第7話 実家の危険性
「リアムさん?」
「どうした?」
寝間着姿のリアを見てドキドキしながら平常心を保ちながら答えた。
「あの、今日のことですが」
「ん?」
今日のことで何かあったっけ?
「お父さんは悪い人じゃないので。そこは安心してほしいです」
「あ~。それなら大丈夫だよ。リアを信じているから」
あの人が言った通り、力が制御できない魔族がいる可能性は確かだろう。でも、リアのお父さんは違う。それはリアを見ていればわかることだ。
もし、リアと出会った時、俺たちに攻撃を仕掛けて来ていたりしていたら話は変わっていたかもしれない。でも、あの時、リアは自分が魔族だっていうのを隠して俺たちと話すそうとはしなかった。
それを見る限り、他種族にも好意的に思っている、もしくは戦闘が行いたくない種族ってことなんだろう。そんな種族の長が危ないわけがない。それもリアのお父さんなんだから。
「ありがとう」
「お礼なんて言わなくていいよ。一緒にお父さんを助けよ」
「うん!」
その後、リアと少し話してから俺の部屋を後にした。
(この力で俺は大切な人を助けるんだ)
翌朝、みんなで朝食を取っている時、リックさんが部屋に入ってきて言われる。
「国王様から聞きました。リアムさん、なぜロードリック家はあなたを殺そうとしているのですか?」
「え?」
「だってそうじゃないですか。普通、あそこまでして殺そうとしません。殺さず、辺境地に送ればいいことじゃないですか」
「あぁ~」
リックさんはまだ俺がロードリック家ということは知らない。でも、普通に考えて俺を殺さずとも、制約をつけて暮らさせるか、辺境地に飛ばせて情報漏洩させないようにすればよかったはず。
「もしかしてロードリック家と何かつながりがあるのですか?」
「......」
「まあそんなことは良いんです。それよりも考えうるのは、ロードリック家が魔族と繋がっていないかってことです」
「は?」
実家が魔族と繋がっている? そんなことあるはずがない。だって暮らしてきた期間、魔族らしき存在を目撃したことがなかったのだから。
「こう考えてみてください。ロードリック家が主犯となって、種族間で戦争が起こったら魔族の一強時代が始まります」
「......」
「そして、魔族の理念とは、どの種族より優位な位置に立つこと。それが理にかなっているかなと思いました」
「そ、そうですね」
でも、そんなことあり得るはずがない。ロードリック家が魔族と繋がっているなんて......。でも、もし魔族と繋がっていたら? そうならリックさんが言う通りなのかもしれない。
「ですので多分、今日中に精鋭部隊とロードリック領へ向かうと思いますが、気を付けてください」
「わかりました」
すると、すぐさまリックさんはこの部屋を後にした。
「ねぇ、リックさんが言ったことは本当なの?」
「いや、わからない。でも俺が暮らしていた時は魔族らしき存在を見なかったけど」
「そうですよね。リアムさんが私を見た時、初めて見るような目で私を見ていましたので」
「あぁ」
そう、俺が初めて魔族を見たのはリアだ。だからロードリック家が魔族と繋がっているとは思いづらいんだけどな。
「一応、見てみるか」
「え? 魔眼を使うの?」
「あぁ」
「それはダメだよ! リアムが」
シェルが言いたいことはわかる。でもこれに関しては確かめてみなくちゃいけない。
「いいんだ。これは俺の問題でもあるから」
「「......」」
二人は俺の事を不安そうに見つめていた。そして、俺は魔眼を使い、ザイト兄さんの未来を見る。
(え?)
なんで見れないんだ? だが、頭痛がやってくる。
「う......」
「「リアム(さん)!」」
「だ、大丈夫」
魔眼はきちんと使われていた。それなのにザイト兄さんの未来が見えなかったってことは......。
「それでどうだった?」
「それが分かんなかった」
すると、二人は首を傾げていた。
「わからないって......」
俺もシェルと一緒のことを考えていると思う。本当に俺の実家は......。ますますリックさんが言ったことに対して信憑性が増してきた。そう思いながら、アーデレス国の親衛隊とロードリック領へ向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます