第30話
「どうして魔法が! くそぉ! やめろぉ!」
「お主、最高位の勇者じゃったかの。
やたらキラキラとした銀髪をしておったが、普通の茶髪だったのか。」
「うるさい!」
ゴルドラは鼻歌混じりでネオン少女さんの装備をひんむいて、カチャカチャと首や手足と頭に金属製の輪をはめている。
「これは妾秘蔵の隷属装備フルセットじゃ。
谷に連れていき、たっぷり可愛がってやるからのぅ。」
隷属装備ってなんかゾクゾクするな。
なんて言うか、男の子のエロい欲情とロマンが詰まった素敵アイテムだからな。
まぁゴルドラは女性だけど。
『あなたのいた世界では著しい人権の侵害に当たり、忌避すべき物ではないのデスカ?』
まぁそうだけど。
異世界的には主人公とのつながりを感じる事ができる絆アイテムになることもあり、自分からつけてくれとお願いする女子もいるんだ。
『あり得ない考え方デス』
しかし、何て言うか手慣れた感じで、ちょっと亀甲的な感じで縛っていくのをみると、俺もゴルドラに可愛がって貰いたいな。
なんて思ったり・・・
『魔王から変態にジョブチェンジデスネ』
いやいや、そうじゃない!
女性同士ってどうやるのか俺には全くわからんから、色々手解きしてもらいたいのだよ。
『色々妄想しているようデスネ。』
ゴルドラは邪悪な笑みを浮かべながらパンパンと手を叩くと地面に魔法陣が表れ、中から執事服を着た羊頭の紳士が表れた後、ゴルドラに向かって深々と頭を下げた。
「姫様。お呼びでございますか。」
羊頭の紳士が表れると、ネオン少女は「悪魔・・・」と呟いた後、親の仇でも見るように睨みつけている。
「ゴードン。 これを玄室の中に入れるのじゃ。」
ゴルドラの命令を聞いた羊の執事は禍々しい黒い翼を出して、にやぁっと口角を上げて嗤っている。
ちょっと怖いな・・・
「くそぉ! 邪悪な悪魔め! 貴様も必ず討滅してやる!」
ネオン翼の美少女が羊の執事を睨んでわめいている。
ふむ、相棒。
羊の執事って悪魔なの?
お城にいる羊のメイドさんたちも実は悪魔だったりするわけ?
『白羊族と悪魔族は全く異なる種族デス』
そうか、少し安心した。
「クックック。 姫様、種は何にいたしますか?」
「ふむ、淫魔の種が良いじゃろう。」
「クッ! 殺せぇ!」
おお、クッコロ頂きました。
マジで言うんだな。
ところで種ってなに?
悪魔さんとエッチなことでもするわけ?
『・・・』
ん?
なんで、だまってるの?
さすがに強姦とか、俺的には放置できないんだけど?
『アンキモ族の時は助けようとしなかったデスガ?』
何言ってるの? ゴルドラが放してくれたら、さすがに助けたよ?
近づいて卵を取ろうとしているエロい場面を脳内ライブラリに保存しつつ、恩を売るのだよ。
『なるほどデス』
「ゴルドラ、連れて行く、だめ」
「断るのじゃ!」
俺がゴルドラの腕をつかんで止めるように注意すると、即断られた。
しかも俺を見る目がすこし怖い。
「可哀想、それに、倒しだの、私」
戦いになるのは嫌だけど、倒したのは俺というか、相棒なので、優先権はこちらにあることを主張することにする。
「可哀そうじゃと?
お主も女神の使徒を吸血鬼に変えたではないか。」
「ん? それは、ボールドが、やった」
酷い誤解なので解いておくことにする。
俺は、ミリアさんが吸血鬼になったことをグッジョブと喜んだが、命令したわけではない。
ところでなんでミリアさんの話が?
強姦するんじゃないの?
『悪魔に堕とすのつもりだと考えられるデス』
えっと、ということは話の流れ的に淫魔にでもするつもりなの?
なんか素敵にエロい話だけど、問題はそんなことじゃない。
この世界は簡単に種族を変えられるんだな。
『簡単ではないデス。』
そうなの?
『普通の人間だと耐えられずに死んでしまうデス』
ふむ、最高位の勇者だから種族チェンジ可能ということか。。。
まぁ、いいか。
どちらにしても、強引に悪魔に堕とすとかちょっと酷いと思うので、断固抵抗しようと思う。
ちらっと羊の執事さんを見ると、深々と頭を下げた。
敵対するつもりはないということか?
「あ奴が勝手にやったのだとしても、お主は咎めなかったのじゃろ?
むしろ喜んだと聞いておるぞ?」
なかなか、痛いところを突いてくるな。
どうして喜んでいるって知ってるんだ?
『嬉々として血を吸わせていたデスネ』
むぅ・・・
「喜んでない。戻す、方法、知らない」
とりあえず、あの時はゴルドラはいなかったと思うので、しらを切ることにする。
ネオン少女をちらっと見ると不審な目で俺を見ているが、さっきまで放っていた強い敵意は薄れているようだ。
この娘とはこのまま話し合いによる解決に持っていきたいな。
「ラファ!!!」
白い鎧のイケメン童貞勇者。 ワイアットさんの声が聞こえたので、声がしたほうを向くと、白いオーラを纏いながらこちらに向かって飛んで来た。
そして俺に向かって、神々しいオーラを纏った剣を振り下ろしてきた。
なんで、迷わず俺に切りかかるんだ・・・
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