第74話
家に戻った。
「魔王様!
妖しげな気配を感じます」
などと言った後、タヌキュンちゃんと犬の獣人ちゃんが俺の前に立つ。
慣れた素早い動き。
あの鬼畜エルフの仕込みだろうか。
ってゆうか、魔王は止めて。
家は明かりがついていて、カーテンに背が低く、胸部が大きい女性の影がやたら左右に行ったりきたりと動いている。
フィリアだな問題ない。
「大丈夫」
俺は気にせず、扉の前に行くと『バン』と扉が開いた。
そして中から満面の笑みのフィリアが現れた。
心配してくれてたみたいだな。
なんか嬉しい。
「お酒・・・」
とってもいい笑顔でお酒をせびるフィリア・・・
そっちかよ。
「無い、邪魔、された」
お酒が無いこと伝えるとものすごく悲しそうな顔をされた。
なんかものすごく悪いことした気がするが
俺は悪くない!
「邪魔?
誰が邪魔したの・・・」
「ヒナタの、友人達」
とりあえずヒナタの友人パーティー襲われたのは一因だし
「そう・・・
ところでその人達・・・」
今度はタヌキュンちゃん達をちらっと見た後、誰か質問してきた。
獣人に対する嫌悪感とか全くなさそうだ。
「死神の盾、鬼畜エルフ」
「鬼畜エルフ・・・
早く中に入って・・・」
どうやら全てを察したようで、家の中にはいると、すぐに皿を5枚出して猪の肉を焼き始めた。
これ食ったら、ヒナタ迎えに行くか。
ってゆうか5人分?
ヒナタ居ないんだけど・・・
と考えていたら、タヌキュンちゃん達が真っ青になってテーブルを見ていたので、俺も見ると、死んだはずの犬の獣人ちゃんが椅子に座って俺の方をじっと見ている。
おお、結局死んでなかったのか。
まぁ死んだはずの人間が蘇るなんて、異世界あるあるだし、当たり前に起こるしな。
良かった良かった。
『良くないデス』
はい?
おいおい、相棒。
死の淵から生還したんだ。
喜ばないとだめだぞ。
ここは俺謹製の回復ポーションを進呈しなければなるまい。
あ、いや、それともアンデット的な何かなの?
『獣の神と呼ばれている存在が死んだ獣人に宿ったデス』
おいおい。
この前襲ってきたのも時の女神っしょ。
ちょっと神様出過ぎじゃね?
有り難みが全くないなぁ。
っていうか、あの体の持ち主ちゃん、どうなるわけ?
『死が確定したデス』
そうなのか・・・
こいつがトドメさしたわけ?
『蘇生出来ない原因は死神デス』
「よぉーお。 クロスちゃんだっけ?
何怖い顔してんだよぉ」
俺の横まで移動して肩を組み、顔を近づけてクンクンと臭いをかぎ始める神様。
うっとおしいので離れてほしい。
「おいおい~。
くさいよクロスちゃあ~ん。
女の子なんだからさぁ。
清潔にしないとだめだぜぇ」
ちっ!
悪臭魔法のせいだな。
ってゆうかお前も臭いんだぞ。
「女の子、じゃない。」
あと重要な事だが俺は紳士だ。
見た目でそう見えるのは仕方がないが、断じて女の子ではない。
フィリアは焼いたお肉といつものサンドイッチをテーブルに並べた後、お酒を取り出し、チビチビをのみながら食事を始めたので俺も食事を始める。
食ったら、着替えて体拭いてからヒナタ迎えに行こう。
「うっひゃぁ。
うめぇ!
ひさびさの肉はたまんねぇなぁ!」
神様はうまそうに肉にかぶりついている。
久々って、貧しい食生活してるんだな。
『早急に遠隔地に移動する事をお勧めしますデス』
何で?
『獣神は戦いの神デス』
へぇ、強いんなら安心じゃね?
守って貰おう。
安心安全!
素晴らしい!
『簡単に言うデス、獣神が顕現する場所は、必ず大きな戦いがおきますデス』
・・・
・・・
・・・
え?
防ぐ方法は?
『不明デス』
つまり、こいつのそばにいると争いごとに巻き込まれると?
『YESデス』
「ねぇ、あなた、ユーリなの?」
「んん~?
違うなぁ。
俺ぁ、この前引き分けた勇者って奴との決着付けに来た通りすがりの神様って奴だぁ」
タヌキュンちゃんが恐る恐る聞くと、獣神はニヤリと獰猛な笑顔で答えた。
「ケンカ、離れたところで、やれ。迷惑」
「はははははは!
面倒くせえな!
俺ぁ、縛られるのはでぇっきらいなんだ。ぁ。
それになぁ・・・」
『ずどどどどおおおおおおおん!』
「もう遅いんだぜ?」
物凄い爆発音が聞こえた。
獣神は楽しそうに外に出ると、夜なので真っ暗だったが街の方か閃光と煙が上がっていてラピュタ的な空飛ぶ巨大な城がみえた。
「悪魔城・・・」
フィリアがコップに入ったお酒をこぼしながらつぶやいた。
お酒をこぼしても気付かないって、よっぽど恐ろしい城なんだな。
「じゃ、行ってくるぁ」
獣神は閃光と爆発音が鳴り響く街に向かって飛んでいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます