第81話
【老師】
「ウララララララぁああああ!」
爪による鋭い斬撃が儂を襲う。
見た目はの犬の獣人の少女だが中には獣神が憑依しておる。
獣神の爪はあらゆる物を切り裂くと言うが、孫娘達の婿殿が天獄より持ち帰った、『天門を守る騎士の帷子』を容易く切り裂く事は出来ぬようじゃ。
先ほども、全力で振るった神槍の力が裏切った孫の嫁に跳ね返された時は死を覚悟したがこの帷子が儂を守ってくれた。
だが、もう永くは保たぬな・・・
孫の嫁の反撃と儂の獣神の攻めは生命を確実に削り取っていく・・・
こやつと闘うのは3回目。
1回目は儂がまだ準勇者だったころ、生け贄にされた人間に少年を助けるために獣人達の集落を襲った時じゃった
あの時は多くの手練れの冒険者と一緒に戦った。
人間の少年に憑依したのがまずかったのが、最後は少年の体は塩になり崩れさりおった。
2回目は不死者との戦いの時
多くの功績を上げた儂が聖王国の教皇様より序列第二位の勇者という地位を賜り、リーマンの娘を妻とし、このペールゼンの地に居を構えていた。
始祖の吸血鬼達が軍勢を作りペールゼンの領都を狙っているとの情報を得た儂が勇者達と共に討滅に向かった時にこ奴はいた。
白羊族の娘に憑依し不滅の魔王の国の使者と共に吸血鬼共と何やらで協議を行っていたようじゃった。
儂は人族を守護する勇者。
人に仇なす吸血鬼と不滅の魔王の使者に出会ったのであれば、ただただそれらを滅するのみ。
太陽の力をもつ神槍を力を全力で解放し全力で戦った。
そして、吸血鬼共は殆ど討ち滅ぼしたが
「この体をこれ以上傷つける訳にはいかぬ、この決着はいずれ必ずつけるぞ!」
獣神はこの言葉を残して不滅の魔王の使者達と共に去った。
今、奴が残していった言葉通り、儂との決着を付けに現れた!
老い衰え、朽ちていくだけの儂の肉体が我が人生おいて最強にして最後の好敵手を前にして、燃え上がるわ!
「獣神よぉ!
次なる攻めは我が人生において最強にし最大、そして最後の一撃!
貴様に受ける度胸はあるかぁ!」
儂の叫びを受けた獣神は攻撃を止め、ニヤリと笑いながら力を溜めはじめた。
元来、神槍は神が振るうもの。
人間の儂では全ての力を出し切る事はできぬ
じゃが!
儂の全てをかけて振るえば神槍の力を出し切れるはずじゃ!
我の魔力! 生命! そして精力を全てを神槍に流し込む!
『『ブォオオオオオオオオオオ』』
闇夜の中、角笛が響き渡る
むぅ。
鬼人と巨人の軍勢か、今回は魔王共も本気でペールゼンを落としにきたか!
ならば!
獣神と共に討ち滅ぼしてくれるわ!
「我が全身全霊にこの突きを受けてみよぉおお!」
「はっ!
やってみろジジイ!」
儂の全てをかけた渾身の突きをこやつは拳で受け止めた。
じゃが奴が憑依した獣人の体の塩化が始まった。
奴も余裕は無いようじゃな
例えこの一撃で屠れなかったとしてもバイマンならなんとかするじゃろう・・・
「くっそおおおおおおおおお!」
地上から無数の光の矢が獣神に向かって打ち込まれている。
何者じゃ?
バイマンには決して手を出さないように言っておいたのじゃが・・・
獣神の怒り憎悪の視線が矢を放っている者向かっている。
眼鏡をかけたエルフ・・・
孫の婿殿の仲間だったのう・・・
馬鹿な事をするものじゃ・・・
獣神は執念深い、とてつもなく執念深い。
いつかまた何者かに憑依して、命を狙ってくるのじゃが・・・
・・・
・・・
・・・
『汝の命は潰えた。
伝承者を決めよ。
伝承する者が無ければ、我は天界に戻る』
槍の声・・・
息子のバイマンを・・・
いや、あやつは槍の才能に恵まれなんだ・・・
婿殿より伝説級の戦斧を受け取った、ならば婿殿の愛妾のヒナタという名の勇者に・・・
『承知した』
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