白雪姫と新婚ごっこ
「勉強怠い」
テスト前日、学校が終わった隆史は家に帰り、自室で姫乃と一緒に勉強していた。
だけど勉強自体するのが好きじゃないため、隆史にとっては面倒以外の他ならない。
でも、きちんも勉強するのは、姫乃が一緒にいるからだ。
「そんなこと言っちゃダメ、ですよ」
ツンツン、と対面に座っている姫乃に足を突かれた。
まだ恥ずかしさはあるが、こうやって勉強していても触れれるからしている。
好きな人と触れ合えるのだし、面倒でもそこまで苦ではない。
勉強していなかったらもっと幸せなのだが。
「可愛い……」
白いワンピース姿、足で触れてくる姫乃を見て可愛いと口にしてしまった。
「あう……」
可愛いと言われたからか、姫乃は恥ずかしそうに頬を赤くして俯く。
それでも足で触れてくるのを止めないため、恥ずかしくても触れていたいのだろう。
「その……本当に可愛いと、思ってくれてますか?」
青い瞳が上目遣いで見つめてくる。
「うん。それになんか学生結婚した新婚みたい……」
「し、新婚……」
隆史の言葉を聞いた姫乃の頬が、今まで見たことないくらいに赤く染まった。
恐らく新婚生活を想像したのだろう。
ここ最近は毎日のように寝食を共にしているのだし、新婚夫婦みたいだと思っても仕方ない。
「新婚って思ってくれてるってことは、タカくんは式部さんじゃなくて私のことを……」
どうやら隆史の気持ちに気付いてしまったようだ。
ボソっと小声だったから聞き取りにくかったが、ところどころ聞こえたから何を言っているのか分かった。
慰め合いから始まった関係でも、イチャイチャしたりキスをしたりしていたのだし、新婚みたいの一言で気付いてもおかしくないだろう。
「タカくん、私はタカくん……んん……」
何を言ってくるのか用意に想像出来たため、隆史は身を乗り出して姫乃の口を手で塞ぐ。
最近かなり積極的になってきているのだし、好きだと確信したら告白してきてもおかしくはないだろう。
告白はテストが終わったら自分からしたいため、女の子の方から告白させたくはない。
確かに今告白されたら間違いなく付き合う。
好きな人から告白されて付き合わない人は中々いないのだから。
でも、付き合ってしまったら浮かれてしまい、間違いなくテストに集中出来なくなる。
「その……テストが終わったら俺の方からするから待ってて?」
コクコク、と首を縦に降ったから手を離す。
恥ずかしがり屋の姫乃が告白しようとしてきたのは、麻里佳とひなたの存在が大きいだろう。
距離が近い麻里佳と自分から奪おうとしているひなたがいるのだし、告白しようとしてもおかしくない。
特に本当の恋人になればひなたに強気になれる。
それでも奪おうとしてくるのであれば、ひなたが嫌っている姫乃の母親と同じになってしまうのだから。
流石のひなたも嫌っている人と同じになりたくないだろう。
本当に姫乃の母親が彼女持ちの男を誘惑していたら、の話だが。
「その……どうせ塞ぐなら、唇でしてほしかった、です。だから……私はタカくんのことが、す……んん……」
本当に言おうとしてきたため、隆史はリクエスト通り姫乃の唇を自分の唇で塞ぐ。
いつキスをしても柔らかいと思わせる唇だし、今後もこうやってキスをねだってくるだろう。
嫌ではないから何度でもするのだが。
「私と一緒にいて新婚だと思うのであれば、新婚ごっこ、しませんか?」
「新婚ごっこ?」
唇から離すと、姫乃がとんでもないことを口にした。
いくら最初は自分から口にした言葉だが、隆史は恥ずかしさで身体が熱くなる。
「はい。だ、旦那様」
「だ、旦那様?」
手を繋いできた姫乃にそう呼ばれ、さらに身体が熱くなっていく。
年齢的にまだ結婚は出来ないが、少しでも新婚気分を味わいたいのだろう。
「新婚ごっこ、ですから」
「まだやるとは言ってないけど……」
「けど、したくなかったら新婚なんて言わないですよね?」
どうやらしてみたいと思っているのを見透かされているらしい。
まだ結婚は出来なくても、好きな人と新婚ごっこをしたくない人はあまりいないだろう。
「わ、分かったよ。新婚ごっこしよう」
好きな人のお願いを断るわけがない。
両手の指を絡めるようにして手を繋ぎ、これから新婚ごっこすることを決めた。
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