212話 ライルvsガルド -3

「もう一度言う。そいつから離れろ。次は手加減しない」


「ははっ! やれるもんなら、やってみな! この女が死んでもいいならなぁ!!」


 ガルドがロゼリアの首に刃を押し当てる。

 ――別に、助けに行く必要はない。

 かつて親衛隊の隊長を務めていた女とはいえ、俺と個人的にどうこうあったわけじゃないしな。

 しかし、ガルドの勝ち誇った顔が気に食わない。

 人質のロゼリアを無傷で救出し、ガルドに圧倒的な敗北感を植え付ける。

 そうしなければ、気が済まない。


「――まったく。お前は昔から変わらないな」


「ああん? なんか言ったか?」


「バカな弟だよ、お前は。俺の気を引こうとして、イタズラばかりしていた昔のままだ」


「……」


「だが、お前は一線を超え続けている。A級スキル【剣聖】の副作用だろうな」


 俺を王国から追放し、俺の幼なじみルーシーを強姦の上で殺害し、国家規模で俺に圧力を掛け、俺の親衛隊隊長ロゼリアを人質にして戦いを優位に進めようとしている。

 まさに狂気そのものじゃないか。

 昔のガルドは、こんな奴じゃなかった。

 強すぎるスキルに人格が歪んでしまったのだ。

 S級スキル【竜化】を持つ俺だからわかる。

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