていないかもしれない。


「まずは、精鋭部隊の人たちと合流しよう」

「えぇ」


 俺たちはこの場を後にして、応接室に向かっている途中、精鋭部隊の人たちがすぐさま屋敷から出ようとしていた。


「どうかなされましたか?」

「外が騒がしいからそこへ行ってみようと思ってだな」

「わ、分かりました」


 騒ぎが起こっている方向へ向かうと、そこにはゴブリンやコボルト、リッチなど様々なモンスターが人間たちを襲っていた。すると精鋭部隊の人たちがすぐさま戦闘態勢に入って、一人の男性が言った。


「俺たちがこのモンスターを退治するから、君たちは助けられる人たちを助けてあげてほしい」

「わかりました」


 ここで精鋭部隊の人たちと別れて、俺たちは緑色の現象に陥っている人たちに魔法をかけて、治して行く。


 その時、後ろから名前を呼ばれた。


「リアム......。お前が、お前さえいなければ!」


(!?)


 体中緑色になったザイト兄さんが俺たちの目の前に現れた。

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