第11話 国王との面会


 俺が呆然と立っているところにミシェルとアメリアがこちらへ駆け寄ってきた。そして、俺の家の紋章を見てから話しかけられる。


「リアム! 大丈夫?」

「大丈夫ですか?」

「あぁ......」


 シルフとサラマンダーの力を同時に使ったけど、まだ魔力には余裕があった。すると、ミシェルは俺の事を抱きしめてくる。


「え......?」

「今だけ。今だけだよリアム。でも慣れちゃダメ」


(!!)


 実家の刺客が竜人族ドラゴニュートに攻め行ってきたことが不安なんじゃない。それをミシェルに見透かされているのが分かった。俺が一番何に不安を感じているのか。


「あぁ。慣れないようにする。だからありがとな」

「うん。冒険者なら人を殺してしまう時がある。それにちゃんと考えてね。今回は、私たちが助けなかったらどれだけの竜人族ドラゴニュートが死んでいたか」

「うん」


 ミシェルの言う通りだ。今回、俺がこいつらを殺さなければどれだけの竜人族ドラゴニュートが死んでいたのか。そう思っただけで、先程感じていた不安がスッとなくなっていくのを感じた。


 そこから、ミシェルとアメリアと俺で竜人族ドラゴニュートの逃げ遅れを探しに歩き始めた。そこから十分ほどたったところで、ラルクさんと出くわした。


「リアムくんか......。大丈夫か?」

「はい。一応はこちらにいた竜人族ドラゴニュートの方々は避難してもらいました」

「そうか。ありがとう。日が明けたらリアムくんたちには国王に会ってもら居たいけど、いいかな?」

「もちろんです」


 ラルクさんの発言からして、俺が今回の火種だってことがわかっている雰囲気であった。


「助かる。三人はもう王室に戻っていい。これからは私の仕事だ」


 言われるがまま、俺たちは王室に戻って、各自部屋に戻った。


(覚悟を決めなくちゃ)


 そう、今回の火種は間違いなく俺だ。俺が竜人国ドラゴノウスに来なければこうはならなかっただろう。来ていたとしても、一刻も早く俺が狙われている身だと知らせていたら被害が少なかったかもしれない。


(クソ......)


 考えて行くごとに、自分の行動に嫌気が指して行った。そして日が出てきて、俺たちは国王と面会をした。そこにはモールト王子やモールト王子に似ている人、そしてラルクさんなど様々な人がここにいた。


「まず、初めまして。モールトの父である、クリリート・サリケルトだ」


 俺たちも国王に続くように自己紹介をした。


「それで本題だが、リアムくんよ、今回攻め入って来た人族に心当たりはあるかい?」

「はい」


 俺がそう答えると、王室がざわついた。


「それはリアムくんとどういう関係なんだい?」

「私の実家の刺客です」


 すると、騎士である人たちが俺に対して戦闘態勢をとった。それを見るとミシェルが言った。


「リアムの実家ではありますけど、リアムはすでに実家を勘当されている身です。ですのでリアムがこの国に連れてきたというわけではありません」

「そんなことわかっている。だがな、リアムくんが原因であるのに間違いはないだろ?」

「はい」


 俺がそう答えると、ミシェルとアメリアは不安そうにこちらを見てきた。だけど嘘をつくわけにはいかない。今回の騒動、確実に俺を殺すために来たはずだ。俺はこの国に迷惑をかけた身であるのだから。


「リアムくんを罰せなければいけない」

「だから!」

「ミシェルさん。話をきちんと聞きなさい。本当なら罰せなければならないが、リアムくんに助けられた人たちが大勢いる。それは国民、そしてラルクからも聞いている。だから今回は不問としようと思ってだな」


 すると、騎士たちが驚いた顔をしていた。


「皆も驚くのは無理ない。だが、モールトの言う通りならリアムくんはサラマンダー様と契約をしたと聞く。そして世界の理を知っているんだよな?」


 世界の理と聞いて驚いた。ここにいる人たちのほとんどが世界の理と聞いて誰もピンとこないだろう。だが、何人かはわかっているような表情もしていたので、国王から聞いていたのかもしれない。そう思った。


「はい。少しなら知っています」

「私も代々受け継がれる流れで知っている。そして、世界の理を知っている人材、そしてそれを止められるであろう存在を罰すわけにはいかない」


(今の発言からして、国王は本当に知っているんだな)

 

「だが、一つ条件がある。今後のために、私達とリアムくんたちで条約を結んでほしい」

「え?」


 条約? 俺と竜人国ドラゴノウスで?

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