第3話 お互いの呼び方
二人と目が合うと、少し顔を赤くしたがミシェルは怒った表情に、アメリアは恥じらいのある表情をしていた。
俺はすぐさま頭を下げて謝る。
「本当にごめん」
「......。本当にそう思ってる?」
「あ、あぁ」
少し役得だったとは思うが、本当に申し訳ないと感じている。故意的ではないとは言え、二人の裸を見て恥ずかしい思いをさせてしまったのだから。
「なら私は良いけど、アメリアはどう?」
「私も......。リアムさんならいいです」
(俺ならって......)
少し、アメリアが俺に好意があると思ってしまったが、すぐに頭を振って邪念を消す。少しでも俺の事を信用してくれたからこう言ってくれたに決まっている。
「でも、リアムは私たちに貸し一だからね?」
「わかった」
二人が負ってしまった精神的に受けた痛みに比べたら、貸し一つで済むなら安いすぎるぐらいだ。
その後、お互い気まずい雰囲気になりながら休憩していると、ミシェルが立ちあがった。
「もう私たちも怒っていないんだからリアムもそこまで考えすぎないで! アメリアもそう思うよね?」
「は、はい!」
「あぁ」
(二人がこう言ってくれるなら、それに甘えよう)
「それで、人族の国でどうやって国王様と会うの?」
「あ~」
ぶっちゃけそこまで考えていなかったので、何とも言えなかった。一応は、古代文字の解読をしたと伝えたら会うことはできるかもしれない。まだ顔は知られていない俺が、事実を伝えてしまったら、確実に国王からマークされるに決まっている。
「はぁ。やっぱり決めていなかったのね」
「ご、ごめん」
ミシェルはため息をつきながら、俺に提案をしてくれた。
「だったら私たちを頼ればいいじゃない」
「え?」
ミシェルとアメリアを頼る? そんな発想はなかったので、少し驚く。
「私はエルフの国の王女だよ? 国王に会おうと思えば会えるはずだよ」
「そ、そっか」
今まではミシェルやアメリアのことを王族だと認識しながら行動していたが、ここ最近になるにつれて二人は大切な存在になって、王族という認識から徐々に離れて行っていた。
「それでどうするの?」
「できればミシェルの案で行きたい」
「じゃあそうしましょ。アメリアも良いよね?」
「はい! 私は二人について行くまでですので」
アメリアがそう言ったのに対して、今まで思っていたことを言う。
「アメリア、もう俺たちは仲間なんだから気を使わなくていいんだよ? もっと意見とか言ってほしいよ」
そう、いつもアメリアは俺とミシェルが決めたことに対してついてきてくれるだけ。だけど、それじゃあアメリアの意見が聞けない。もう俺たちは仲間なんだし、もっとアメリアの気持ちを聞きたいと思った。
「わ、分かりました。では一つお願いをしてもいいですか?」
俺とミシェルは首を傾げなら、笑顔で頷く。
「私のことは、アメリアじゃなくてリアって呼んでくれませんか?」
「......。わかったよリア」
「え~。私は嫌だよ」
「え? 嫌ですか......」
流石にミシェルがそんな回答をするとは思っていなかったので、驚いた顔でミシェルを見る。だけど、ミシェルは嫌な表情はしておらず、笑顔のまま言った。
「リアムがリアって呼ぶなら私はアーちゃんって呼ぶよ!」
「は、はい!」
「だから私のこともミーちゃんって呼んでね。リアムはシェルって呼んでよ」
「わ、分かった」
突然のことで少し驚くが、すぐさま了承する。
「じゃあそう言うことでね。リアムもリアってあだなになっちゃうから、リアムはリアムのままね」
「あぁ」
「リアムさん、ごめんなさい」
「いいんだよ。逆に俺がリアって呼ばれてたら女じゃないのかって思われちゃうしね」
流石にリアって呼ばれるのはきついしな。だからリアが先に言ってくれてよかったよ。
「じゃあみんな言い方は決まったわけだし、練習しよ~」
シェルがそう言った後、一時間にもわたりお互いの名前を呼び合った。
そして、数日が経ち、やっとアーデレスにたどり着いた。
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