253話 恐怖の象徴-4

 そして、宮殿内を少し歩くと――


「ご主人! ここにいたのか!!」


「ん? レスティか」


 全軍指揮官のレスティが、俺の姿を見つける。

 紅猫族として高い素質を持つ上、俺から『竜の加護』まで受けている彼女は強い。

 軍事系の仕事はほぼ彼女に任せている。


「どうしたんだ? 何か問題でも?」


 俺を君主とする『聖竜帝国(ホーリードラゴン・エンパイア)』の戦力は盤石だ。

 隣国の『ブリケード王国』にはガルドという傀儡君主を置いており、実質的には俺の支配下にあると言っていいだろう。

 その他の近隣諸国に支配権は及んでいないが、俺たちに歯向かえるほど強力な国は存在しない。

 コソコソとちょっかいを出してくる程度だ。

 些末な問題だろう。

 レスティがわざわざ俺を呼び止めるほどの問題は想像しにくい。


「実は……反乱の動きがある」


「反乱? へぇ……。どこの連中だ?」


 俺は首を傾げる。

 レスティは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。

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