2.1章 実家の真実
第1話 ザイト兄さん視点
「クソが! なんで古代文字なんで発見したんだよ」
追放したことに対して後悔はしていない。なんせ、追放に関しては父さんが決めたことなんだから。でもリアムが古代文字を発見するとは予想もしていなかった。
(あのまま表に出てこなければよかったのに)
そう、リアムが古代文字を発見してから俺の立場が徐々に悪くなって行った。父さんからは、いつもリアムを比べられる生活を送るハメになっている。
(この前会った時なんて、エルフと鬼人族と女性と一緒に居たじゃねーか)
あいつが劣等種と一緒に居るのは構わねえ。でもつい最近知ったが、エルフの方は王女様。
(劣等種であろうと王女様である人がなんであんな雑魚と一緒に行動しているんだよ)
リアムのことを考えて行くと、徐々に苛立ちが顕わになってくる。そう思っていた時、父さんが俺の部屋に入ってきた。
「ザイト、リアムと会ったって言うのは本当か?」
「はい」
「本格的に始末しろ。これは命令だ」
「え?」
(本格的って......)
「お前はリアムが邪魔だとは思わないのか?」
「思いますけど......」
父さんが言う通り、リアムの存在は邪魔だ。あいつがいなければ俺の人生はもっとスムーズに進んでいたのは間違いない。
(でも......)
俺はあいつに死んでほしいと思っているのか? あいつは憎い。邪魔な存在なのは間違いない。だから刺客をだして痛めつけて冒険できないレベルにしてもらえればいいと思っていた。でも殺すとか......。
「だったらあいつを始末するんだ」
「......」
俺が黙りこんでいると、父さんは俺の事をにらみつけてきた。
「まだ状況が理解できていないのか! あいつのせいでロードリック家がどれだけ避難の目を浴びている!」
「それはそうですが」
「いいわけなんていい。あいつを始末する。これは決定事項だ」
「はい......」
もし、俺が少しでもリアムのことを邪魔だと思わなければ了承していなかったかもしれない。でも父さんと一緒で俺もあいつのことを邪魔だと思っている。だから了承してしまった。
(それに俺は父さんには逆らえないし)
「まあ、今回あいつが行く場所はわかっている。だから俺が刺客は出しておいたから、その後始末は任せる」
「わかりました」
そう言って父さんが俺の部屋を後にした。
(それにしてもリアムが行く場所って言うのはどこなんだろう?)
★
数日が経った日、情報が流れ込んできた。
【ロードリック家が
(え?)
俺はすぐさま父さんのいる部屋に向かうと、そこはもぬけの殻になっていた。
「父さん......?」
どこに行ったんだ? 俺は
その後、俺はいろいろな貴族から責められた。「
(俺がやったわけじゃないのに)
その時、家にある一つの石板を目にする。
(何だこれは?)
読めない。なんて書いてあるかわからない。一応は、ある程度全世界の文字を目にしてきたつもりだが、俺が知っている文字ではなかった。
すると、石板からまがまがしい雰囲気を感じた。
「なんなんだよ!」
もういやだ。家に父さんはいないし、リアムは世間的に認められ始めた。そんな中、俺は何なんだよ。
「これが古代文字なら俺に力を貸せよ!」
そう言った瞬間、石板から黒色の風が吹き始めた。
★
この出会いが俺の人生を大きく変えて行った。
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