#14.映し出された夢
ここはどこ。
ああ、夢。
鮮明だ、また
『神聖なる血統、シャンクトワール…』
『悪夢は繰り返すの』
『人では無いのだ』
『また会えるといいね』
『お兄ちゃん…』
『君が好きだ』
『なんて崇高なこと!あなたはやはり私たちの神様』
『出会うべきではなかった』
『再びお会いできましたね』
たくさんの人たちの声が……頭の中に……いったい。
『ヤギという名を気に入っているのか?』
……何これ、妙に聞き覚えのある声。
『お前たちはもう会えないよ』
なに?何を暗示しているの。
『ヤギさん…?待って!!ダメだ!!……ヤギさん!!』
サゴリン……?
『この世界はお前たちを中心としている』
「……っ?!」
悪夢に目をこじ開けられた、窓からは朝日が差し込み、隣ではサゴリンがすやすやと眠っている。
「……」
とりあえず、顔を洗う。
「……はぁ」
嫌な夢を見た。
生理的に大嫌いな夢だ。
「ん、ヤギさん……早いね」
「おはよ~う!サゴリンちゃん、どうよ?美少女の隣で見た夢は?」
「夢……覚えてないな」
「あはは!起きたら半分忘れるらしいぞ、エッチな夢も忘れちゃうのは勿体ないよな」
「たぶんその類は見てなかったと思うな…」
「青少年はみんな性欲の獣なのに面白くね~」
「そ、そうなの?」
「知らんけど」
どうしよう、夢のことを伝えるべきなのか。
「今日、行くんだよな。ハンケインに」
「もちろん、どうしかしたの?」
「ん……いやぁ、ね。いまいち気がのらないっていうか」
「まぁ、僕だけでも行けるよ。無理しなくても」
気をつかわせちゃったかな。
「んんんん、ちがうちがう。大丈夫、アタシも行くよ。おら兄弟だろうが、一致団結」
「うん、じゃあ準備してくる」
「朝飯はしっかりとれよ」
「宿屋側が用意してくれてるらしいよ、ヤギさん食べたの?」
「アタシまだだよ」
「そう、なら一緒に行こう」
「おう」
手早く着替えなどを仕上げて、宿の食堂へ向かった。
用意されていたご飯は、パンと魚の塩焼き?
「魚やぁ!パンとの食い合わせとか最悪やろこれ」
「これはラスフィッシュ、ここいらでとれる白身魚だね」
「ふえ~なら最高じゃん、なんかイギリスにあったよね。パンと魚のやつ」
「向こうの世界のことは全然わかんないや」
「あっ、そっかぁ」
向こうのこと…何を知ってるんだろ、テレビの話とかも出来ないのかな。
「やっぱり行くべきかな」
「うん」
「あの時、城にやばいのがいる…っていったの覚えてる?」
「覚えてるよ」
「それがいるとしても?」
「ヤギさんが近づかないほど……だもんね、でも僕は大丈夫。行くよ」
「それが……大切な人を思う力だとでもいうのか……?」
「どうしたの急に?」
「なんでもねーよー」
サゴリンは静かに笑う、確かに……原因を探す旅を言い出しのはアタシだ。
ママを……みんなを殺した犯人を殺したい。
そう思っているけど、なぜアタシがサゴリンの壁になってるんだ。
「…んじゃあ、善は急げだ!!すぐ行くぞ!」
「うん、すぐに行こう」
アタシは、この先どうなっても…サゴリンの味方であり続けるし、予知夢の内容が確定した事実だったとしてもサゴリンが嫌だと思うことはしない。
そう、アタシは最強。この世界でいちばん強い、運命にも抗えれる。
イアストラを救えなかったのは…アタシがサゴリンに助けを求め無かったせいなんだ。アタシの頭が回らなかったせい、きっと未来を回避する術はある。大丈夫、大丈夫……
【元イアストラ王国_ハンケイン区前】
ついちゃった。サゴリンの魔法で……一瞬で……
これが悪しき魔力の結界、恐ろしい、禍々しい、近づきたくない、臭い、帰りたい、怖い、怖いよ……そう五感がアタシに訴えかけてくる。
「ヤギさんがいったようにしたらいいんだよね。悪しき魔力の壁は
「でも、魔法って容易く組み合わせれるの?
「大丈夫、僕は知ってる」
サゴリンが詠唱の状態に入った。
「
「名前なっが」
ふつう、
結界を焼き尽くすかのごとく、その魔法は前方半径2mを円形に焼き尽くす。
でも、倍増されただけで悪しき魔力には見えないけど……
「穴が空いた……!」
「…え?」
ほんとだ、僅かな隙間だけど…結界に風穴が空いた。
「入れるよ、いこうヤギさん」
深く深呼吸……よし
「いくぞ!!」
アタシ達は、文化の森へ……足を踏み入れた。
そして、二人を決して逃がさぬように、結界は閉じていく。
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