第5話 母ちゃん①
聞いて。聞いて。
何かの拍子で兄ちゃんと喧嘩しました。
兄ちゃんのほうが体格がいいし、当然ぼくが劣勢です。
テレビのリモコンが飛んできて、おでこに当たりました。
「母ちゃん! 母ちゃあん!」
ぼくは泣き叫びます。
火のついたように、ではなく、ちょっと演技入ってました。
場を収めてくれる人を早く召喚したいがために。
多分それは母ちゃんの目には、三歳児の泣き方に見えたんです。
三歳児は涙をあまり出さないぎゃん泣きをして、望みのものが手に入ると、ぴたっと泣きやみます。
母ちゃんはぼくの大袈裟を見抜いて、台所からフォークをぼくに投げました。
ぼくの頬を掠めて、フォークが床板に突き刺さりました。
母ちゃんは「不幸面し腐りやがって」とぼくを罵りました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます