151試合目 なんだよそれ

「運動部ってまた剣道部にでも入るの???」

 紫はそんなこと聞いたことないと言わんばかりに疑問を浮かべる。

「いやいや違うよ。運動部っていう部活があるらしいんだよね」

「へー!!! なんなんなんそれ!!」

 なんが多いぞ春馬。

「どうやら今年からできたサークル?? 的なものらしくてな。募集しても1人も入らないってところからかなりいい感じだ」

「徹って人数少ないとことか緩いとことか大好きだよね」

「というか融通が効いて、早く家に帰れるってのがでかいな」

 まあ……早く帰らないと柚希が何を言い出すかわかったもんじゃない。

「で?? そこは何をする部活なのかしら?」

「いやああんま知らないからとりあえず体験だけでもと思ってな」

 まあ人数が少ないところから相当つまんないのか相当きついのか。前者だと俺的にはありがたいものだな。

「ちなみに私は後者かしらね」

「心に入ってくるな」

 おれの心にまで侵入してくるドM変態娘は放って置いて(それでもあいつは喜ぶからよし)、とりあえず運動部に向かうこととした。


「えーっと……ここか??」

 おれが向かったのはかなりの間放置されていたである別校舎の一室

 かなり古臭い匂いはするものの埃や蜘蛛の巣が被ってないところから最近も人がいたことを表していた。

(ということは、本当に部活は存在するのだろう)

「失礼しまーす……って誰もいないか」

とおれが部屋のソファに腰掛けようとしたその時だった。

「んんん……」

 そのソファが急にグニャあっと動き始めたのだった。

 俺は目を見開くとそれはソファではないということがわかった。

「なんだい……?? こんなところにお客さんかい??」

 そこに立っていたのは色白で黒髪、病弱とも思ってしまうほどの細い腕、そして綺麗な爪を纏わせた手を持つ少年のように見える男性だった。

「ああ……。えっと……もしかして運動部の方ですか?」

「え!! もしかして入部!??? 是非是非!! まずは座りたまえ!」

「いや座れって言われてもあなたが占領してるんでこのままだと床なんですが」

 さすがに掃除してるからと言って古臭い匂いのする校舎の床には座りたくはない。シロアリとかいそうだし。

「ああ……そうだった。じゃあとりあえずここに」

 部員と思わしき男性はおれに椅子を用意してくれた。

「紹介が遅れたね。僕は角屋 繭香だよ!! 女の子みたいな名前かもしれないけどちゃーんと男の子だからね!!」

 すんごいキャラ被り。めっちゃ見たことある。

「驚いた!?」

 いや驚かねえよ。

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