第76話
ああ、いやなことを思い出してしまった。
この体に放り込まれた初日、このアレクサという名前の黒バニーのボス女に背骨をへし折られ、体を引きちぎられた。
見た目はグラマーな美人のお姉さんって感じで、是非ともお近づきになりたいレベルではあるが、異常性癖の行使対象になるのは本気で無理だ。
ただ、フィリアがアレクサを見た瞬間さらに強く抱き着いてきたので、この点だけはグッジョブと言わせてもらおう。
「なにか、用?」
とはいえ、フィリアとのディープハグで癒された心が一気にささくれ立ってしまったので、かなり不快そうに聞いてしまったが、こいつは全く気にすることもなく、俺とフィリアを交互に見た後になんか考え事している。
「あ~、メイドと遊ぶなら、お城でなされては?
ルゥイ様は妹様のお部屋を完璧に仕上げてお待ちしています」
「断る」
痛覚耐性をあげるための拷問部屋ですね。
知ってます。
ところでなんでメイド?
ああ、多分、フィリアの髪真っ白だから、羊のメイドさんと勘違いしてるのね。
「お母さま、その女・・・人間・・・」
黒バニーの一人がなにやらアレクサの耳元に口を寄せてヒソヒソつぶやくと、眉間に皺を寄せてフィリアを睨み始めた
「あの~妹様?
その人間の女性とはどういったご関係で?」
「仲間」
間髪入れず即答する。
カッターランドにも人間はいるらしいけど、自称姉が人間を嫌ってるからちょっと差別されているみたいだから、フィリアにも危害が及ぶ可能性が高いので睨んで威嚇する。
「えっとですね、さすがに人間の神の神官を妹様のそばに置くのはまずいのですが・・・」
「余計な、お世話」
「む・・・
妹様は人間の神を信仰される「しない!」・・・
あ、それなら、良いです」
時の女神とかいう人間族の神さんに襲われたことあるし、祈ったら寿命持っていくような神様は願い下げだ。
それに俺の実家は仏教だしな。
「何しに、来た」
こんどはこちらから問いかける。
まさかと思うけど、俺を追ってきたっていうなら驚愕だよ。
ダンジョンからでて1日もたたないうちに見つけてくるって、怖すぎるだろ。
どこに逃げたらいいんだ?
「あー、そのー、ちょっと、どさくさに紛れてリーマンの男性をお持ち帰りしようかと・・・
えへへへ」
偶々いたと言うこと?
たしか絶倫の一族の男性だもんな、こいつらは性欲を満たすためにここに来たと。
リビドーは人をアグレッシブにするからな。
たまたまひどい偶然だったということなら安心なのだが。
「「「アーンコゥ」」」
そして、アンキモ族の一団もやってきた。
ジロジロとお腹の当たりをみている。
こいつらは女性のあそこに入って卵を取り出すというとんでもねぇ魚人だ。
俺とフィリアは貞操パンツでガード済みだがタヌキュンちゃんたちは未装着。
注意をこっちに・・・
いや、向けたくないな・・・
ってゆうか、黒バニーは大丈夫なの?
「こ、こら!
お前ら、妹様に手を出したら、ルゥイ様に族滅されるぞ!」
「アン?」
「だから、妹様はルゥイ様ものだから、手を出しちゃいけません!!」
おい、こら、俺を自称姉の所有物みたいに言うんじゃねぇ!
「「「アアア・アーンコォオオオ!」」」
アンキモ族は俺に興味を失ったみたいで、雄叫びを上げて、閃光と爆発音が鳴り響いている街に向かってアンキモ族の一団が突撃を開始した。
「お母様、私達もそろそろぉ・・・」
黒バニー達もリーマンの男たちを攫いに行きたそうだ。
「うーん、もうダメね。
リーマンの爺さんと獣神の戦いがヒートアップしてるから危ないわ」
「えー せっかくここまで来たのに」
黒バニーは頬をプクゥと膨らませながら、街を見たので、俺も街の方を見ると相変わらずオーラ的な物を纏った人達が空中で戦っているが、湖の沖へ向かって少しずつ離れていっている。
多分爺さんと獣神だと思う
離れていってるのでむしろ大丈夫なのでは?
逆に悪魔城はあの二人から距離を開けるようにこっちに近づいてきている。
むしろ悪魔城の方がヤバくね?
『どぉわははははははは!
我に挑み人に仇なす愚神なぞ恐るに足らぬわぁ』
爺さんの声が聞こえる。
「妹様、かなり危険なので奥に非難しませんか?」
アレクサが恐る恐る聞いてきた。
危ないの?
『人間の女が危険なので、反射結界を張るデス』
そ、そうか、頼む
右手が勝手に動いていつもの結界を湖に向かって張るとアレクサは俺にお礼を言った後、再び街の方を見た。
『神をも恐れぬその尊大な態度!
断じて許さぬ!
人族諸共必ず滅ぼしてくれるわ!』
今度は女の子の声。
獣神ちゃんかな?
関係ない人を巻き込むのはマジで勘弁なんですが?
『人を滅ぼすとな!
ならば、我、神をも滅ぼさん!
古今東西南北天上天下我最強!
我に敵無し!
滅せよ愚神!』
うおおおお! なんか爺さんカッコいい!
『滅するのは貴様だぁ!』
動画でみた熱核兵器の爆発のような閃光が走った。
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