152試合目 運動は素敵
まずすぎる……。なんだか俺の知り合いのタイプにすごく似ている。
「なんだい?? どうかしたのかい」
「なんでもないです。それより運動部って何をする部活なんですか?」
俺はいろいろ思うところもあるが、一番最初に気になっていたことを解明しようと試みた。
「よくぞ聞いてくれました。この部活は大きく言えば、世の運動部のサポートをする……というのが目的です」
「サポート??」
俺は頭にはてなを浮かべる。
「では……えっと……」
指を俺の方に向けて硬直をしている。おそらく俺の名前がわからないのだろう。それもそうだ、挨拶する前にこの人が騒ぎ散らかすんだもん。
「西屋敷徹です」
「西屋敷君はまずスポーツと聞くとなにを思い浮かべるかい??」
「そりゃあ、バスケとか野球とかサッカーとか」
「そう!! 普通の人はそういう風に普通な回答をするんだ。普通だから」
普通普通うるせえな。
「カバディとかセパタクローとかアルティメットとかが出てくる人はまずいない」
「た、確かに……」
「そこで僕はそこに目を付けた」
ビシッという効果音が聞こえんばかりに決め顔で人差し指を立てる。
「そこで僕はそのマイナー競技に目を付けたというわけさ」
「それが部活と一体何の関係が???」
「おいおい?? 今から言うところだよ?? もう先走っちゃって♡ 早い男は嫌われるぜ??」
やっべ。殴りたくなってきちゃった。
「こほん。つまりだ……。そんなマイナースポーツを盛り上げるためにできたサークルがこの運動部なのさ!!」
両手を広げてその細い二の腕を見せながら決めポーズをする。
「一種の地域貢献亜種みたいなものってわけですか。でもどうやって盛り上げるんですか」
「簡単だよ。世界の情報元は年々変わりつつあり、テレビからネットへと変わっていった。それを利用して、魅力的なシーンを集めた動画を初心者にもわかりやすいように編集してネットにアップする。これを行えば???」
「その競技に興味が出る」
「ザッツライト!! いいねえ!! 鋭くなってきたね!! つまりそれを僕は目的としているってわけさ!!!」
だんだん興奮してきたのか息が荒くなってきた先輩を見て、やる気がここまで伝わってくる。
確かに素敵な提案だ。だが……
「なんでそんなことを?? やるなら自分でスポーツをすればいいのでは」
すると繭香はフッと少しはにかみながら
「僕もできたらやりたいものだね。でも僕は見ての通り病弱でスポーツができない。喘息持ちなのさ。だけど僕の家はスポーツジムを経営していて、昔からスポーツをする人の表情を見てきたんだ。その時思ったよ……こんなかっこいい表情をする人たちがする競技に優劣なんてつけるべきではないってね。だからどのスポーツも人口関係なく楽しんでもらいたい。その思いからこの部活を立ち上げたのさ」
そうか……。この人も苦労をしていたんだな。
「わかりました。やりましょう!! 運動部!!」
「え!?」
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