第80話
イケメンなお兄さんが丸い大きなテーブルの横で立っていた。
そしてその後ろには黒い鎧の上にローブを被った一団がいた。
俺が部屋に入ると爽やか笑顔で迎えてくれる。
王様だと聞いていたので、玉座にふんぞり返っているのかなと思っていたが違うようだ。
俺の後ろには、アレクサ率いる黒バニー達がいる。
ちなみにフィリアやタヌキュンちゃん達はミリアさんの部屋にいるらしい。
「よくぞ参られた」
ダルクさんが近づいて来て、握手を求めて来たので応じるとニコッと笑い、ごっつい八重歯はキラッと光った。
「「「キャー!」」」
黒バニー達の黄色い歓声が煩い・・・
「吸血鬼って長持ちしそううさ「こら、静かにろ・・・」」
「でもぉ、この前捕まえた勇者はみんな赤い玉出してぇ「だから静かに!!」」
「赤い玉?」
何だろうと思って振り返ると、アレクサが黒バニーをヘッドロックしつつ口を塞いでいた。
「あーーー、えっと、妹様にはまだまだ早いお話です!」
意味が分からない。
「クロス殿?」
ずっと、握手したままだったので、慌てて手を離すと、爽やに微笑みかけてくれる。
イケメンかつ王様ねぇ・・・
こいつも不倶戴天の敵じゃね?
不快指数が加速度的に上がっていくのを感じる。
肩の上の黒蛇君が大きく口を開けて欠伸をすると黒い鎧の一団はすごい勢いで左右にわかれた。
「それが、世界を呑み込む黒蛇ですか・・・」
「ただのペット」
黒蛇君の頭を撫でるとダルクさん達はかなり引きつった笑顔になった。
なぁ、この黒蛇君はそんなに恐れられてるの?
『窓から月をみるデス』
ふむ、欠けてるな。
っていうか、異世界アニメとかで見かける一部が破壊された感じの月だな。
これはこれで風情があって良い。
『かじった跡デス』
え゛・・・
へ、へぇ・・・
こいつが齧ったのか・・・
怖いねぇ。
「本来であれば、盛大な宴を催して歓待させて頂きたい所ではあるが、時間があまりない。
我々はすぐにでも進発させて頂く。」
くるっと背を向けて立ち去ろうとしたが、長いマントの端を掴んで引き留める
「争い、止める、べき」
平和を愛する生粋の一般庶民として、まずは争いを止めるように訴える。
権力者にはわからんのですよ。
庶民の苦痛なんてもんはね。
ダルクさんは俺の発言に驚いたようだが、顎に手を当てて何やら思案しているようだ。
「たとえ彼らが降伏したとしてもこの戦いは終わらないでしょう」
「なぜ?」
あんた、今、負けてるんでしょ?
ここは速やかに退却するのが正解じゃ無いの?
『『『ブォオオオオオオオオオオオオ』』』
角笛が響きわたる
「此度の戦に参ずるのは我々だけでは無いのです。」
ダルクさんがテラスに移動したので、後をついて行く。
「あれば巨人族の軍勢ですね、どうやら鬼人の王も到着したようです」
手すりに近づいて、ダルクさんがみている方角を見る
・・・
・・・
・・・
街の周り以外は暗くては見えんな・・・
『かなりの大軍団デス』
そうか・・・
じゃぁ、俺一人が直訴しても無理そうだな・・・
「それでは失礼する。」
ダルクさんは街に向かって飛んでいってしまった。
そう言えば、爺さんと獣神ちゃんはまだ戦っているな。
ごっついオーラを纏ながら飛び回ってるのでよく見える。
ちなみに何だけど、相棒なら勝てる?
『負ける事は無いデス』
ふむ、つまり勝てないという事ね。
『黒蛇に相手をさせれば瞬殺デス』
ほう、こいつを使えば争いは終わると?
『このあたりの物は全て飲み込まれて終わりデス』
・・・
・・・
・・・
何か怒りの力といい、制御不能の最終兵器ばっかりだな。
今後の事を考えたいが、なんか眠いんだけど?
寝ていても結界は大丈夫かな?
『維持するデス』
すまんね、何だろう、少し体が怠い。
『結界の維持に力を使っているデス』
なるほど、じゃぁちょっと椅子に座って休む事にするよ・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます