第34話
何か嫌なことがあって、俺と同じくイライラしているらしい。
相棒、何者なの?
ミリアさん乗っ取ってるの?
なんで俺でうさばらしするの?
恨まれてるの?
めっちゃむかつくんですけど!
『詳細は不明デス』
ふーん。
まぁ、一つだけはっきりしているのは、対等以上を相手に八つ当たりなんてできないので、俺のことをかなり見下しているようだ。
イライラが更にマシマシ状態だが、相棒が警戒しているぐらいだから、迂闊なことをすると痛い思いをする事になる。
さらにミリアさんを乗っ取っているみたいなので、まぁ無理だとは思うけど、とりあえずは話し合いで解決をめざす。
「名前、教えて」
まずは名前を聞く。
問答無用で襲って来なかったんだから、話し合いの余地はあるだろう。
「うふふふ。 あなたまで私の名前忘れたのですね。いい度胸してますね!」
なぜか負のオーラ的なものが、どっと沸いてきた。
相棒、せっかく俺がイライラを我慢して話し合いをしようとしているのに、なんか名前忘れたって怒ってるみたいだけど?
本当に不明なの?
『高位生命体の一体です。
確定するための情報が不足しているデスネ』
乗っ取られミリアさんは自分を下から見上げるように固まっているアンキモ族に気付いたのか、スーッと降りていって、細剣でブスッと指すと、魚の干物のようになった。
あれはなに?
『今ので確定しましたデス。 あなたの言い方なら元人格が最後に戦った相手デス。』
最後にっていうことは、あいつと戦って、元人格ちゃんはどっか行ったってことか。
相棒はなんか選択ができるとか言ってたよな。
『あれに対する記録は途中で途切れているデス』
相棒と相談してたら、何かに乗っ取られたミリアさんが、いきなり細剣を振るって斬撃を飛ばしてきた。
うぁあ、相棒!
『落ち着くデス』
「反射結界」
体がかってに動き、さっき使った結界を張ると、飛んできた斬撃は方向を変えて上に向かって飛んで行った。
ナイスだ相棒!
次は上に飛んで上空から斬撃がとんできたが、ミリアさんを避けるようにはねかえした。
じーっとこっちを見ながら口を三日月のようにして、にやぁと笑った
なに、気持ち悪い。
背筋がぞくぞくする。
「そうよね! やっぱりあなたはこの娘にはてを出せないようね!」
やばいな。
『マズいデスネ』
こっちが攻撃できない事を良いことに、接近して細剣で攻撃してきた。
『あの剣が当たった後の記録が無いデス。
危険だと思われるので、回避に専念するデス』
そうか、こういう時は、『三十六計逃げるに如かず』というありがたい言葉に従った方がいいんじゃないか?
とりあえずは、転移魔法のような移動魔法で逃げようぜ。
『この中で普通の魔法は使えないデス』
何で、さっき反射結界っていう魔法使ったやん
『あれはあなたの喜怒哀楽の力を使っているデス』
まじかよ!
まぁ、難しい事は分からんし、喜怒哀楽の力を使ってなんとかしてくれ!
『わかったデス』
「うふふ! いつまでも逃げるのかし、ぶへぇ!!」
体が勝手に動いて、イイ感じの前蹴りがミリアさんの顔面にカウンター気味に入ったため、ゴロゴロと吹っ飛んでいった。
相棒! ミリアさんに何てことするんだ。
『死なない程度に体を壊すことにするデス』
ええ、それはちょっと・・・
『あなたがとても痛い思いをすることになる可能性があるデスガ?』
・・・
・・・
・・・
し、仕方ないな・・・
痛くないようにサクッとやってね。
『最善を尽くすデス』
たのむよ・・・
「痛いわね!」
ミリアさんが口と鼻からだらだらと血を流すという、むごい状態で起き上がった。
『今の蹴りで普通なら戦闘不能デス』
うわぁ・・・
乗っ取られているミリアさんは左手で短い方の細剣を自分のあごの下に当てて、にやりと笑った。
「今度避けたら、この娘、死んじゃうわよ」
ええ・・・
乗っ取られているミリアさんはつかつかと近づいてきて、俺に向かって細剣を振り下ろした。
『回避するデス』
え!
ちょっと待って、避けるとミリアさんが!
相棒は回避しようとしたみたいだけど、思わず抵抗してしまった為、完全に回避できず、左肩に僅かな傷を受けてしまった。
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