223話 ナタール連邦の最期-2

「皆、静粛にせよ! 今さら後悔したところで、この状況が覆るわけではない!!」


 彼らの中にいた老人国王が声を張り上げた。

 小国の王たちの権限は横並びだが、年齢や経験に基づく立場というものがある。

 この老人王が実質的なまとめ役と言っていいかもしれない。


「よいか? 何事も、まずは冷静に考えるのじゃ。今、我らがなすべきことは何か?」


「すべき事だと? そんなの決まっている! ブリケード王国に謝罪と賠償を請求するのだ!!」


「否! 我らの軍に損害を与えたのは、あくまでライルとかいう若造だ! 奴の首を取るしかない!!」


「バカが! それでは、我らが再び板挟みになるであろう! ここは一歩引いて、ブリケード王国と若造が潰し合うのを静観する! それが得策だ!!」


 老人王の意見に、小国の王たちが口々に意見する。

 先ほどまでと比べると、少しだけ意見の方向性が定まってきただろうか。

 しかし、まだまだバラけている。

 彼は小さく嘆息すると、彼らの声に負けないように声を張り上げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る