第13話 封印の主犯格


「エルフに鬼人族ですか。あ! 劣等種の人間もいますね」

「......」


 話半分に聞きながら、俺たち全員が戦闘態勢に入った。


「まあそう身構えないでくださいよ」

「あなたは誰?」

「誰っていわれましてもね~」

「なんでここにいるの?」


 ミシェルは魔族を睨みながら質問していた。


「もう少しで終わるところでしたけど、まあいいでしょう」

「質問に答えなさい!」

「はいはい。ミシェル様」

「!?」


 え? なんでミルシェの名前を知っているんだ? ここにいる全員がそう思った。


「まあ簡単に言えば、封印が施されているかの確認ですよ。それと封印の強化ですかね」

「......。なんでそんなことするの」

「そんなのティターニアが怖いからに決まってるじゃないですか!」

「怖いね......。魔族も怖い存在はいるんだな」


 つい言ってしまった。


「劣等種と話すつもりはありませんけど? まあいいでしょう。どの種族にだって怖いものはあるでしょう。種族間に序列があるのだから」

「??」


 序列トップに君臨している魔族に怖いものなんてあるのか?


「人族は情報が遅れているから理解できなくてもしょうがないですよね。いや、理解できないか。人族にとって全種族が弱点なんだから」

「!!」


 それを言われてやっとわかった。魔族にとって、エルフが弱点である事。そして、その頂点に君臨しているティターニア様が怖いということ。


 その時、アメリアが叫んだ。


「なんでお父様を封印したのよ!」

「鬼人族が邪魔だったからに決まっているじゃないですか」

「どこにいるの」

「それを答える義理はありませんね。ここまで情報をしゃべっただけでも感謝してほしいぐらいですよ」


 そう言いながら不気味な笑みを浮かべていた。


「それで、ここまで話したんだから見逃してくれますよね?」


 すると、ミシェルが睨みながら言った。


「それはできないわ」

「はぁ~。逆に温情ですよ? あなた方三人と戦ったところで私にとっては負担でも何でもないんですよ」

「......」


 こいつが言っていることは、一理ある。今の俺たちが戦っても勝てる相手じゃない。それは見ればわかることだ。それでも、ティターニア様を封印した奴を見逃す選択をミシェルができるはずない。


 すると、低い声で話し始めた。


「王族であるミシェル様、鬼人族である女を殺すのは惜しい。それに、劣等種であるお前には......」

「......」

「お前は劣等種の中でも特別な存在だったのだろう?」

「それは違う」


 大声で否定した。俺が特別な存在だと? そんなことあり得ない。そうであれば、今までの出来事が起こるはずがない。


「違いませんよ。ですが、その眼を見て周りはどのように反応されましたか? 信用されず、追いやられた。そんなことがありませんでしたか?」

「......」


 俺は、魔族に言われたことを否定することが出来なかった。


「そうだ! 私と一緒に来ませんか? そうすれば、あなたも楽しい人生が遅れますよ」

「「ダメだよリアム(さん)!!」」

「外野は黙っていてください」


 魔族がそう言って、二人に拘束魔法をかけて動けないようにした。そして、俺に近寄ってきて手をさし伸ばされる。


「あなたならわかってもらえるはずです。劣等種に憎しみを持ちましたよね? こちらに来ればそれを実行できますよ」

「......」

「これも運命ですよ。さぁ、私の手を取って」


 そこで、ふと頭の中にミシェルが浮かんだ。


【自分をもっと大切にして】


(あぁ。そうだ)


「それはできない」


 追放された当時ならこの提案に乗っかっていたかもしれない。こいつが言うことに対して思い当たらないわけでもない。追放され、殺そうとした家族を憎んだ。それに、周りからは異様な目で見られる人生。


 でも、ミシェルと出会って俺の人生に光が差した。この人となら一緒に居てもいい。いや、一緒に居たい。そう思える存在と出会えたんだ。だから......。


「そうですか。だったら眼だけでも貰いますね」


 俺の眼に向かって指を突っ込もうとした時、あたり一面が光出した。


(え?)


 そして、魔族が吹き飛ばされた。すると、魔族は俺の事を異様な目で見てきながら言った。


「もしかして、あなたは......」

「俺はお前にはついて行かない。これが俺の答えだ」

「そうですか。まあいいでしょう。言い情報も入手できましたしね。では」


 そう言って、魔族はこの場から消え去っていった。その瞬間、ミシェルたちにかかっていた魔法が解かれてこちらに寄ってきた。


「「大丈夫(ですか)?」」

「あぁ。ありがとな」

「? それよりもあの光......。なんだったの?」

「わからない」


 その時、耳元で囁かれた。


{こちらへ来てください}


(誰だ?)


{シルフ?}

{違うよ?}


 じゃあ誰なんだ? そう思いながら、囁かれた方向に向かうと、一部だけ古代文字が見えた。そして、魔眼を使って解読する。


【ティタ】


??


 あたり一面に古代文字が無いか探し始めるが、ここ以外あたり一面古代文字は見当たらない。


(しょうがない)


 俺は、予知を使って未来を見る。すると一部だけ、封印がされていない場所を発見する。そしてそこに向かおうとした。その時、頭痛が走る。


「うぅ......」

「リアム!」

「だ、大丈夫だから」


 予知した場所についた時、古代文字を発見する。


【癒しのティターニア】


 それを読んだ瞬間、目の前に一人の女性が現れた。


{ありがとうございます}


(え?)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る