第9話 契約
{あぁ。契約をしよう}
手の甲が熱くなり、あたり一面に熱風が走った。そして、魔法陣に竜のマークがついた。
{これで契約完了だ}
{よろしくお願いいたします。サラマンダー様}
{サラマンダーで言い。リアム}
{わかった}
ふと、なんで名前を知っているんだ? と思ったが、精霊と契約をしたら、お互いの過去が見えると思いだした。
(まあ、俺はシルフもティターニアもサラマンダーも見たことないけど)
そう思うと、少し不公平だよな。俺の知られたくない過去は知られているのに、精霊たちの過去はしれないなんてさ。まあ力を貸してくれているんだからしょうがないって言えばしょうがないんだけどさ。
{そうだ、サラマンダー。姿をみんなに見せてあげてくれないか?}
{ん? いいぞ}
すると、ミシェルたち全員が驚いた顔をしてサラマンダーを見ていた。
「契約できたのね」
「あぁ」
「何度見ても驚くわね」
「そうだね」
俺だって、精霊と初めて会う時は、緊張する。それと感覚は一緒なんだろうな。そして、モールト王子の方を向くと涙を流していた。
「本当にいたんですね。サラマンダー様」
「ん? ずっといたさ」
「そうですよね。あの時はありがとうございました」
「あぁ。覚えていたか」
(??)
あの時とは? 今の発言からも、サラマンダー様と会っていないとらえられるし、古代文字が解読できない時点でモールト王子がサラマンダー様を見ることはできないはずだ。それなのにありがとうございましたってどう言うことだ?
「モールト王子はサラマンダーと会ったことがあるのですか?」
「いえ、ですが昔に一度、私が魔族に襲われている時サラマンダー様が私を助けてくれたことがありました」
「え?」
封印されているのに助けることが出来るのか? そう思った。ティターニアはあの祠から出れないし、シルフだって誰かを助けたとは聞かない。それなのに助けたって......。
「リアム、それは私が説明しよう。私は封印される直前に、
「あぁ~。そう言うことか」
言われてみれば、封印される前に力を残しておけば、助けることはできるということか。
「リアムさんも本当にありがとうございました。これでサラマンダー様も自由になれます」
「あぁ」
すると、モールト王子の手の甲に俺と一緒のドラゴンの紋章ができていた。
「え? これって」
「モールトよ。私はお主にも力を少し授ける。もし危険な目になったらそれを使うといい。そしてリアムが困っている時、その力で助けてあげてほしい」
「わ、分かりました。それとありがとうございます」
そう言えば、シルフとティターニアもミシェルに力を授けていたけど、ミシェルにも紋章が付いているのかな?
「では、私と一緒に父上と会っていただけませんか?」
「わかった」
この遺跡を出て、
その夜、あたりがうるさくて目を覚ますと、家が燃えているのを目撃した。
(え?)
何が起きているんだ? 俺はすぐさま、ミシェルとアメリアの部屋に行くと、二人とも起きていて合流する。
「どうなっているの?」
「わからない」
「でも、これって」
「あぁ」
間違いなく、他種族からの攻撃を受けているとわかった。家が燃えているぐらいなら、
そして、俺たちがいるところへモールト王子が入ってきて言った。
「人族が攻め入ってきました」
「え?」
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