214話 ガルドの罪-1

 俺は愚弟のガルドと戦っている。

 S級スキル【竜化】に手も足も出ない彼は、ロゼリアを人質にとって俺を脅してきた。

 しかし、そんなことで怯む俺ではない。

 あっさりと人質を奪ってやる。


「お前もようやく終わりだな! 弟よ!!」


「ふざけるなっ! 雑魚が、俺を弟と呼ぶんじゃねぇ!!」


 魔力と闘気を開放して駆けていく俺に向かって、ガルドが斬りかかってきた。

 A級スキル【剣聖】による神速の一閃だ。

 しかし……。

 キィンッ!!


「なっ……!?」


 俺はそれを右手の人差し指と中指だけで受け止める。

 そして、左手でガルドの首を掴んだ。


「ぐぐ……! く、苦しい……! 離しやがれ……!!」


「さっきまでの威勢はどうした? ほら、剣を振ってみせてくれよ?」


 ギリッ。

 首を掴む手に力を込めた。


「が、は……っ!!」


 ガルドが剣を落とす。

 ……勝負あったな。

 A級スキル【剣聖】持ちが剣を手放してしまっては、もはや何もできまい。


「さぁ、これで俺の勝ちだ。大人しく罪を償うがいい、ガルド」


「ば、バカな……。ははは……。A級スキル【剣聖】を持つ俺は負けない……。俺は最強なんだ……。俺は王になる男なのにぃ……」


 ガルドはブツブツとうわ言を繰り返す。

 しかし、戦意は完全に喪失しているようだった。

 もう、脅威ではない。


「お前には3つの罪がある。1つ目は、俺を王族から追放したこと。2つ目は、罪無き村人たちを虐殺したこと。そして3つ目は、ルーシーを強姦した上で殺したこと。これらの罪で裁かれる覚悟はあるか?」


「ひいっ! み、見逃してくれ!! お前が王族に戻ることを認めてやるから!!」


 ガルドは涙を浮かべ、命乞いを始めた。

 どこまで腐った野郎なんだ。

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