213話 ライルvsガルド -4

「なんだよ……! なにが言いたいんだ……!?」


「――お前は、ここで終わりだ。兄として、弟の始末をつけさせてもらおう」


 俺は、かつての家族に向けて言った。


「……はっ! こっちには人質がいるんだぞ! 俺に勝てると思っているのかよ!!」


「ん? 人質とは――こいつのことか?」


 俺は、自分の腕に抱えた女に視線を落とす。

 ロゼリアが不思議そうな顔をしてこちらを見上げていた。


「……え? あれ? わ、若様……? いつの間に……」


「この俺にかかれば、人質を救出することなど造作もないことだ」


「クソっ! 何なんだ、いったい!!」


 ははっ!

 まだ状況を理解していないようだなぁ、こいつは。

 自分が知覚できない程の超スピードで人質を奪われた。

 その事実を理解しきれていないようだ。


「さて、お前もいよいよ終わりだな。弟よ」


「ふざけるんじゃねえぞ……!! たかが外れスキル持ちの、雑魚ごときが!! 俺を弟と呼ぶんじゃねぇ!!!」


「くくっ。ああ、いいとも。お前の望み通りにしてやるよ」


 俺は魔力と闘気を開放する。

 そして、ガルドに向けて駆けていくのだった。

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