第75話
【悪魔城 玉座の間】
吸血鬼は3種類存在する。
ひとつ目は力ある吸血鬼の吸血行為によって仮の死を迎え、吸血鬼として蘇った者。
二つ目は人間が死を迎え、呪術的な儀式、憎悪など様々な理由で自らの力で吸血鬼として蘇ってしまった者。
彼らは始祖と呼ばれ、強力な力持ち吸血行為などによって血族を増やす。
三つ目は生殖行為によって生まれた者
両親が吸血鬼の場合、純血の血族となり、片親が吸血鬼の場合、ダムピールとなる。
彼らは赤子として生まれ、人と同じ用に成長し、最も力ある年齢で肉体的な成長は止まる。
純血の血族は死を迎えず吸血鬼として生まれたため、強力な力を持つ者が多い。
悪魔城の主、深紅の瞳と漆黒の長いの髪を持つ青年ダルク・ヴァレンは強力な始祖を両親に持ち純血の始祖と呼ばれている。
彼は玉座に座り、多くの配下の吸血鬼と共に炎上するペールゼン侯爵の領都を見下ろしている。
「見よ!
あのペールゼンの城壁が破壊されておるではないか!」
「なんという奇跡!
我らの神は憎っくきリーマンの一族を根絶やしにしろと示してくださっておる!」
「今宵は我らでリーマン一族の血を一滴も残さず飲み干そうぞ」
狂喜しながら騒ぎ立てる配下の吸血鬼達、ダルク・ヴァインが立ち上がるとシーンと静まり返った。
「リオール!」
「ははぁ!」
白髪、碧眼の吸血鬼の青年が現れ膝を付き頭を深く下げる。
「貴公に指揮を委ねる。
攻め、勝ち、すべてを奪い尽くせ」
「ははぁ!」
ダルク・ヴァレンは命令を下した後、玉座の間から立ち去った。
リオールも立ち上がり、再び恭しく頭を下げ、玉座の間から退出すると、ほとんどの吸血鬼が後を追いかけるように退出した。
「あのぉ、ボールドさん。
私。なんでこんな所にいるんでしぉう・・・
あそこって、リーマン老師様がおられるペールゼン侯爵様の領都ですよね」
吸血淫魔王と呼ばれているミリアが始祖の一人であるボールドに恐る恐る話しかける。
「そうだ」
「あのおじいさん、どこかの神様と互角の戦いをしたって有名ですよね。
私達、あんな所に攻め込むのですか?」
「貴様、元ヴァルキリーだろ?
あの爺は獣神と互角だった」
「あっ、そうでした!」
かなり呆れ顔でミリアを見たあと、地上を一望出来る広間にあるベンチに座る。
「我らはルゥイの配下だ。
ダルクの指示には従わん。」
「そ、そうですか!
よかったぁ。」
「貴様の役目は別にある。」
「え゛!
何ですか!?」
「このあたりは念話は使えん。
耳を貸せ」
「私、耳元弱いんですけど・・・」
「貴様なんぞに何もせんわ!」
「は、はいぃ・・・」
【主人公】
相棒、どうやら危機は去ったようだな。
疫病神は自ら離れていってくれた。
良かった良かった
『そうデスネ』
「クロス・・・
街まで連れて行って・・・」
え゛?
フィリアはなにをいってるんだ?
「危険、ここにいる」
「この戦い・・・
はぁああああああ・・・
人間族の未来がかかってるらしいの・・・」
なんだろ、凄く行きたくなさそうなため息と嫌々オーラを出しつつ街に行こうって言ってる?
怪しげな義務感でもあるのかな?
「あぶない」
普通の人は戦場が近くに生まれたら、速やかに非難を開始する。
今頃、プロフェッショナルな人たちが一般市民を避難させているに違いない。
そんな中に変な義務感で飛び込むなんて、迷惑以外の何者でもないのだよ。
ヒナタの事が気になるが、相棒、速やかに撤退する。
『正しい判断デス
まずは滝の裏のダンジョン入口がお勧めデス
最悪ダンジョンの別の出口に移動するデス』
せっかく外に出たのに、またダンジョンを移動するのかぁ。
『入り口付近は安全地帯デス』
とりあえず入口に移動ね了解した。
「でも・・・」
フィリアは避難には反対のようだ。
「迷惑、ダンジョン、入口安全、避難する」
だが、安全のためにも俺は譲るわけにはいかない。
「クロス冷たい・・・
でもよかった・・・」
ちょっと不服そうな顔を一瞬だけしたが、あっさり承服してくれた。
ってゆうか、ヒーラー系の人は戦いが終わった後の救助活動に力を入れた方が良い。
「ここ見張る。
ヒナタきたら、入口に、呼ぶ」
首トンが出来る位の手練れな犬の獣人ちゃんに見張りを頼み、家を回収してダンジョン入口の広間に再設置した
街の方を見ると雷が何度も落ちて閃光と爆発音が聞こえる。
悪魔城の周りを発光しながら人型の物体がぐるぐると回ってなんか戦ってる。
時折カメハメハ的なレーザー光線とか中二心を呼び覚ます巨大な魔法陣が現れては消えている。
いわゆるビンテージもんの鉄火場ができあがってるようだ。
ダル君やマリアちゃん大丈夫かな。
かなり心配ではあるが、俺には何にも出来ない。
俺はどこかのラノベ主人公のように非常識な チートを駆使して無双なんて出来ない、ちょっと魔法が使えるようになった中身は普通のおっさんだからな。
っていうかフィリアも不安なのか腕にしがみついてる。
ちょっとお酒臭いがするが、かわいいな。
『ドーーーーーン』
考えてたら、ものすごい轟音と共に周りが真っ白になった・・・
・・・
・・・
・・・
相棒!
何事!
『この付近に大型魔導砲が直撃したようデス』
周りを見ると滝の少し下流がクレーターのようになってる。
こえーええぇ!
ダンジョンのもっと奥に避難した方がいいかな。
・・・
・・・
・・・
ってゆうか、胸苦しい。
怪我したのかな?
いや、違う!
これは極楽か!
フィリアが正面から抱きついて来ていた。
これは巨乳による胸部の圧迫!
うほほほ、極楽じゃぁ!
あ、でもちょっと震えてるな。
「クロス・・・
苦しい・・・」
へ?
ってゆうか、俺も腰抜かして思いっきり抱きついてた。
なんという幸運!
俺の人生で初めてじゃないか!
かわいい女の子といい感じで抱き合ってるなんて!
ちょっとお酒臭いけど。
ああ、フィリアかわいいし、吊り橋効果的な感じでラブラブな感じってのもいいな。
あ、でも嫁がいるしなぁ・・・
でもこの暖かみはいい・・・
本当は早く避難したいけど、もう少しこのまま・・・・
「妹様!!!」
聞いただけで背骨が疼く忌まわしいあの女の声が聞こえた。
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