第37話
相棒からは、元人格ちゃんはどっかに消えて戻ってくることはないと言われてはいたが、万が一と言うこともあるし、ひょっとしたら身体を返すこともあるかもしれないと言う気持ちが心のどこかにあった。
だが、今、抱きついて泣きながら、股の間に足を突っ込んで恥骨の辺りを圧迫しつつ、臀部を撫で回し、首筋にキスを繰り返すこの少女は元人格ちゃんらしい。
ちょっとくすぐったい。
相棒、旅に出るのはやめようか。
俺は美少女の涙には弱いのだ。
『実はこの特異点がこういう反応をするとは、想定外デス』
そうなの?
過去に人格が壊れる位ひどい目にあったらしいけど、根は優しい寂しがりやの女の子なんじゃないのかな?
『過去の記録からそんな生易しい存在ではないのデ・・・』
ははは、相棒はもっと人を信じないっ、どうした相棒!?
「ぐはぁ」
って痛ぁ!
突然、両肩に痛みが走った。
「あはは、さぁ、また我と愛し合おうぞ!」
地面に押し倒された。
かなり強く頭をぶつけたため、後頭部と両肩が痛い、更に血の気が引いていく・・・
そして元人格ちゃんの爪が伸びて、こっちの体の胸を触ろうというか突こうとしたので、腕を掴んで防ごうと思ったができなかった。
恐る恐る、両肩の方をみると、見事に切断されている。
痛ぇ! 肩がぁ!
「あははは、まずは我の愛を証を受け入れよ!
そうすれば更なる快楽を味わえるぞ!!」
『両腕が切断されたようデスネ』
ですねじゃねーよ!
見たらわかるよ!!
助けてくれ相棒!!!
『既にやってるデス』
でも、胸にあいつの指が刺さってるんですけど!
すごく痛いんですけど!!
『指が奥まで刺さらないようにしているデス』
奥までじゃなくて!
一ミリも刺さらないようにしてくれ!
「あはは! 安心するがいい!
我はかわいい妹の命を奪ったりはせぬぞ!
なに、痛いのは最初だけじゃ!
段々良くなってくるぞ!」
うぇ!
これって、一番嫌なやつが始まっちゃうじゃないのか!?
安心できねー!
『察しが良いデスネ
強制痛覚耐性上げが始まると考えるのが妥当デス』
冷静に分析する暇が合ったら助けて、ギャァアアアアアアア!
いてぇええええ!
「ウウ・・ やめて・・・」
「あはははは!
泣いておるのか妹よ!
残念だが、逃がしはせぬぞ!
我は殺さずに胸を開くことは得意なのじゃ!」
ええ!
この俺が泣いてるの!?
『力及ばず申し訳ないデス』
謝るんじゃなくて、何とかしてくれぇ!!
あいつの爪が肋骨の上の肉を切り裂こうとしたり、別のところに指をさしたりし始めた。
ギャァアアアアアアア
胸に7つ以上の傷が出来ちゃうじゃないかぁ!
『実は結構、冗談を言う余裕があるのデスカ?』
ねぇヨ!
助けろ下さいお願いします。
「やめよ!
ルゥイ!
お主は一体何をしてのじゃ!」
「なんだ?
貴様、我のやることに口出しをするのか?」
ラファさんの臀部が目の前に現れ・・・
ではなく、ゴルドラが勇者の剣を元人格ちゃんに向けている。
おおお!
ひょっとして助けてくれようとしてるのか!
頑張れゴルドラ!
「身内に危害を加えるのは止めよ、お主の敵は人間族だけであろう」
「なにを言っておる? 我は愛おしい妹に危害など加えぬ」
「妾の目には、ぬしの妹を虐待しているようにしかみえんが?」
「我は妹の心臓が鼓動を止めぬように、宝具を授けようとしておるだけだ。」
「宝具!?
まさか、お主・・・正気か?」
ちょっと相棒!
元人格ちゃんは何をしようとしているの!
『心臓が鼓動している限り、頭を吹き飛ばされても、必ずその場で再生が始まりますデス』
はい?
『違う場所で再生を行うことができないのデス』
死んで逃げるという最終手段で逃げれないの!
『YESデス。逃がさない事は強制痛覚耐性上げのための第一段階デス』
おおおお、そんなもん付けられたら、詰んじゃう!
「ゴルドラ。
貴様が邪魔をするなら、我は龍種との手打ちを終わりにするぞ?
よいのか?」
「くっ! 貴様ぁ!」
「タスケテ・・・」
ゴルドラさん! 迷わないで助けて!!
「止めろぉぉおお!!!!」
神々しいオーラを放つワイアットさんの剣が元人格に振り下ろされたが、片手で止められた。
「ダーリン。 我はこれから忙しくなる。
もう帰ってよいぞ。」
「俺がここから去るのは貴様を倒してからだ!」
おおおお!
ワイアットさん男前すぎる!
痛いのは嫌なんだ!
こいつをやっつけて俺を助けてくれー!
「ゴフ!」
胸に見たことある剣が刺さってる。
これって、剣の時の相棒?
力が抜けていく・・・
死んじゃう?
『この特異点が心臓を破壊したようデス
速やかにこの地から脱出するデス』
そ、そうか、助かったのか・・・
元人格はなんか俺の方を見ながらわなわなと震えている。
「な、なぜ?
ネ、ネオ!
貴様かぁぁあああああ!!」
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