第84話
「うぉおおおお!」
カーツウェルさんが次々と吸血鬼を切り裂いていく。
私もシンジの祝福を受けた槍で突き倒すが
吸血鬼は物凄い回復力であっという間に元の姿に戻った。
吸血鬼の回復能力には限界があり、いつか回復出来なくなるのだけど、街の周りで戦っていた時とは違い明らかに強くなっている。
そして明らかに私を狙っている。
「キエェエエエエエエエエエ!
処女がいる!
処女の勇者の血だぞぉおおお!」
「うるさいわね!」
吸血鬼が叫ぶと明らかに視線が私に集中している、特にシンジが悲しそうに私を見ているのが結構堪える。
街での戦いの時も何度も叫ばれた。
私だって、このクロスのパンツさえなかったら!
「ブォオオオオオオオオオオオオオオオ」
映画で聞いたことのある角笛の音が聞こえると、吸血鬼達は名残惜しそうに引き上げていったので小休止となる
「結局サトシのやつ来なかったな」
マユミはシンジに血塗れの体を清めてもらいながらため息をついた
「サトシ様は老師様の援護をするそうです。
老師から援護は禁止されていると、お止めしたのですが、彼の決意は変わりませんでした。」
マユミの浄化が終わってカーツウェルさんの浄化を行いながらシンジは悲しそうに話している
「獣神は盾に使ってた獣人に憑依してる。
奴は老師の次は自分だと思っているのだろう」
カーツウェルさんは街はずれの上空で行われている老師と獣神の戦いを忌々しそうに見ている
老師と獣神の戦いは私達とは次元が違う。
私があんなのと戦ったらあっという間に殺されるよね。
ん?
ちょっと柔らかい変な物を踏んだので、足元を見ると魚に手足が生えた丸焦げになった不気味な魚の死体があった。
なぜか、物凄い生理的な嫌悪感がわき上がってくる。
「ねぇ、変な魚の死体が落ちて気持ち悪いからここから離れない?」
「どうしたんだ・・・」
カーツウェルさんが近づいて来て変な魚を見た後、周りを確認している。
「これって魚人か何かかな?」
「いや・・・
女性は・・・ まぁ・・・
この魚を見たら股間をしっかり守るように・・・
特にヒナタ殿は・・・」
何だろう、カーツウェルさんの顔がちょっと赤いかな・・・
ところで股間を守るってなにかな?
「ヒナタ様、汚れた血を清めましょう」
シンジが私を清めようと微笑みながら近づいてくる。
あの「ござる」口調とがに股がなくなり、まさに聖女、いや聖母という神々しい雰囲気を醸し出しながら近づかれると、なんかモヤモヤしたものがこみ上げてくる。
「ヒナタ殿!
下だ!」
「はい?」
『チュドオオオオオ「キャァアアアアアアアアアアアアアン!」オオオオオン』
下から突き上げるような衝撃の後、周りが真っ白になり、物凄い轟音とシンジの悲鳴が響き渡った。
・・・
・・・
・・・
「取ったアーーーーーーン!」
手足が生えた魚がすごい勢いで女の子座りのシンジのそばから離れていく。
「なにあれ?
シンジ! どうしたの?」
真っ赤になったシンジは涙目で俯いてる・・・
「ヒナ!
あんたパンツ丸見え!」
はい?
マユミはなにを言ってるのかな・・・
下を見ると腰回りの装備がなくなっててパンツ一枚になってた。
そして丸焦げになっている手足の生えた魚
そういえば、ハルオが私からこのパンツを脱がそうとしたときも同じことがあったような・・・
「ヒナタ殿は大丈夫だったか?」
カーツウェルさんがこちらを見ないようにしながら、マントを私を渡してくれたのでスカートになるように腰に巻いた。
「腰回りの装備がなくなってるけど、まぁ大丈夫じゃないかな?」
「そ、そうか・・・」
街の方角の空が赤い。
「街に何かあったのかな?」
「いや、街外れの森が燃えている。
老師が最後の神槍の力を使ったのだろう・・・」
カーツウェルさんは悔しそうに街の方を見ている。
もう老師さんや獣神の気配を感じない
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