第79話

 はぁあああああ。

良い湯だ。

悪魔城の中に浴場が有ったので入浴タイムだ。

お臍からでた黒蛇君も気持ちよさそうに、大きな湯船の中を泳いでいる。


ダンジョンの最下層からずっと風呂には入ってない、体を少し拭くぐらいだった。

更に悪臭魔法を放った為、フィリアもアレクサ達も口には出さなかったが、臭かったらしい。


因みにフィリアはしっかり体を洗っていた。


ミリアさん曰わく、「王様と合うのにこの臭いは女子として終わってる」


アレクサ曰わく「不滅の魔王の妹様として、最低限の身だしなみを・・・」

と、恭しい態度で羊のメイド以上の手際の良さで服を脱がして、パンツ一枚で風呂に放り込まれた。


一緒に浴場に入ろうとした、ミリアさんが『うそ・・・ まだ処女なんだ・・・」呟くとアレクが鬼の形相になり、ミリアさんを強制排除した。

 吸血鬼になると、処女かどうかわかるスキル手に入れるようだ。

 淫魔王という、かなりアダルトな二つ名を持ってるので、どうやら大人の階段を登り切っているのだろう。

レムヲンの代わりに良い人が見つかったのなら良かったと思う。


なぁ、お風呂入っていても、結界って大丈夫だよな。


『問題ないデス』


ところでこの城ってさ、悪魔城って呼ばれてるのに吸血鬼が多すぎない?


『全員、吸血鬼デス』


なんで悪魔城なの?


『不明デス

 ただ、悪魔公と呼ばれていた始祖がいた記録があるデス』


その始祖さんのお城ということか。


まぁいい。

それより鏡だな。

ひさしぶりに嫁の体をじっくり鑑賞したい。


・・・

・・・

・・・


相変わらず嫁は可愛い。

なあ、相棒。

前から気になってたんだけど、この体は頭髪は伸びるけど、脇毛とかすね毛は生えないんだな。

ヒナタやフィリアの脇にはしっかり生えていたんだけど、この体は永久脱毛済みなの?


『してないデス』


じゃあ、いつか生えてくるのか・・

自称姉はどうなん?


『生えてないデス』


ほっほう。

ムダ毛処理不要か!


『呑気デスネ、外では戦いが行われてるデス』


相棒の結界を信じてるからな


『過剰な期待は禁物デス』


 風呂から出てると、羊のメイドさん達が現れて高級そうなバスタオルで拭いたあと、見たことのある背が低い羊のメイドが現れて、パンツをマジマジと見た後、手慣れた手つきで純白の水着マントを着せられた。

因みに黒蛇君は着替え終わると俺の体に巻きついて、右肩の上に頭を乗せている。


「イオリ?」


「クロス様、お久しぶりでございます」


 深々と頭を下げた後、素早く採寸を始めた、胸囲図った後、「変化なし・・・」と嬉しそうにつぶやいた後、一歩下がって深々と頭を下げた。


なんか今、ちょっとムカついたんだけど?


『女性は腹部と胸囲の差を気にする傾向があるデス』


それは知ってる。


「クロス様、ダルク様がお待ちです。」


どうやら、王様との謁見タイムのようだ。


【ヒナタ視点】


「ヒナタ!

 喧嘩は後だ!

 強力な敵が迫っている!」


 私が全ての女性の敵であるこの鬼畜なエルフに制裁を加えようとしたら、ハルオが現れた。


 そして鬼畜エルフはちょっとハルオの方に気を取られた隙に逃げ出して、シンジの影に隠れた。


 敵?

ハルオはサトシ以上の女性の敵だよね。

 

「神託がきたでござる!

 ハルオ氏が持っている、伝説級の装備を使用してこの街を守るでござる!」


 シンジは神に祈りを捧げているようなポーズをとっていたので、回復魔法を行っていると思っていたが違ったみたい。


「そ、そうだ!

 街を守らないといけねーな!!」


シンジの影に隠れていた、鬼畜なサトシが私警戒しながら立ち上がった。


「強力な敵って何が襲ってくるのかな」


ハルオは無視して、シンジに聞いてみる 


「拙者が聞いたところによると、吸血鬼にドラゴン、巨人、鬼人、獣人、悪魔の魔王クラスが大挙して迫っているでござる!」


「それに、古の獣神じゃな」


 マユミ以上の筋肉質なお爺さんとオジサンが現れた。


「ハルオ殿。

 そなたが天獄より持ち帰った伝説級の装備、使わせては貰えぬかな。」


「俺の身の安全と引き換えになら・・・」


「はっはっは。

 その程度で良いのか?

 お主の功績を考えれば・・・

 そうだ、娘を何人かくれてやろう。」


「おお!

 お願いします。

 お義父上!」


 ふーん。

この世界に人って本当に女性の敵ばかりね。

というか、ハルオが持ち帰った装備って、クロスの物だよね。


あとで取り返さないとダメね。

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