第10話 ロードリック家の仕打ち

「リアムさんたちはここで待機していてください」

「いや、俺も戦いますよ」


 俺が言ったのに続くように、ミシェルとアメリアも頷きながら言った。


「「戦う(よ、います)!」」

「ですが、客人であるあなた方を戦わせるわけにもいきません」


 モールト王子は申し訳なさそうにそう言った。王子がそう言うのもわかる。国の問題に対して客人を戦わせるわけにはいかない。でもそれが本当に国の問題ならだ。


「今回攻め入っているのは、人族です。同種族が攻め込んでいるのに戦わないわけにはいきません。それに......」


 もしかしたら、今回攻め入ってきたのは、俺たちのせいかもしれない。まだ二日しか経っていないが、こんなタイミングよく攻め込んでくるとは思えなかった。


「......。分かりました。でも無茶だけはしないでください」

「「「了解」」」


 俺たちは、王宮を出てすぐさま戦闘が行われているところへ向かった。そこには竜人国ドラゴニュートの死体がそこら中に転がっていた。


(ひどい......)


 なんで、こんなことを。そう思ったが、今はそんなこと言っていられない。今は一人でも多く竜人国ドラゴニュートを助けなくてはいけない。


 俺たちあたり一面を見回して、竜人国ドラゴニュートの生き残りを探した。すると何人か重傷を負っているが生きている竜人族ドラゴニュートがいたのでそちらに近寄る。


「ひっ!」

「大丈夫です。俺たちは味方です」


 怯えるのもわかる。俺は人族だ。そして殺されかけたのも人族である以上、恐れられるのが当然だ。


 俺はティターニアの力を使って、竜人族ドラゴニュートの怪我を癒した。


「え? あ、ありがとうございます」

「早く安全なところへ向かってください」


 そこでふと思い出す。


「ミシェルもティターニア様の力を使って竜人族ドラゴニュートの傷を癒してあげてくれ」

「わ、分かったわ」

「アメリアは、あたりに人族がいないか探して、見つけたらいち早く俺たちに知らせてくれ」

「わかった!」


 俺とミシェルで、竜人族ドラゴニュートを見つけ次第、傷を癒して非難を促した。そして、十分程経ったところで、竜人族ドラゴニュートを見かけなくなった。その時、アメリアが俺たちに言う。


「左方向に人族三人がいる!」

「「ありがとう!!」」


 俺たちは、人族がいる方向に向かう。すると、竜人族ドラゴニュートを殺そうとしているところだった。俺は手の甲に魔力を込めてシルフを呼ぶ。


{シルフ!}

{わかった}


 人族たちを風魔法で吹き飛ばす。


「大丈夫ですか?」

「え、えぇ」

「早く逃げてください」


 竜人族ドラゴニュートが逃げ切ったところで、俺たちは人族に方位されてしまった。


(クソ)


 風魔法でここをかぎつけたか。


「お前何してんの?」

「お前たちこそ何をしているんだ!」

「何って見ればわかんだろ。竜人族ドラゴニュート狩りだよ」


 全員が不気味な笑みを浮かべて、一人の男性が俺たちに言った。


竜人族ドラゴニュート狩りだって?)


「なんでそんなこと」

「それはお前には関係ないだろ。いや、関係はあるか。なぁリアム様」


 そう言って、俺たちに攻撃を仕掛けて来た。ミシェルが風魔法で数人を吹き飛ばすが、人数が多すぎて捌ききれなかった。そして、ミシェルが魔法を撃った瞬間の隙をついて、斬りかかってきた。


(やばい!)


 俺が駆け寄っても間に合わない。そう思った。


 だが運よくアメリアが近くによって、その攻撃をさばいて、攻撃してきた男性を吹き飛ばした。


(よかった)


 その後も、俺とミシェルで人数を減らしつつアメリアが俺たちのカバーをする方向で戦った。その時、一人の男性が炎玉かえんだんを使おうとしてきた。


(これが街に使われたら)


 炎玉かえんだんを街に使われたら、ここら辺一帯が燃え尽きてしまう。


(どうする......)


 その時、サラマンダーが話しかけてきた。


{俺の言った通りにしろ。俺とシルフの魔法を合わせろ}

{わかった}


 俺は、サラマンダーの言われた通りに右手には風魔法を、左手には火魔法を使って炎玉かえんだんへ向かって放った。すると、人族たちだけが燃え盛った。


(......)


 俺は、人を殺したのか......。そう思いながら、燃え盛った人たちを見に言ったら、見覚えのある紋章がつけられていた。


(!!)


 なんでここにロードリック家の紋章があるんだ......。

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