224話 ナタール連邦の最期-3

「よいか! 我らが真っ先にすべきことは――」


「全員、動くな」


 彼の言葉を遮ったのは、たった1人の少女の声だった。

 円卓に座していた王たちが、動きを止めて声のした方向へ視線を向ける。

 そこには――


「な……っ!? き、貴様は……!?」


「諸悪の根源、ガルド王子……? いや……」


「外見は似ているが、性別が違う……。まさか、ブリケード王の隠し子か……!?」


 部屋の中に現れたのは、ガルドだった。

 性別は女に変わり、背丈も少しばかり縮んでいる。

 多少の面識がある王たちでは、ガルドと似ていることは分かっても、まさか性転換した張本人だとは見抜けないだろう。


「我らに、再び圧力をかけようというのか!?」


「衛兵! 衛兵は何を――あっ……」


 興奮のあまり、一部の王たちが立ち上がりながら喚く。

 だが、それが命取りだった。


「動くなと言ったはずだぜ? バカは殺すしかねぇな」


「「…………」」


 首を掻き切られた王たちの死体が、床に崩れ落ちていく。

 ガルドはため息を吐いた後――

 バァン!!!

 そんな音をたてながら、大きな窓を全開にした。

 すると、どうしたことか。

 死体から噴出している血液が窓から天に上っていくではないか!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る