第8話

魔王の居室に隣にある隠部屋にアレクサと黒バニー、そして羊のメイド達がいた。


 大きな丸眼鏡をかけた羊のメイド長が、巨大なガラス板鏡に行っていた遠見の魔法が完了すると、ガラス板には手紙を読んでいる魔王と台車で荷物を運び込んでいる羊のメイドの姿が映った。


「ゴーランド♪ わたし、今すぐにでも踏み込んで、あの吸血鬼をバラバラに引き裂きたいのだけど♪」

 アレクサはガラス板を見ながら、憎々しげに羊のメイド長に話しかける。


「あなた、どうしてここにいるの? 産休と偽って、逃げ帰ったのでは無いのですか?」

 ゴーランド(メイド長)は大きな丸い眼鏡を拭きながらため息をついた。

部下のメイドたちから受け取った情報では、いつも隣で寝ているはず魔王がいないことに気づいたアレクサは魔王城の中を探し回る。

そして、浴場で人間の娘を愛でている魔王を発見。

押し入ろうとしたところをメイドたち阻止されたが、 侵入者が魔王の首を跳ねたため、浴場に入り侵入者を確保。


 人間の娘は殺すわけにはいかないので肥溜めから連れてきたスライムの中に放り込み、侵入者は黒バニー式の男性処刑を行うが、かなりの絶倫の者だったらしく、調教後に娘たちのおもちゃにすることにしたらしい。


 激怒した魔王様を恐れたアレクサは魔王様の意識を人間の娘に向けさせて、うまく怒りを鎮めたが、人間の娘にやさしい魔王様に嫉妬してしまい、子供ができたと嘘をついて黒ウサ郷に帰った。


「し、しかたないじゃない! 妊娠は勘違いだったの!」


「ふふ、子供ができたと嘘をついて、魔王様を嫉妬させようとしたみたいだけど、うまくいかなかったようね。」

 拭き終わった眼鏡を掛けながら、ゴーランドが意地悪そうに笑うとアレクサは不満そうに頬を膨らませた。


「おもちゃを躾けていたら突然やってきて・・・ いつもなら一緒にあそんでくれるのにすごく怒って近づいてきたから怖かったし、すっごく悔しかったの!

でも、娘から聞いたの。魔王様が若返ったって。

しかも処女♪

これはもう土下座をしてでも、許して貰わないとダメでしょ!」


「そう、見た目は変わらないですが、若返ったというのは正しい表現ですね。それで? 何が魔王様を怒らせていたのかわかったのですか?」


「身に覚えがあるとしたら、わたしがちょっと下手くそだったからかも」


「下手くそですか?」


「魔王様の背骨を折ったとき、ちょっと力が入りすぎてたみたいで、心臓に刺さったの。 だから、早く死んじゃってぇ、物足りなかったと思うの・・・

だから次はね、足の指から一本一本丁寧にぃ「ちょっと待ちなさい!」」


「あなた、本当にそう思っているのですか?」


「んん?」

 ゴーランドはメイドからの報告と身体検査の結果、魔王様の今の状態、そして何を怒っているのか想像はついていたが、アレクサは全くわかってないのでめまいを覚える。


「どうやら、あなたを魔王様に近づける訳にはいかないようですね。すぐに黒うさ郷に帰りなさい。」


「なっ! 嫌よ! そんなこと勝手に決めないで。 私はあの吸血鬼をひねりつぶして魔王様の側にいるの!」


「ほぅ・・・ 私の決定に逆らうと?」

 あの吸血鬼化した人間の娘を殺すと、どういうことになるかボールド将軍の件で分かっているので、少し本気を出してアレクサを威圧することにした。


「え、いや・・・」


「それに、魔王様はあの小娘を愛していると仰いました。

 危害を加えようものなら、本気で嫌われますよ?」

 アレクサは少したじろいだが、まだあの娘を殺す気でいるようなので、説得も織り交ぜることにした。


「はぁああああ!!」 


「落ち着きなさい! わたしとしても大変不本意ですが、吸血行為までは許容する事といたしました。」


「吸血行為だけで終わらなかったら?」


「本来なら、神話級にまで昇華させた究極純潔保護魔法を何度も重ねかけすべきですが、残念ながら魔王様に魔法は効きません。」


「だよね」

 アレクサがゴーランドを睨むと、スッと背の低い羊のメイドが1枚の女性用パンツをテーブルに置いた。


「これ、なに?」

 アレクサがパンツを摘まんで、いろいろな角度で調べる


「神級アーティファクト『絶対不可侵の貞操パンツ』に御座います。」


「こ、これ、神級なの!?」

 普通の布製の白いパンツに見えるが、背の低い羊のメイドに神級といわれて思わずアレクサは大声をあげてしまう。

神級のアーティファクトは神様由来の材料を用いて、最低でも最高レベルの生産職人が生涯をかけて作れるかもしれないもの・・


パンツ一枚を生涯かけて作る生産職人が、この世界にいたこと自体が驚愕である。


「これは世界最高位のテイラーであるこの子に、天女の羽衣から作らせたもの。

たとえ勇者が神剣を用いたとしても、やすやすと切り裂くことはかないません。

そしてこれは私と選りすぐりの部下だけが脱がすことができるようになっています。

もし、不埒な考えをもった者が触れようものなら・・・ くっくっく

ああ、もちろん、すでに魔王様には着用していただいております。」

 妖しく笑うゴーランドを見てアレクサは思い出す。

そういえば、こいつは私以上に頭のおかしい魔王様LOVEだった・・・


「あ、あの、私も脱がせることができるようにしてほしいのだけど?」

 もう、神級のパンツが2枚もあること自体、驚愕を通り越してあきれてしまうが、脱がすことができる者にアレクサ自身が入っていないのは問題だ。

ここは魔王様の側近として是が非でも入れてもらう必要がある。


「ふっ・・・」


「ちょ、ちょっと!! 私も脱がせるようにしなさいよ!」


「さっさと、おうちに帰りなさい。」


「どうやら始まったようです。」

取っ組み合いを始めたゴーランドとアレクサを横目に背の低い羊のメイドが、吸血行為が始まったことを告げる。


アレクサ&ゴーランド「「なに!!」」


ガラス板に映る押し倒された魔王を見て、各紙部屋にいる羊とウサギ達は息をのんだ。


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「はぁはぁ。 あなた、私に何てことしてくれたのよ!」

 ミリアさんは、真っ赤な顔で怒っている。

確かに女神の使徒さんから吸血鬼に強制ジョブチェンジだし、怒るのは無理ない。

 ただ、美少女ボディの首すじに目をチラチラと見てはコグリを唾と飲んでいるので、血を吸いたいんだろうなぁと思う。


因みに俺も視線を下に向けると、ネグリジェで先端が絶妙に隠れた双丘が見える。


これはなかなかのアングルでドキドキである。


「吸血鬼、知らなかった(俺のあずかり知らぬところで禿げがやったんだけど? )」


ん?

相変わらずカタコトではあるが、喋ろうとした内容がリアリタイムで変換されるな。

これが相棒の言っていた、最適化というやつかな?


「はぁはぁ、私、もう終わりよ・・・」


「だめ、これから、はじめる(何を言っているんだ! これから楽しい吸血プレイを始めるんでしょ!)」


「はぁはぁ、苦しいの・・、我慢できないの!!」


くっくっく、血を吸いたんだよね!

でも我慢しているんだよね。

仕方ないなぁ。


どーれ、吸いやすいように左の首筋を口元に近づけてやろう。


「我慢、よくない(我慢はよくないぞぉ。 俺はいつでもウェルカムだぜー)」


「あ、あ・・・」

 ミリアさんは震えながら、美少女ボディの首筋をじっとみている。

吸血行為を行うことに躊躇しているようだ。


仕方ないなぁ。

俺はミリアさんの唇が左の首筋にくっ付くように、ぎゅっと抱きつく。


うーん、体を密着。

スンバラシイ!

ワンダフルである。


「ミリア、吸って(ミリアさん。がぶっと、一気に吸ってくれてオッケーだぜ)」


「うぅぅ・・・」


まどろっこしいな。

仕方ない、いくか。


右手でミリアさんの頭を首筋に押し付けつつ、首筋を上に動かすと。


抵抗も無く牙が刺さっていった。


「イタッ・・・ 入った、好きに、して、いい(いてて・・・ よーし入った! 好きなだけ吸っていいぞぅ)」


ん?なんか、少し部屋が揺れたようなきがする・・・


ミリアさんは堰を切ったようにすごい勢いで美少女ボディの血を吸い始めた。


体をぎゅうっと強く抱きしめてぅるけど、アレクサのように背骨が折れそうなほどではない。

とてもいい感じである。


「アッアッーーーー(おおおおおおおぉーーーーー)」


 これ、すごく気持ちいい!

吸血鬼に血を吸われるって気持ち良いんだ!

美少女ボディがビクゥンビクゥンの痙攣しながらけぞってる。


しかも美少女ボディの悦声がたまらん。


でも、なんか寒いしめまいがするし、体が動かないな・・・ これは貧血の症状か。


「ご、ごめんなさい。 大丈夫? 吸いすぎた気がするわ」


「死にそう、でも・・・ よかった(死ぬかと思った・・でも、死ななくてよかったわぁ)」

なぁ、相棒、さっきから気になってたんだが、ちょっと言語の変換おかしくないか?


むぅ、反応がない・・・


「もう少しすっていいかな?」

え、足らないの?

ちょっと限界なんだけど・・・


でもミリアさんは問答無用で美少女ボディを抱き寄せて、躊躇無く首筋に噛みついた。

そして、「あまり吸えない」といって何度も場所変えて噛みついてくる。

うう、これが底無しというやつか。

かなり痛くてきつい。


「何度も、抜いたり、刺したり、だめぇ。(うう、何度も噛むやめてくれぇ)」

あれ、またなんか部屋が揺れたな・・・


それより、相棒!

この変換! 絶対バグってるぞー!

俺までゾクゾクするエロ変換じゃないか!


「じゃぁ、ちょっとだけエッチなことしようか」


 な・ん・だ・と!?

ミリアさんの吹っ切れた感じだな、まぁ俺としては大変結構であるが体動かないんだよな。


まぁいいか・。


 ミリアさんはニヤリと笑ったあと美少女ボディの足元に移動した後、両膝に手を当てて外扉開けるように足をひろげたあと、美少女ボディの足の指をペロペロジャブジャブし始めた。


これってミリアさんにお風呂場でやったやつじゃないの?


すごい恥ずかしいし、くすぐったいんだけど。


「あん! ミリア 止めて(うひゃ、くすぐったい。 ミリアさん止めてくれ)」


ところで、壁の向こうがえらく騒がしいな。

気が散るんだけど?

ひょっとして覗かれてるの?


ミリアさんの進撃が美少女ボディのパンツまで到達。パンツを脱がそうとしたところで、「確保ぉ!!!」というメイド長の声がしたあと、視界が真っ白になった。


またこのパターンか・・・





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