第14話 世界の理
{あの、ティターニア様ですか?}
{はい}
{......}
実際に見てみると、ミシェルの面影が少しだけ見受けられた。
{子孫も困惑していますし、私と契約してくれますか?}
{分かりました}
二度目であり、ミシェルからの願いでもあるので断る理由がなかったので、すんなりとティターニア様と契約が進んでいった。
そして、あたり一面に緑色の風が起きた瞬間、手の甲が熱くなったのを感じた。
(そう言うことね)
きちんと魔方陣を見てみると、渦巻き状の紋章と、羽の紋章ができていた。
「初めましてリアム、そして私の子孫であるミシェルと鬼人族であるアメリアさんでいいかしら?」
「「!?」」
二人は、驚いた顔でティターニア様のことを見ていた。そして、ミルシェは涙を零しながら言った。
「本当にティターニア様ですか?」
「はい。そうですよ。今はリアムと契約しているので、リアムの精霊ということにもなりますけど」
「え?」
すると、二人は俺の方を見てくる。
(しょうがないじゃん。ティターニア様に頼まれたんだからさ)
「ですがシルフみたいに、リアムと一緒に居る事はできないわ」
「そ、そうなんですか?」
「まず、リアムは敬語じゃなくていいからね? 対等な立場なんだから」
「あ、はい」
ミシェルと同じことを言われてしまって、少し驚いた。
「それで、私は、世界各国に私の一部を封印されています。だから力の一部を貸すことはできても、この場から移動することが出来ないんですよ」
「「「......」」」
「リアムたちが私の封印をすべて解いてくれた時、一緒に行動します。それはお約束しますので、お願いです。私を助けてください」
「もちろんですよ」
そう、もう一部は助けてしまったんだ。だったら全部の封印を解いて自由にしてあげたい。それに、これはミシェルの願いでもあったからな。
「よかった。では、なぜ私が封印されたのか。そして同様に精霊が封印されている理由を説明しますね。言わば、世界の理」
そう言うと、ティターニアは黙々と説明を始めた。
まず、魔族が世界征服しようとしたこと。それを阻止しようとした精霊とティターニア様。それに加えて、世界征服しようとしたことに対して、反対した魔族たちもろとも封印したこと。
この話でやっと今までの意味が分かった。ティターニアやシルフ、そしてアメリアのお父さんが封印されている理由が。
(それにしても、世界を支配するとか......)
はっきり言って、想像できなかった。なんたって俺は一般市民であるのだから。
「ティターニア様は、また魔族たちが世界征服をしようと考えているのですか?」
「そうですね。なんたって、すでに活発的に魔族たちが動き始めていますから」
「そうですか」
魔族たちが活発的に動き始めたか......。
「ですのでリアム、そしてミシェルにアメリアさんは魔族を食い止めてください」
「え? そんなことできませんよ!」
ティターニアに言われたことを否定した。俺にそんなたいそうなことできるわけがない。俺は、たかが古代文字を読めるだけの存在。そんな奴が魔族を食い止めるとかできるわけないじゃないか。
「いえ、これはリアムにしかできないことですよ」
「え?」
「なんで私たちが封印されているか分かりますか? 魔族に負けたからですよ。だけど、リアムは私たちの力を使うことが出来る。この意味が分かりますよね?」
「......」
俺が、精霊たちの力を使って、魔族を倒せってこと? ちょっと待ってよ。精霊たちが負けたのに俺がそんな大役、できるわけ......。すると、ミシェルとアメリアさんが俺の背中を触りながら言った。
「私はリアムについて行くよ? 私はこうなることが分かっていたから」
「私もついて行きます。お父さんを救いたい気持ちもありますが、リアムさんを支えたいとも思っています」
「......」
「それで、リアムはどうするのですか?」
(どうするって......)
「はぁ~。わかったよ。やるよ。ティターニアも力を貸してくれよ」
「わかっています。ですので、まずは、封印されている精霊及び私達、そして魔族たちを開放してあげてください」
「あぁ」
「私と話したければ、ここに来ていただけたら話せますので、いらしてくださいね。 そしてリアム、本当にありがとう」
そう言って、ティターニアはこの場から消え去った。そして、ミシェルとアメリアさんの方を向くと、決心のついたような表情をしてこちらを見ていた。
「これからよろしくね、リアム」
「リアムさん、よろしくお願いいたします」
「あぁ。二人ともこれからよろしくな」
こうして、俺の本当になせば成らないことが決まった。
(それにしても俺は、本当に魔族を倒すことが出来るのだろうか......)
でも、ミシェルとアメリアさんがいれば、できるかもしれないという淡い期待を持ちながら祠を後にした。
★
ティターニアに言われたことが、俺の人生を大きく変えるのは、そう遠い話ではなかった。そして俺の成長が、実家に対してどれだけの圧力をかけているか、まだ知るよしもなかった。
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