第3話

 芽衣子は昔の県庁にやって来た。

 所在地(流山市加字坂の下)は、江戸時代、下総国葛飾郡加村であった。享保15年(1730年)、本多正矩が駿河国田中藩に移封された際、加村を含む一帯はその所領となり、以後田中藩本多家の飛び地領となった。文久3年(1863年)6月、藩主本多正訥のとき、加村の台地上(加村台)に「仮宅」(下屋敷)として加村陣跡が建設され、江戸深川にあった下屋敷の藩士が移住して、飛び地領の管轄に当たった。陣屋の敷地は、現在の流山市役所から流山市立博物館にかけての南北300m×東西150mほどで、中心的な建物である御殿は敷地北西端にあたる現在の流山市立博物館付近にあった。明治元年(1868年)7月、田中藩は安房国への移転が命じられ長尾藩となった。


 江戸時代の下総国には旧幕府領・諸藩領が入り組んでいた。明治政府は旧幕府領管理のため下総知県事を任命、東京府薬研堀の「薬研堀役所」で事務を執った。政府は入り組んだ領地を再編し、1869年(明治2年)1月、行政組織として葛飾県が設置された。この際、長尾藩の手を離れた旧加村陣屋(「加村役所」と呼ばれた)が葛飾県庁として使用された。


 1871年(明治4年)の第1次府県統合により、葛飾県および旧藩から転じた諸県(佐倉県など)を統合して、下総国内9郡を管轄する印旛県が設置された。印旛県庁は当初、印旛郡佐倉に置かれる予定であったが、適当な庁舎候補がないとされ、葛飾郡本行徳村(現在の千葉県市川市本行徳)の徳願寺に県庁がおかれた。さらに、本行徳では交通の便が悪いとされ、1872年(明治5年)1月より旧葛飾県庁が印旛県庁として使われることとなった。


 1873年(明治6年)6月15日、印旛県と木更津県とが合併し、両者の境界にあたる千葉郡千葉に県庁を置く千葉県が設置された。これにより旧加村陣屋は県庁としての役割を終えた。跡地は開墾や宅地化によって旧状をとどめていない。


 1977年(昭和52年)から1978年(昭和53年)にかけ、かつての陣屋敷地の一部に市立博物館・図書館が建設されるのに際して発掘調査が行われた。  1977年(昭和52年)6月、市立博物館が開館した際に「葛飾県印旛県史跡」の記念碑が建立された。


 流山の図書館だ。コロナの拡大により閉鎖されている。ドアが開いて、黒い仮面をかぶった奴と鉢合わせした。 

「また、邪魔しやがって」

 黒い仮面はスタンガンをバチバチ放って、芽衣子を気絶させてワンボックスカーに監禁した。

 黒い仮面の正体は結城洋一だった。

 

 一方の榎本織江は近藤勇陣屋跡にやって来た。

 鳥羽・伏見の戦いで官軍に敗れた江戸幕府軍は江戸に戻ったが、新選組局長の近藤勇は流山に移って陣を敷いた。その理由として、会津藩へ向かう途中、散らばった同志を結集して新たな部隊を編成するために官軍が手薄であった道を選んだなどの説もあるが、はっきりした理由はわかっていない。また、当時の流山は水運業と醸造業が盛んであったからともいわれる。


 1868年(慶応4年)4月2日ごろ、近藤率いる部隊200人が流山村に入り、光明寺などに分宿したとされる。近藤勇など幹部たちは酒造業を営む「永岡三郎兵衛」方に陣屋を構えた。翌4月3日に流山は新政府軍により包囲されたが、最後は近藤勇が単身投降したために戦闘は起こらなかった。陣屋となった永岡屋敷は騒動後に経営不調に陥り、屋敷は秋元家に引き継がれた。2011年(平成23年)、敷地内にて幕末当時の札が発見され、近藤勇の陣屋であった「永岡家」宅跡であることが確認された。


 なお、現在敷地内に建つ土蔵は近藤勇陣屋と同時期に建築されたものだが、両者に直接の関係はない。

 大した事件はなく暇だった。

 今日は有給休暇を使って探検をしていた。

「おかしいとは思わなかったか?」

 そーいや、やたら人が少なかった。

 怪しげな奴が近づいてきて織江の鳩尾を素手で殴った。ズガッ!

 

 織江の夢の中に沖田総司が現れた。彼女は月明かりの中を疾走しているが、総司に追われてる。

『御用』の提灯が近づいてくる。

 織江は一太刀に斬られた。

 そこで夢から覚めた。

 

 

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