城侵入

僕は警戒し、誰にもばれないようにしながら城を徘徊していた。

外に出るためにも、あの男が言った真相を探るためにも、情報収集は必要だった。

そのためには城に潜み、内部から調べるのが一番だと思った。

だが、予想外だったのは白を徘徊している兵士がいつも以上に多いということだった。


それはそうか。転移してきた生徒の一人が居なくなったのだ。だが、僕はその可能性を考慮しておらず、苦戦を強いられていた。壁の角に隠れて先を見るたびに、徘徊している兵士の姿を発見する。


しかも兵士は絶対に一人では行動しておらず、二人上で常に行動していた。

これは僕に奇襲されて倒されるというなどの事態を防ぐためだろう。

どうしようかと思案するが、悩んでいる時間はあまりない。少し隙を作ってしまうと、いつ後ろから来るかもわからないし、いつ奇襲されるかもわからない。


その時、角で偵察していた兵士に動きがあった。兵士の後ろから新たな兵士がやってきて、何か報告したようだった。

兵士の二人が話し始める。すごく小さいが、話している内容を聞くのには十分だった。


僕が建物の中に入るために開けた窓の穴がバレたのだ。

やるしかないと決心する。

僕は両手をぐっと、握りしめる。呼吸を整えた。

二人の兵士が僕にへと近づいてくる。だんだん足音が近くなってくるのが分かった。

心臓の鼓動が早くなる。手に汗がにじんできた。そして角に兵士のつま先が見えた瞬間僕は飛び出した。兵士の腰に携えてある剣を入れてある鞘ごと思いっきり引っ張る。


そして鞘が外を向いたとき、僕は剣の握りを思いっきり掴んで引っ張る。その時、足も一緒に握りが向いている方向に足を動かして、すべての力を使って剣を引き抜いた。

引き抜いた剣は訓練で使っているような木刀よりも刀身が短いショートソードだった。


運がいいなと思う。もしこれが木刀と同じ長さの剣だったら抜けていなかったかもしれない。

僕はショートソードを二人の兵士に向けた。


二人の兵士は心底驚いたような顔をしていた。

そんなのは関係ないとばかりに僕は二人に向かって斬りつける。

剣を奪った方の兵士には、思いっきり剣の横の部分で頭を殴り、意識を失わさせた。

もう一人には剣の柄頭でみぞを打ち、倒れさせたので、僕は走り出した。


はぁはぁと肩で息をしながら、僕は階段を上っていて、一つの部屋の前にたどり着いた。

行き先が決まっていなかったため、どこに行けばいいか分からないが、兵士と連戦を重ねたため、体力的にも限界が近づいていた。


部屋の中に入って休もうと思い、ドアを開ける。中に誰も居ませんようにと願いながら。

だが、僕の願いは届かなかった。

中には人がいた。机に座り、黒い布を頭にかぶった状態で。

そして不適にフフフと笑った。



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